【いちばんすきな花】第3話:細かすぎるあらすじ&感想
いちばんすきな花
第3話 2023/10/27(木) 22:00~
第3話。椿さん回でしたね。
コメディ風味が増して笑えるシーンが増えた気がします。
4人それぞれが少しずつ素を見せられるようになって、子どもっぽい顔やめんどくさい顔なども見えてきて、人間らしくて、よりいっそう愛おしくなる回でした。
本記事では、ドラマ「いちばんすきな花」第3話のあらすじや台詞を、感想や考察を交えながらまとめています。
脚本や台詞が好きすぎて細かすぎるほどに残しているので、長いです!笑
※ネタバレを含みますので、これからご覧になる方はご注意ください。
●「いちばんすきな花」第3話
いい人
3-1. 無個性の"いい人"
冒頭の三者面談のシーン、「ありがとうございます」と言った椿の母・鈴子は、息子が褒められて本当に嬉しそうでした。
その後の「ごめんなさい」で、一気に表情は曇って、動きまわろうとする椿を制しました。
きっと椿は、こんな風に、自分が自分らしくいることでお母さんが困る事、周りから浮いてしまう事を感じて、成長して変わる環境の中で自分を変えて、なんとか生きる術を身に着けてきたのだと思います。
椿にとって、社会の中で生きていくということは、自分の個性を殺して、無個性のいい人でいることだった。
時代もあったのかもしれないけれど、教育や社会がそうさせてしまったのかなと苦しい気持ちになります。
人間関係は好かれる努力をするか嫌われない配慮をするかの2通りのみ。
自分らしく過ごして気の合う仲間と一緒にいるという経験が、椿にとってはずっとなかった。
教室と職場に置かれた赤い花ですが、アスターのように見えました。
違うかもしれないけれど、アスターだとすると花言葉は「変化を求める」です。
周囲や社会から受け取った圧のようなものの中で、自分を変えて大人になった椿に重なります。
職場のシーン。大人になった現在の椿が勤める職場、椿の席に座っていたのは子ども時代の椿でした。
子ども時代の各キャラクターが現在のシーンの中に迷い込んだようなこの演出、2話までにも登場しましたが、子ども=本当の自分、素の自分を表していて、今は大人の仮面をまといながら、素の自分を隠して窮屈に生きている登場人物たちが表現されているように思います。
3-2. 連絡先
椿さんはやっぱりきっちりきっちりした性格ですね。
引き出しの中のきっちり詰められたゴミ袋が何かの伏線かもと以前書きましたが、日常のカットから椿の性格を表した演出だったのかなと思います。
ゴミ袋もまだ満杯じゃないのにきちんと指定日にゴミ出しをするし。
もともとこういう気質でそれが自分ルールなのかなと思いつつ、もしも"いい子でいなきゃ""ちゃんとしなきゃ"の呪縛から形成されたものだとしたら…なんて、勝手にあれこれ考えてしまいました。
捨てられる花→コンビの廃棄→連絡先、で繋がっていくそれぞれの日常の見せ方も素敵です。
椿さん、「花は好きだけど花屋は嫌い」と以前言っていましたが、売り物にならずまだ綺麗なのに捨てられてしまう花を見るのが嫌だったのかな。
母・鈴子の言葉からなんとなく想像させられました。
プリンターのインクの件、トナー交換を頼まれる前、一人で歩いているのに微笑みを浮かべていた椿。いつも"いい人"と思われるように笑顔を貼り付けるのに慣れているのかな。
トナー交換もまるで椿の仕事かのように周りにいつも押し付けられているのでしょうね。せっかく対応しているのに、誰かを待たせてしまい、まるで自分が悪いかのような気分になってしまい、「ごめんなさい」と椿。
「ごめんなさい」や「大丈夫」と言うことで自分を保っているような姿が苦しそうです。
3-3. いい人=怒らない人
笑いました。椿、ストレス発散してるなぁ!(笑)
いつもの椿のやわらかな物腰ではありつつもたたみかけるように見知らぬおじさんに喋りかけまくる椿が面白かったです。
自分が怒らない人と思われて、だから都合の良い「いい人」にされて周囲から利用されていることもわかってるんですよね。
"僕ほど無個性な人間はいない"の発言ですが、ここまで見てきただけでも椿さんは結構個性ありまくりですよね。
たくさんのいいところがあって、ちょっと面倒くさそうなところもあって、面白いところもあって、でも自分の良さなんて椿本人は考えてもこなかった人生なんだろうな。
抑圧された椿という個性とそのストレスがぷんぷん漂ってくるような、でもそれがコミカルなお芝居で笑いに変わってしまう、面白いシーンでした。
繋がる
3-4. ゆくえと夜々
夜々が訪ねて来た時のゆくえの表情が嬉しそうで可愛くて、連絡先交換が出来た時の夜々が嬉しそうで可愛くて、やっぱりこの女子二人可愛いです。
大人になると、なかなか新しい友達が出来て連絡先交換をすることって少なくなりますよね。
私もQRコードの表示の仕方なんて急に言われたら戸惑ってしまいます(笑)
不慣れな様子で連絡先を交換する二人が可愛らしいシーンでした。
どうでもいいけど昔って赤外線通信とか、スマホをフリフリして連絡先交換した時代がありましたね…エモい…。
希子とゆくえの会話、私は個人的に数学が苦手なので、点Pに共感しすぎて記録に残しました(笑)
点Pまじ動き過ぎだし、違う時速で一定の距離感保って時間差で出発する兄弟は謎だし、数学の問題、嫌いだったなぁ(笑)
夜々には文転して習えなかった数学ⅢCを教えてあげると言い、希子には解き方を考えようと言うゆくえの、相手を否定も肯定もせず寄り添うような言葉をかけられるところが素敵だなって思います。
純恋は何を伝えにきたのだろう…。椿が実家に戻っていると思ったのかな?
3-5. 椿と紅葉
紅葉が完全に椿に懐いている感じが可愛いですよね。
神尾くんってこれまでイケメンキラキラ系の役が多かったような気がします。前回出演された月9も見ていましたが、この作品で、お芝居自体がもっと注目されそうで楽しみです。
顔が綺麗なのはもちろんなのですが、可愛らしさとか、人懐っこさ、今っぽさがあって、独特の穏やかさがあって、佇まいが素敵ですよね。
椿と楓との会話。オクサマについてよくわからないことを話す兄に対して、「切ないねぇ」と乗っかって話を終わらせる楓が、あぁいつもこうやってお兄ちゃんの話を聞いて、よくわからないけれど否定もせず、よい話し相手になって過ごしてきたのかなと感じて微笑ましくなりました。
ちょっと冷めたようなところもあるけれど、兄のことをよく知っていて、心配もしている良い弟なのでしょう。
3-6. 友達?
手を合わせられて戸惑う純恋のシーン、おかしかったですね(笑)
純愛と書いて男を作って出て行った女として描かれる、名前とキャラのギャップに絶対意図があると思っていましたが、まさか名前いじりがそのまま台詞になるとは(笑)
フラワーショップの前で「花屋の息子っぽい」と椿をいじるゆくえと夜々。一緒にいない同じ人の事を思い出す、それはもう友達。
その後の楓の言葉に紅葉を思い浮かべる二人。
うんうんもう友達だね。ありがとう(何が)
椿の本音
3-7. 「二人組」になれなかった二人
シリアスな話をする椿・純恋と、コミカルな他3人の対比が絶妙でした。
純恋の人柄についてはまだ物語の中では深く描かれていませんが、2話までの純恋の印象は、椿との結婚目前の同居のタイミングで別の男と浮気をして出て行った女という、身勝手な女のイメージでした。
モリナガくんのところに1回でもフラっと言ってしまったことは純恋の過ちですが、それはちょっと置いておくと、純恋目線でみたら、純恋も、どこかずっと窮屈だったのかもしれないですね、椿との"二人組"が。
椿はいい人で、何を言っても怒らないいい人で、いつも合わせてくれて、純恋の話を聞いてくれて、自分の話はしない人。
自分の話はしないし、自分の気持ちも話さないし、見せない。
いつも「いいよ」「ごめん」「大丈夫」。いつも優しい。一緒にいたら傷つけられるようなことはないし、穏やかな時間をくれる人。
でも、椿の本音や本心がいつもわからない。
たまに話し出したと思ってもよく理解が出来なくて、わかりたくても、それ以上深くは話してくれないし、そうやって話し合えてこなかったから、隣にいても、本当はどうなのかがよくわからない。
椿自身にもそれがどこか苦しそうだったり、何か我慢しているような雰囲気があって、それでも自分に合わせて、いつも「いいよ」「ごめん」「大丈夫」。
自分と一緒に"いたい"というよりは、一緒にいることがベストだって言い聞かせ一緒にいるような、そんな気がしてた。
(あ、すみません。今、私、勝手に純恋になってます。)
そういう寂しさや虚しさのようなものを純恋はずっと抱えていて、でも結婚しようってなって、このまま穏やかな暮らしが出来るならと思って進もうとしてみたけれど、これが幸せなのかという疑問から目を逸らせなくなってしまった。
純恋は、結構本当に椿のことが好きで、もっと話したい、もっと知りたいと思っていた。椿のことを理解できないかもしれないけれど、ちゃんと向き合って話せていないから、理解できるかどうかすらも分からなかった。
モリナガくんのことは、それは純恋がダメだったけれど、それに対して椿がどんな反応をするのか、こうなればさすがの椿も感情を出してくれるかなって、純恋的には最後の賭けというか、そんな気持ちもあったのかもしれません。
そういう前提で純恋の視点でこの二人の会話を捉えると、やっと椿が本音を話し始めたと思ったら、"結婚相手にちょうどいい" "好かれる努力はできなかった" "両想いじゃなかった" "俺じゃなくてもよかった"なんていう言葉が次々と淡々と語られて。
純恋の本音を確認する作業なんて、椿はしてこなかったのに。だから純恋の本当の気持ちなんて椿だって理解できているわけないのに、決めつけられて。ごめんごめんって、そう言って、俺が悪いみたいな顔して、向き合うことから逃げて、私はもっと椿くんを知りたかったし分かり合いたかったよ。
(すみません。まだ、私、純恋です。)
やっと本音を話せて解放されていく椿と、話してくれてほっとした反面ちくちく刺さるトゲまみれにされたような純恋。
わかってはいたけど、苦しかっただろうな、純恋も。
椿の台詞や椿の心情も、わかるんです。
1回純恋目線を想像してみましたが、放送を見た時は椿の気持ちになって泣きました(笑)
ずっと二人組になれなかった椿にとって、純恋は自分の人生にとってはこのまま二人組になれるかもしれないチャンスだったのだと思います。
純恋の事は、好きだったんだろうけど、窮屈さもずっとあって、でも自分から手を放す勇気も持てなければ、本音をさらけ出して話し合って分かり合ってまで関係性を築く体力もなかったんだろうな。
だってそうやって"二人組"を築いてきた経験がないから。
椿がもし、ゆくえ、紅葉、夜々の3人と出会えていなかったら、また違う選択をしていたかもしれない。
3人と出会って、好かれる努力や嫌われない配慮をしなくても一緒になんとなく居心地よく過ごせる場所が自分にも見つかって、一度純恋と離れた椿だから、もう純恋とは会わないから、最後に本音を言えたんですね。
椿目線で見ても苦しいし、純恋目線で受け止めても、辛い。
どちらかが一方的に悪いということではなくて、この二人は、二人組になれなかった二人。ただ、それだけ。
松下洸平さんのこのシーンのお芝居が、ずっとずっと隠してきた本音をぽろぽろとこぼし始めるところから、封印していた感情が高ぶって、声がうわずって、呼吸が荒くなって、本当に、昔子どもの頃に閉じこもったままの椿が顔を出した感じで、苦しくて、胸に迫るものがありました。
それを受け止める臼田あさ美さんのお芝居も、目線や表情、震える唇や声から、純恋はただの奔放な女ではなく、純恋なりに椿にちゃんと恋をしていたことが伝わってきました。
3-8. 友達
このシーン、最後に「またね」「じゃぁね」「さようなら」でもなく、「おじゃましました」と言って出ていく純恋が良かったです。
もうここは椿の家で、自分の家ではなくて、きっともう二人は会わないんだろうなという距離感が伝わってきました。
「友達」と3人のことを自信をもって言えた椿もよかったです。
椿が純恋に渡した花束ですが、売り物にならない花の寄せ集めなのできっとすぐに枯れてしまうのに、そんな花束を渡した椿。
いつもの椿だったら、そんなお花なんて悪いからきっと渡せないはず。
明日にはきっと枯れてしまうけれど、今だけ、今日だけは綺麗に咲いている花を渡せた椿と、受け取った純恋。いろいろ分かり合えなかったけど、ここでは少し分かり合えて、笑い合えたんだね。
純恋には、モリナガくんじゃない男と幸せになってほしい!
一人じゃない
3-9. 部室
何気ない会話から今度は紅葉くんの夢が少しエグられましたね。
次回4話は夜々回のようなので、その次が紅葉回かな?
絵と、前に住んでいた人、その詳細が明かされるのが楽しみです。
純恋が帰った後の椿の家。もう4人にとって、4人でこの家にいることがすっかり居心地がよくて、部室のような場所になっている。
純恋が少し不憫ですが、椿は純恋といる時とは全然違う、ナチュラルに柔らかい表情をしていて、言葉につかえたり選んだりすることなく早口で喋りたいように喋っていて、もう"4人組"の"友達"ですね。
引っ越しの匂わせがありましたが、最後にこの家を椿が出て、4人の部室がなくなるのかな?
鈴子と楓の会話から、椿が純恋に花束を渡したことの意味が感じ取れました。
枯れるから、自分がいらないから渡したのではなくて、今綺麗に咲いている花を、素直な気持ちで、純恋に渡したくなったのかな。
紅葉にとって、ゆくえちゃんがゆくえちゃんであるように、純恋は椿にとって、女友達でも元カノでもない、"純恋"として、これから会うことはなくとも特別な存在として残ってほしい。
別れたけれど、一緒にいた時間は窮屈さもあったけれど、好きだったし椿も恋していたということが、名前や花言葉にかけたスミレにまつわる話からも感じられました。
3-10. 何かしらみんな
仕事とか、人間関係とか。みんな少なからず、空気を読んだり、周りに合わせたり、自分を良く見せたり、強く見せたり、しますよね。
そうやって一生懸命に生きて、作り上げたよそいきの自分の仮面を、少なからずみんな顔に貼り付けて身に纏って生きている。
別にこの物語の4人だけじゃなくて、みんなきっと、少なからず。
そんな風に生きて、いざ"本当の自分"とか"本当の気持ち"とか、向き合ってややこしく考えようとしてしまうと、とても窮屈で、本当の自分や気持ちの行き場がないように思えてしまうこともあるけれど、そうやって作った自分だって自分だし、それがいつも悪いわけじゃない。
そう見せて、そう思われていることも、立派に生きているということ。
そんな風に優しく肯定された気持ちがする、穏やかなシーンでした。
周りから言われることを、変に穿った見方をせずに素直に受け止めることも、時に大切ですね。
周りを否定すると、自分を否定しているみたいになるから。
難しく考えなくてよいのにってこと、きっとたくさんある。
3-11. 一人で大丈夫
ミドリちゃん!普通に今も仲良く電話出来る友達だったんですね。
このミドリちゃんが数少ないゆくえの友達のはず。
今後またゆくえ回でこの関係性が掘られるかな?と期待です。
紅葉と別れる際の夜々。紅葉は大貴や今までの"男友達"たちとは違うとわかっていながらも、試してみた夜々。期待通りの紅葉の態度が嬉しくて、居心地が良さそうで、微笑ましかったです。
最後の椿の台詞。
子どもの時から、「一人で大丈夫にならなきゃ」と唱えるようにして、無個性のいい人になった椿。
今は、純恋が去った広い家でポツンと一人残されても、"一人で大丈夫"と思える。
本当に一人だった時には到底思う事の出来なかったこと。
グループLINEで繋がれて、部室が出来て、嫌われない配慮も好かれる努力もせずに居心地よく過ごせる"4人"が、今はあるから。
ゆくえも、夜々も、紅葉も、きっと同じですね。
3-12. 夜々と紅葉
楽しかった時間の後、最後に、夜々と紅葉に少し不穏な空気が訪れて今回は終わりました。
次回は夜々回ですが、母親に対してわだかまりがありそうな夜々。
女の子らしく可愛く明るく振舞って、嫌われない配慮をしてきた相手。
今の夜々の人格形成にも大きな影響を与えているでしょうから、どのように描かれるかが楽しみです。
紅葉は、客寄せ用のイケメンポジションとして、飲み会などにこれからも誘われてきたのでしょう。
さっきまで一緒に過ごしていた4人の"友達"と、今まで繋がってきた"友達"。
今までは、紅葉にとっての"友達"って、当たり前のように後者だったんですよね。それが、今は、違う。
みんなそれぞれ、4人で出逢えたことで、自分を縛り付ける要らないものを手放して、自分の事を否定せず、本当に欲しいもの・大切なものを抱きしめて生きていけるようになったらいいな。
4人の会話劇が楽しい作品。次回第4話も楽しみです!