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舞台【Catch me if you can】鑑賞記録

先日舞台「Catch me if you can (キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン) 」の東京公演を鑑賞しました。

ブロードウェイミュージカルの鑑賞は初めてだったのですが、華やかでポジティブなパワーに満ちた舞台で、とても楽しく鑑賞することが出来ました。

特に印象的だったのが、主演のSnowMan・岩本照さん。
現役ド真ん中アイドルの方が主演として立つ舞台は初めて鑑賞しましたが、なるほど、これがその意味かと、岩本さんの存在感に驚き、納得し、感心した舞台でした。

そんな鑑賞記録をつらつらと。
話の本筋には触れませんが、ネタバレ要素がありますので、気になる方はご注意ください。




作品情報(公式サイト)


あらすじ(公式サイトより)

1968年のニューヨーク州ブロンクスヴィル。16歳のフランク·ジュニア(岩本照)は父のフランク·シニア(岸祐二)、母のポーラ(春野寿美礼)と三人で仲良く暮らしていたが、幸せな生活は父の事業失敗により破綻し、家庭は崩壊。一人マンハッタンへと渡った失意のフランクは、身分証と小切手偽造を思いつく。さらに、街でスチュワーデス達と出会ったことをきっかけに、なりすましも計画。フランクは偽パイロットとして、偽造小切手片手に世界中を旅する生活を始めることに。
世界的な小切手偽造犯の捜査に、ついにFBIの捜査官ハンラティ(吉田栄作)が乗り出す。追われるフランクと追うハンラティの間には、いつしか奇妙な友情が芽生え始める。捜査を辛くも逃れながらパイロットから医者へと姿を変えたフランクは、看護師ブレンダ(仙名彩世)と恋に落ちる。ブレンダの父ロジャー(阿部裕)や母キャロル(生田智子)のような温かい家庭を築こうと結婚を誓った矢先、ハンラティの捜査の手が再びフランクに迫る…。


わくわくする物語

あらすじにもある通り、物語の主人公は岩本照さん演じるフランク・ジュニア。
彼が一人マンハッタンへと渡り、さまざまな詐欺や出会いを繰り返しながら生きて行く様を追った物語なのですが、次から次へと変わる舞台や衣装を飽きることなく単純に楽しむことが出来ました。

ブロードウェイの舞台ってとても華やかでゴージャスなイメージを勝手に抱いていたのですが、まずステージを見て驚いたのが、舞台セットがとてもシンプルだったこと。
そのシンプルな機構を上下左右前後と動かすことによって空間の印象が次々と変わり、華やかな衣装を纏った出演者が生き生きとその中を動き回る。
そこが空港に見えたり、病院に見えたり、リビングに見えたり。
お芝居の力や人のアイディアが次から次へと放たれ、すごいなぁ…と感動しながら鑑賞しました。

休憩を挟んだ後半は特に展開が早く、体感あっという間。
人が突然歌い出したり踊り出したりという、いかにもなミュージカル感のある作品が自分は苦手かもと勝手に思いこれまで鑑賞してこなかったのですが、全然そんなことなくて、とても華やかで素敵でした。
生演奏の音楽に合わせて、気付いたら歌ったり踊ったりしているキャストさん。
そのどこにも違和感を感じることはなくて、いつの間にか一緒に拍手をしたり、リズムに乗ったり、舞台と客席が一体化したような空間で、作品を存分に楽しむことが出来ました。

一言でいうならば、元気をもらえる作品。
ちょっと平たすぎる言葉かもしれないけれど、本当にそうで。
いい意味で変に自分と重ねたり深く考察したりする必要が無く、単純に目の前で展開される物語を楽しむことが出来て、目で見て耳で聞いてエンターテインメントを身体で受け取ることが出来るような、そんな舞台でした。

「いいもの観たな。明日も頑張ろ。」

シンプルにそう思うことが出来る、わくわくする気持ちをくれる作品でした。


フランクが大好きになる

主人公のフランク。
フランクってシンプルに詐欺師なので、まあ悪いことをしたり人を騙したり当然するのですが、その事件性がどうこうというよりも、彼がそうやって軽やかに人生を乗りこなしてしまっている姿、その合間に垣間見える幼さやキュートさに心を掴まれ気付けば彼を追ってしまう、みたいな物語で。
そんな物語を最後まで楽しむために、私たち観客がフランクを好きになること、フランクに冷めないことってとても大切な要素だと思うんです。
その上で、岩本照さんが演じるフランクは、華やかで、軽やかで、可愛らしくて。本当にキュートだった。

おそらく客席には彼のファンの方が多くいらっしゃったとは思いますが、そうでない方も、フランクならぬ岩本照さんのことをいつの間にか好きになってしまったんじゃないかな。
彼自身の人を惹きつける魅力、気付いたら好きになってしまう愛嬌のようなものが、アイドルとして主演を張り作品の真ん中に立つ者としての役割を存分に担い果たしていると思いました。


エンタメの人

普段テレビなどで拝見している印象として、岩本照さんといえば、「筋肉・SASUKE・ちょっと怖そう・笑うと可愛い」でした。
舞台のお芝居は拝見したことがなかったので、どんな感じなのかな~と思いながら開演。
舞台にスタっと現れた岩本さん、まず「おぉ」と思ったのが、スタイルの良さ。
背が高く、さすが鍛えていらっしゃるので体格が良いのですが、ムッキムキというよりはシュッと細身でとてもシルエットが美しくて、衣裳がとても映えて似合っていて美しかったです。
演劇だけではなくコンサートだったり、舞台で映える身体を目指してトレーニングされているのでしょうか。
まず一目みた第一印象が、「綺麗!」でした。

フランクがまだ若い男の子なので、おそらく意識されて普段よりも少し高めの声で喋る岩本さん。
台詞がすごく多くて、カタカナも多いしスピードも速くてかなり大変そうだったのですが、スラスラと聞き取りやすい声で抑揚をつけながら喋っていて、終始出ずっぱりで喋りっぱなし歌いっぱなし踊りっぱなしなのに息切れをひとつも感じさせない、さすがSASUKEの男!でした(笑)

フランクを演じながら、客席に向けてアイコンタクトを取るような表情、思わずこちらが乗ってしまうような煽りを繰り出す岩本さん。
それにより客席との一体感がすぐに生まれて、早い段階で会場が温まったような感じがあって。
ブロードウェイミュージカルの鑑賞経験が無いので他の作品がどうなのかわからないのですが、こんなに客席ケアしてくれるの?!という驚き。
そうやって客席を温めながらも、そのアクションや表情が物語から逸れていなくて、あくまで自然に物語の世界にみんなを連れ込んでいくような、そんな姿を見て、ああそうか、彼はステージに立つ人なんだ、いつも客席を相手にエンタメをしてきた人なんだもんな、と、妙に納得しました。(偉そうですみません)

岩本さんはもちろん、彼の所属事務所の方々のコンサートや舞台を今まで直接観たことはないのですが、常にファンを楽しませるコンテンツを届けるアイドルであり、デビューされる前からステージに立ってきた人ですもんね。
場数を踏んできている分の経験値もあるのだと思うけれど、なんというか、エンタテインメントは舞台から一方的に渡すものではなく、観客とのキャッチボールで創り上げて一緒に分かち合っていくものなのだという、そういう精神を軸のところで持っているんだなというのを感じたというか。
きっと常々そうやってアイドルとしてファンの前に立ち、役者として舞台に立ってきた経験、どうやったら楽しんでくれるかな、よろこんでくれるかなを常に考えてやってきた経験を持っているのだろうなと、キュートなフランクによってどんどん温まっていく会場を感じながら思いました。

例えば舞台一本でやられてきたような役者さんたちと並ぶと、お芝居、発声、歌唱力などなど、スキルに点数をつけたら劣るのかもしれません。
アイドルの方がドラマや映画や舞台の真ん中に据えられると、そういう評価ってつきものだし、特にこういう能力が如実に表れるようなミュージカル作品だと、そうやって評価して揶揄するような声もあがってしまうものなのかなと思ったりもするのですが、そこにいるだけで華があって、なんだか人を惹きつける魅力があって、見ている側の目がキラっと輝いてしまうような、胸が躍ってしまうような、そういう高揚感を与えてくれる存在感、それってやっぱりアイドルならではだよなあと、私はとても感心したし、素敵だなと心から思いました。
もっとお芝居が出来る人、歌が上手い人は、いくらでもいるかもしれないけれど、そういう力を携えた岩本照という人を主演におく意味が作品にあって、それをフランクの姿から感じたし、そういう役割を120点で担いつつご自身も舞台を楽しまれているような岩本さんの姿がとてもポジティブでキラキラしていました。
この人の舞台をもっと観たいと思ったし、他のブロードウェイミュージカルも観てみたいなと思った。
そういうホクホクした気持ちで会場を後に出来たことが、とても良い思い出になりました。

そんな良い観劇をした後日、ついこの前フランクだった人が気付いたらミラノのコレクションでバキバキにイケ散らかしていらっしゃったのをニュースで見て、本当にアイドルっていろんな顔を魅せられるのね…とまた感心したのでした。

アイドルって、売れると一気にスポットライトが当たって急にもてはやされているように見えるけれど、そこで放たれる魅力って、彼らがそれまでスポットライトが当たらなかった期間も含めて積み上げてきたものでしかなくて、そういう積み重ねがあるからこそ、人は惹きつけられるんですよね。

今回の舞台も、2022年に上演された時は、ミュージカルに関心がなかったのとSnowManも岩本さんもよく知らなかったので完全にスルーだったのですが、その時からの積み重ねがきっとあってこその舞台だったと思うし、そういうのって、その当時は追っていなくても、今出会うことで伝わってくる。
それを感じ取った人はきっとファンになるし、ずっと昔から見守ってきた人にとってはそんな推しが誇らしいんだろうな。
舞台は決して彼と彼のファンのためだけのものではないけれど、なんだかそういう信頼関係みたいなものも、客席と舞台の一体感から感じた気がします。

おそらく岩本さんのファンの方々が、岩本さんの神々しい筋肉が披露されるシーンで一斉に双眼鏡を向け始めたのにはちょっと笑いましたが(笑)、ファンの方々が鑑賞後にとても楽しそうに彼の話よりも作品の話をされている姿を見かけて、きっと素敵なアイドルで素敵なファンなのだろうなあと、とても幸せな気持ちで私も会場を後にしました。

Catch me if you can、とてもパワーをもらえる舞台でした。

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