【いちばんすきな花】第4話:細かすぎるあらすじ&感想
いちばんすきな花
第4話 2023/11/2(木) 22:00~
第4話。夜々ちゃん回でした。
思わず涙がこぼれましたが、より強く深くなった4人の絆が感じられて、ほっこりもした回でした。
本記事では、ドラマ「いちばんすきな花」第4話のあらすじや台詞を、感想や考察を交えながらまとめています。
脚本や台詞が好きすぎて細かすぎるほどに残しているので、長いです!笑
※ネタバレを含みますので、これからご覧になる方はご注意ください。
●「いちばんすきな花」第4話
息苦しい
4-1. 私はお人形
今回は夜々回ですね。
幼少期から母には女の子として"女の子らしさ"を求められて育ち、その容姿から、学校でも職場でも、マスコット的な扱いをされてきた夜々のこれまでが表現されました。
この役は本当に、今田美桜さんが演じられるから説得力がありますね。
誰が見ても可愛くて、いつもまず外見や性別で決めつけられてしまう。
その上で、性格が悪いわけではない夜々ちゃんの、気遣いが出来るところや繊細さが丁寧にお芝居で表現されていて、夜々という役に余計ないやらしさを感じずに物語を見ることが出来ます。
4-2. 枯れた花束
このシーン、なんてことないシーンでしたが笑いました。
椿のデスクの花束を見て、勝手に色々と想像してひそひそ話をする同僚の女性2人。
あぁ、人ってこういう風に勝手にあれこれ想像されて、決めつけられて、噂されて、それが広まって、コミュニティの中でのキャラクターが出来上がっていくんだなと感じました。
同僚たちは椿を傷つけていたり見下している意識はないのだと思いますが、椿はこんな風に自分が言われている声が聞こえてしまうこと、今まで何度もあったんだろうな。
それでも、黙ったり、薄ら笑いを浮かべてやり過ごしてきたんだろうなぁと、この1シーンで色々と思いを巡らせてしまいました。
4-3. 今夜うち来る?
前回3話の終わりの予告シーンで気になっていた「今夜うち来る?」の台詞が、こんなに早い段階で回収されるとは思いませんでした(笑)
一緒に過ごすことが椿にとってあまりに自然なことになってきているんですね。
前回の自分の話について詫びる椿ですが、前回、椿宅で当該の発言を椿がした際、表情が曇る紅葉の様子に椿は気付き、声をかけ、話題を変えていました。この時は何が紅葉に引っかかったのか分からなかった椿ですが、今理解し、あらためて謝ったんですね。
きっと椿はいつも他人の些細な変化にも敏感だから、「あれはなんだったのかな」とずっと気に掛けていたのかなと思います。
紅葉ですが、以前、出版社との打ち合わせにて、イラストについて「大事なのは良さより好きになってもらえるか」と言われてしまった紅葉。
椿さんが「好き」と言ってくれて、嬉しそうにする表情が可愛らしかったです。
椿がイラストレーターのことを絵描きさんと言うのも、椿らしくて可愛いですよね。
前回はおにぎりのことをおむすびと言っていたと思います。
こういうちょっとした言い回しでも人柄が表現されていて、巧みな演出だなと思いました。
4-4. おむすび
娘のために花を買う沙夜子。
女の子にはお花、という考えで、家に来るたびに飾っていくのかもしれませんね。
「夜々の好きな色はピンク」と決めつけているような雰囲気でした。
母とのLINEや会話を、なんとなく鬱陶しそうにする夜々ですが、夜々にとってはLINEで繋がることの出来た4人、中でもゆくえの存在が救いになっているようですね。
二人で行くのがオシャレカフェでもなく庶民的な定食屋さんというのも、気取らない感じがして良いなと思いました。
椿さんの「おむすび」呼びがいじられていて嬉しかったです(笑)
ゆくえも、4人で出会う前はこういう時の夜ごはんには赤田を誘っていたんでしょうね。それが自然に夜々に変わったのかな。微笑ましいです。
4-5. 女の子
グループLINE、ほんとに普通の仲良い友達っていう感じで、みんなやりとりが楽しくて少しはしゃいでいるような雰囲気で、微笑ましいです。
お母さんの後ろから覗いてくるあの感じ、いやでしたね~!(笑)
夜々が自分の知らないところで男性と関わりをもつことを母は心配しているのだと思いますが、ここで、「ゆくえ」「椿」「紅葉」という、文字だけでは女の子ともとれるネーミングが生きていますね。
夜々は、母がどうしても女の子が欲しくて生んだ子だということがわかりました。
夜々が、自分の価値は女の子であること、自分は女の子としてしか求められていない、というある種の強迫観念を異常に強くもっていることには、母親が大きく影響しているんですね。
母としては、念願の女の子で、たっぷりの愛情を注いできたのでしょう。
その愛情が、夜々的には少しピントがずれていて、ずっと苦しかった。
その息苦しさがこの第4話でどう描かれるのか、この親子関係には注目です。
4-6. 差別と区別
この物語で、夜々を軸に描かれる男女の区別や差別の話ですが、この物語の中で今後どこまで深く描かれていくのか、何か答えが提示されるのか、疑問を投げかけて終わるのか、気になります。
「男女平等」というワードと、それが掲げられたもとに広がる実態には、疑問や違和感を抱く場面が日常の中には多々ありますよね。
夜々と同僚の美容院での会話も、おのでら塾での男女が気付いたら分かれていく現象も、あるあるだなと思います。
希子ちゃんが学校に行かない理由のひとつにも、そういうことがあるのかな?
それにしても美容院でのシャンプーですが、女のシャンプーは嫌だなんていうお客さん、いるんですね。
確かに、マッサージとかだと、男性の方が力が強くていいなと思う時はありますが…。この美容院のシャンプーは指名システムがあるわけでもなさそうだし、こういう時に、なんで女であることを申し訳なく思わなければならないのか。面倒なのは客なのに、夜々が相良に迷惑をかけているような。理不尽ですよね。
4-7. お気に入りのお人形
雪見だいふくも、パピコも、開けたら2個食べないといけないやつ。
ピザは、一人では多すぎてなかなか食べられないやつ。
4人で当たり前のように分けるんだろうな。こういう小物使い、素敵。
前に紅葉が忘れ物にしたハンカチをしまった椿宅の引き出しの中にあったUNO、4人で遊ぶんだな。UNOも一人じゃ出来ないもんね。
ますます可愛い"4人組"にほっこりしました。
夜々と沙夜子の会話。ついに夜々が沙夜子に本音をぶつけましたね。
沙夜子の前ではこれまでずっと、夜々は本音は言わず、母親に合わせて、いつも笑顔で、対応してきたのでしょう。
夜々がそうだったから、沙夜子もまさか娘にとって自分が負担になっているなんて思いもせず、以前と違って自分だけを見てくれない夜々に違和感を感じて、心配になったのだと思います。
お母さん、ちょっと鬱陶しいけど、夜々の事を想っていないタイプの悪い母親ではなさそうなんですよね。
でも、これまでは黙って耐えていた夜々も、最近出来た"友達"のことを悪く言われて、ついに耐えられなくなった。
今まではこういう時、行く場所もなかったけれど、今は"4人組"がある。
母の前から飛び出した夜々は、椿宅へ向かうのでしょう。
救われる場所
4-8. ピザ
椿と紅葉の前では耐えたのに、ゆくえの顔を見て泣きそうになってしまった夜々。
椿、紅葉、ゆくえ、3人とも、現れた夜々の様子を見て何かあったのかと心配はしているのですが、椿と紅葉は「大丈夫?」「何かあった?」と聞いたのに対して、ゆくえは何も聞かず、ピザの話だけしました。
人って、大丈夫かって聞かれたら、大丈夫ってつい答えてしまう。
特に、今までどんな時もそうやってやり過ごしてきたから、それが癖になっている夜々ですし、自分のことで周りに迷惑をかけたくない夜々は、そうしてしまう。
逆に、何があったのかなんて聞かずに、いつもと同じように笑って、ピザをチンするねって言ってくれたゆくえ。
夜々が今いちばん心を許しているゆくえが、そうやっていつも通りいてくれるのが、夜々は嬉しかったんですよね。
その後ゆくえに甘える夜々。夜々が泣いても、すぐに「どうしたの?」と聞くわけでもなく、ピザを温めるゆくえ。
ゆくえの、こういうところ、好き。こういうところが人を救うんですよね。
気を利かせて二人で出ていく椿と紅葉。
一番苦手だった"二人組"を、夜々のために躊躇いもなく提案する椿。
アイコンタクトで通じ合えてしまう3人。
4人が、少しずつ心の距離を近づけていて、お互いのために思い合って感じ取り合って行動が出来る。
出会った時間や会った回数に関係なく、この4人は、分かり合える4人、なんだなと感じられるシーンでした。
椿とゆくえの、お兄ちゃんお姉ちゃん感も良いですよね。
4人が、初めて自主的に二人と二人に別れる演出も好きです。
夜々がいない間も、3人が夜々の席を空けて座っていた演出も好きです。
4人組だからって、いつも4人でいないといけないわけでもない。
その時々、居たいように、居たいかたちで、一緒に居る。
それが出来る4人組、いいな。
4-9. サシ飲み
夜々が、母親の前から飛び出せたのは、4人組があったから。
紅葉が、パンダ役を断れたのも、4人組があったから。
4人組が出来る前と後でのそれぞれの変化が表現されているシーンでした。
陰で呼ばれるやつは、相性のこもったあだ名ではなくて、ただ貼りつけられたラベルのような記号。
あだ名と記号というワードで皮肉っぽく表現する台詞も印象的でした。
4-10. 夜々の辛さ
前半は、夜々に背を向けてキッチンに立って、静かに話を聞いてあげるゆくえ。
夜々が想いを吐き出して泣き出した後は、いつもの斜め前の自分の席ではなく、隣にそっと座ったゆくえ。
"黙って背中をさする"は、生方さん脚本のドラマ「silent」でも要所で登場した表現でしたが、今回も印象的でした。
「多数派の"ツライ"」は、LGBTを「少数派の"ツライ"」とした上での表現なのかな?と思いました。
夜々が抱えている女の子であることの辛さは、自分が自分である前に"女の子"という記号でラベリングされて、誰も自分の中身を見ようとせず、外側である容姿や性別しか見てくれない、自分の価値はそこにしかない、という思いからの辛さですよね。
それは、母親の夜々の愛し方が大きく影響を与えたベースになっていて、夜々はずっとそれが苦しかった。
人の辛さって、誰かと比べるものでもなければ、なにかにあてはめて名前をつけなければいけないものでもない。
私は、これが辛い。あなたは、それが辛い。それだけで本当は良くて。
だから、"自分の辛さは誰かの辛さよりも辛くないから私は大丈夫"とか、そんな風に何かと比べてサイズを測るようなものでもないし、同じ辛さを抱えている人数が多いか少ないかも関係ない。
人からそうやって決めつけられて、わかったように対応されることも辛いけど、自分自身でそういう風に自分の辛さを処理して、大丈夫と思い込もうとしてやっていくことが、一番苦しいですよね。
やっと打ち明けた保健室の先生が、夜々の話をちゃんと聞いてくれて、相談に乗ろうとしてくれたのも、優しさかったのも、わかってる。
母親が、母親なりに自分を愛してくれているのも、想ってくれているのも、わかってる。
わかってるけど、違うんだよな。
でも、わかるから、もういいや。
そう思ってしまって、頼れる場所がどんどんなくなっていってしまった。
そんな夜々の苦しさが、ゆくえの前で吐き出されて、それをただ静かにゆくえが聞くという描写に、ぐっときました。
"私は、これが辛い。"
"あなたは、それが辛いんだね。"
それだけでよかったんだよね。
4-11. お人形にならないでね
自分はお人形だというコンプレックスを持つ夜々の心を、またゆくえがそっとほぐしていくシーンでした。
帰らなくて大丈夫?とも、帰った方がいいよ、とも言わず、当たり前のように夜々を自分の家に連れて帰るゆくえちゃん、男前です。
このみちゃんが夜々を受け入れたのもほっこりしました。
ゆくえが"友達"を家に連れてくるなんてほとんどなかったんでしょうね。
夜々を連れてきた時点で、何か察して、そっと受け入れたこのみちゃん。
人付き合いが苦手だということですが、人の気持ちや関係性に気付けない鈍感な子ではないことがわかりました。
いちばんすきな花
4-12. 好きな人の好きなもの
夜々のいちばん好きな花は、紫陽花。
カタツムリがいる紫色の紫陽花。スマホの待ち受けにもしている紫陽花。
お母さんは、夜々のいちばん好きな花を、ちゃんと知っていましたね。
花屋さんで最初に店内を見回していたのは、紫陽花を探していたんですね。
紫色の紫陽花の花言葉のひとつに、「辛抱強い愛」があります。
第1話を鑑賞した時は、夜々がずっと周りからの目に耐えてきた辛抱を表現しているのかと思いレビューしましたが、この「辛抱強い愛」って、夜々の母親に対する愛なのかもしれないなと、今思いました。
ずっと苦しかったけど、お母さんのことが好きだったから、耐えてきた。
雨が降る中でも凛と咲く紫陽花に自分を重ねて、一生懸命笑って、ちゃんと綺麗に咲いて。
その裏に隠していた本当の自分を一番見つけてほしかったお母さんに、やっとちゃんと自分の気持ちを言えた夜々。
お兄ちゃんたちもずっと、「夜々ばかり可愛がられて」って思いながら過ごしていたんですね。
夜々の話を静かに聞き、理解するお母さん。
お母さんはあまりにも"女の子"を夜々に押し付けていましたが、ここで夜々の事を理解してくれるお母さんで、この二人がちゃんと"親子"で、良かったです。
もっと早く本音を伝えていたら、もっと早く夜々は辛さから解放されていたかもしれません。
口に出して話してみれば、意外とあっさりわかってもらえて、変われちゃうことってありますよね。
なんだ、私ってこんなことも言えなかったのかって、意外とあっけなく、つかえが取れていったりする。
でも、そんな簡単なことをなかなか出来なかったのは、夜々が、お母さんの愛情をちゃんと理解していたからですよね。
お母さんの愛情は確かにあって、夜々に伝わっていて、だけどそれが、夜々が欲しいものとは少し違っただけ。
お母さんのこと、夜々はちゃんと好き。好きだけど、嫌いなところがあっただけ。
ここで本音を言えて、分かり合えたこの親子なら、今後も気まずくならず、変わらず親子でいられそうですね。よかったです。
母親がただの毒親という描写で終わらないのもよかったです。
生方さんの作品の世界には、本当の正真正銘の根っからの悪者がいつもいないのが好きです。
夜々ちゃんの涙には、お母さんごめんね、という、期待に応えられなかったことへの申し訳なさもあるように思いました。
だけど、やっと本音を言えて、楽になれた安堵感もある。
今田美桜さんのこのシーンのお芝居には、思わず涙してしまいました。
椿宅でのピザもそうですが、泣きながらごはんを食べる演出も、坂元裕二さんや生方さんの脚本でよく登場しますよね。
人の生きる逞しさとか、生きていける、大丈夫、というこの表現。
カルテットのすずめちゃんとか、silentの紬とか。とても好きです。
4-13. いちばんすきな花
椿さん、夜々ちゃんのことが心配で、大の苦手な"2回目の美容院"に自ら足を運んだんですね。
ゆくえはゆくえの優しさで夜々に寄り添って、椿は椿の優しさで夜々に寄り添う。
やっぱりこの二人のお兄ちゃんお姉ちゃん感、好きです。
カタツムリのこと、椿ならでんでん虫と言うと思ってわざと聞いたであろう夜々。
「椿さん、でんでん虫って言ってましたよ」って、ゆくえと笑うんだろうな。
タイトルの「いちばんすきな花」がサラっとここで回収されましたね。
相手が好きなものを知ることって、よく考えたら愛おしいことですよね。
これが好きだろうって一方的に押し付けるのではなく、ちゃんと相手が好きなものを知ること。知ろうとすること。
人との関係を築くって、そういうことなのかもしれないですね。
嫌いなものを知って避けることよりも、好きなものを知って尊重すること。
この物語のタイトルに込められたひとつの意味なのかもしれません。
夜々の兄弟の名前が、三男に「夜」でなく「夕」をつけたあたり、母親の女の子がほしいという執念を感じます(笑)
そんなことも笑ってネタのように話す夜々の表情が、すごくスッキリしていて。
お母さんに本音を言えた後だから、心が軽くなってよく笑いよく喋る夜々に、ほっとしました。
椿さんも、何があったのかはもうあえて聞かないけれど、そんな夜々を見て安心しただろうな。
椿さんはこのままSnailに通うのか?楽しみです。
4-14. 良い悪いと好き嫌い
おおおーーーーーー
紅葉のゆくえちゃんへの想いについてはチラホラと伏線がありましたが、やっぱりそういうことなのか。
この4人組には恋愛感情はないといいななんて思っていたけど、ここから物語のテーマであった「男女の友情は成立するのか」に繋がっていくのかな?
次は紅葉回のようなので、展開が気になりますね。
紅葉のイラストをめぐって、「良い」「悪い」「好き」「嫌い」のキーワードが度々描かれますが、このシーンでのゆくえの台詞には共感です。
良い悪いと好き嫌いをごっちゃにして、自分の好き以外を悪だとして否定する人っていますよね。
自分はそうなりたくないなと思います。
また、好き嫌いに理由はいらないというのも、心に残る台詞でした。
何かしら理由をつけて一緒にいたのが椿と純恋で、理由もなく好きというだけで一緒にいられたのがゆくえと赤田でしたね。
そう、その赤田が!!!次回また登場しそうですね!!
また仲野太賀さんに会えるとは、歓喜です!!
ゆくえの赤田への想いだけは、どうかぶれないで友情であってほしいなぁ。
次回4話から、恋愛感情の「好き」が描かれ始めるのか?
楽しみですね。
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