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【silent】第2話 こまかすぎるあらすじ&感想

昨年2022年10月期に放送され、社会現象にもなったドラマ「silent」。
ドラマ大好きな私はもちろん当時も見ていましたし、何度も録画も見ましたし、シナリオブックも購入し、ついには円盤も購入してしまいました。
1年が経ち、Blu-rayでディレクターズカット版を観直しているのですが、本当に大好きな作品です。
当記事では「silent」第2話のあらすじ&感想を好きなだけ語っています(笑)


●「silent」概要

公式サイト

放送時期、キャスト、スタッフ

【放送時期】2022年10月期 フジテレビ 木曜22時
【キャスト】青羽紬役…川口春奈さん、佐倉想役…目黒蓮さん(SnowMan)、戸川湊斗役…鈴鹿央士さん、桃野奈々役…夏帆さん、佐倉律子役…篠原涼子さん 他
【脚本】生方美久さん
【プロデュース】村瀬健さん
【演出】風間太樹さん、高野舞さん

●「silent」第2話

2-1. どうでもいい話

想と紬、高校時代の放課後の教室。
「紙を42回折ると月に届くんだって」と想。「嘘、絶対嘘」と紬。計算方法を説明する想に、「うるさい」と耳をふさぐ紬。そんな紬を見て、いたずらそうに笑ってわざと説明を繰り返す想。

想モノローグ
「どうでもいい話ばかりしてた。あの時、あの場所でしなくてもいい、くだらない話ばかりしてた。ただ好きな人と話しているその時間に意味があった。

教師の古賀が表れ「部活引退して、進路決まって、残りの高校生活で恋愛か。完璧か。絶対幸せになれよ。お前ら二人が付き合って学校中が失恋パンデミックだよ。お前ら自分がモテるって自覚あるか?自覚ないだろ。自覚がないモテるやつ先生嫌いじゃないよ。おー帰れ。帰れ帰れ。手繋いで帰れ。気を付けて帰れよ。」と二人をちゃかすようにいじる。
そそくさと教室を後にする想と紬。「顧問の指示だから」と紬の手を繋ぐ想。

想モノローグ
「特別なものなんて何もいらなかったし、このままでよかった。卒業して遠距離になることなんてなんでもなかった。なんでもなかったのに。」

この放課後の教室のシーンはとっても可愛らしくて大好きです。
説明を聞くのを嫌がる紬が可愛くて愛おしくて、ついいじわるしてからかう想くん。
古賀先生がやってきて、小声で「帰る?」と紬に合図をして、紬が荷物をまとめるのを待ってあげる想。
手を繋いでにこにこしながら廊下を歩く二人。

これだけの美男美女カップルですから、きっと想も紬もモテたんだろうに、紬は想、想は紬しかずっと見ていなくて、この二人が付き合った時はたくさんの生徒たちが失恋したんでしょうね。
みんなにとっても憧れの二人で、お似合いの二人で、みんなが高校時代を思い出す時、きっと話題に上がったり心に浮かべる二人なんだろうな。

二人が手を繋いで歩く廊下のシーンの破壊力がすごいですよね。絵になりすぎて甘酸っぱすぎて、何度リピートしてもニヤけます。
この二人に、学ランでもセーラ服でもなく、シンプルな制服を着せてくださった衣装さんにお礼を申し上げたいです。似合いすぎる。
変に着崩したりしないでも美男美女さが際立つ二人。尊いです。

ところでこの紙を42回折ると月に届く説、私も紬と同じでまったくそういうのに興味がないのでうんざりですが(笑)、調べてみると本当に理論上はそうなんですね。
想くんは、体育館で読み上げた作文では「言葉」について語ったり、こんな風に二乗の理論についてもきっと自分で計算してみたり、何かをひとりでじーっと考えてみるようなことが好きな性格なのかなと思います。
すごく真面目で、たまにちょっと面倒くさいようなところもあって。
でも紬と一緒に過ごす時間はシンプルに楽しかったんだろうな。
そんな高校時代の思い出が際立つシーンでした。


2-2. すごいうるさい

想、高校卒業式の日、紬と手を振り別れて歩き出した矢先、イヤフォンで音楽を聴いていたが突然の耳鳴りで音楽が聴こえない。不安そうな表情。迎えにきて心配する母に「大丈夫」と笑ってごまかす。

想、帰宅し自宅でイヤフォンで音楽を聴いていると、突然隣に母がやってきて驚く想。「ちゃんとノックしたよ。てかあんまり大きい音で聞くのやめなよ。ほらー、耳悪くなるよ。」と母。

その後、家族での食卓。妹の萌が何度も「お兄ちゃん」と呼びかけるが聞こえない想。「え、なんで萌無視されてんの?萌ずっと読んでたじゃん」と姉の華。「ごめん」と想。

食後、台所で洗い物をする母・律子のもとへやってきた想。「ねぇ想。耳…耳どうした?」と律子。初めは気のせいだとごまかしていた想だったが、「いつから?」と律子に聞かれ、「卒業式の後から。ずっと耳鳴りみたいな音してて、すごいうるさい。」と打ち明ける。

イヤフォン、ノックの音、音のボリューム、家族の声。いろいろな演出を用いて、想の耳が聞こえにくくなっている様子が切なく表現されました。
すべてのシーンにおいて、不安と戸惑いでいっぱいな想の表情がとても繊細に表現されていて、見ているこちらも胸が締め付けられるような思いでした

台所にやってきた時、お母さんに何か言おうとして来たけれど、言えなくて、飲み込んで、戻ろうとしたらお母さんから何度も聞いてくれたから、やっと打ち明けられた想。
不安で口に出すのも怖かっただろうに、認めてしまうような怖さと、助けてほしいと縋るような気持ちと、信じたくない気持ちと、母を悲しませるかもしれないという優しさ、「すごいうるさい」と言った想の表情がとても苦しかったです。

第1話でも、この第2話の冒頭でも登場した"うるさい"のワードが、ここでも使われています。
愛おしい「うるさい」、悲しい「うるさい」、不安でいっぱいの「うるさい」。同じ言葉でもこんなにも印象が変わるんですね。

ちなみに自宅で想がイヤフォンで聞いていた音楽は、back numberの「世田谷ラブストーリー」です。
再会した後の物語は世田谷で紡がれますもんね。なんという演出!


2-3. 難聴

病院で難聴という診察結果を聞く律子と想。医師に遺伝性の病気の可能性もあると言われるが、心当たりはない。戸惑う律子。静かに聞く想。
待合室で、手話を使い会話する親子、補聴器をする男性を見て、慌ててイヤフォンを付ける想。ボリュームを上げて、まだ聞こえる音を、目を閉じて聞き、心を落ち着かせる。
帰宅後、律子は台所で、家族に聞こえないように蛇口から水を流しっぱなしにしたまま、崩れ落ちるように泣いていた。

想モノローグ
「何度も病院に行って、何度も検査を重ねて、病気が分かった。すぐに聞こえなくなるわけじゃない。ゆっくりゆっくり進行する人もいるし、わずかに聴力が残る人もいる。そう説明された。だんだん聞こえにくくなるし、完全に聞こえなくなることもある。そういう意味だった。」

新生活に向けて東京へ出発する想を車で駅まで送り届けた律子。
「お母さん、ごめんね。行ってきます。」と想。
「いってらっしゃい。」と送り出し、想の背中を見つめて涙する律子。

大学入学後、教室で紬からの電話の着信に気付く想。電話には出ず、「電話出れなくてごめん。今日そっち帰るけど、少し会える?」とLINEを送る。

想モノローグ
「自分が苦しむだけなら、まだよかった。」

はぁ…。苦しい…。
病院の待合室で縋るような思いで音楽を聴く想、聞いていたのはスピッツの「魔法のコトバ」でした。
紬に告白して聞かせた時はあんなにもときめいた音楽が、こんなに悲しく聞こえるなんて。

母に「ごめんね」と少し笑みを浮かべながら悲しそうに言う想の表情が切なくて。
高校卒業式後に診察を受けて、春の大学入学まで、そんなに日はなかったはず。
律子も想もまだ到底受け入れるなんて出来なくて、でももう春はやってきてしまう。
今すぐどうなるわけではないかもしれないけれど、進行も早そうだし、いつどうなるかなんてわからない。
いろんな話をしたり、いろんな思いを持って、それでも想は新生活に踏み出して、律子は送り出したんだろうな。
この時の想の気持ちはもちろん、律子の気持ちも想像するだけで苦しいですね。


2-4. 最後の公園

地元の公園、ブランコに座り待つ想。やってきた紬。想と会う前に手鏡で前髪を整える紬に気付き、見ないふりをしてあげる想。「佐倉くん」と呼び小走りでやってきた紬。結局乱れた前髪を笑って整えてあげる想。
「青羽に聞いてほしいことあって」と切り出すが、言葉に詰まる想。
そんな想の背中を撫でながら話しかける紬。

-紬「大学大変?部活で嫌なことあった?佐倉くんに向けられる悪意ってね、全部嫉妬だから聞き流して大丈夫だよ。みんな佐倉くんのこと嫌いなんじゃないの、好きすぎる。人の悪口ってね、悪口言っていい人には言っていいんだよ。私言っていい人だから。寝たら忘れる人だから。はい、どうぞ。泣きたい時、優しくされると泣きたくなるよね。わかる。いいよ。泣いとこ泣いとこ。男の子も泣いていいんだよ。私寝たら忘れるから。」
-想「大丈夫。泣くの大丈夫。」
-紬「うん…。じゃぁなんかあったら電話して。」
-想「うん。わかった。」
-紬「何もなくても電話して。」
-想「わかった。」
-紬「佐倉くんの電話したい時に電話して。私したくない時ないから。24時間体制だから。」
-想「青羽、電話好きだよね。」
-紬「好き。声聞けるからね。」
-想「声はね、聞きたいよね。」
-紬「佐倉くんの声聞く度に思うんだよね。好きな声だなぁって。」

時間がないからと帰ろうとする想。歩きながら紬に名前を呼んでほしいと切り出す。照れながら「想くん」と呼ぶ紬。「初めて呼んだ、緊張した」と紬。ごめんねと謝る想。「じゃあ」と想。「またね、想くん」と紬。
紬に背を向けて歩き出す想。振り向くとまだ笑顔で手を振っている紬。笑って手を振り、再び歩き出す想は、涙が止まらない。

紬モノローグ
「それから佐倉くんは、一度も電話に出てくれなかった。」

あああああああああああぁぁぁ切ない。でも前髪のくだり可愛すぎ!!!

改めて見直したんですけど、本当に想くんは表情が細かく繊細に色々と変わって、目黒くんこんなに色々とお芝居していたんだなって感心しました。

紬のまっすぐの言葉とポジティブさ、優しさは、きっと今までも想を度々救ってきたんだろうな。
色々と考えこんじゃったり、抱えがちの想くんは、紬に笑顔をたくさんもらってきたんだろうな。
それが今は、こんなに切なく響くなんて。
想は最初、何かを言いかけましたよね。別れ話だったのか、もしかしたら、耳のことを打ち明けようとしたのか。
紬のまっすぐさを前にして、きっと想も、紬のことが好きだなぁとあらためて実感してしまったんでしょうね。
前髪のくだりから、最後に名前を呼んでもらうところまで、想の紬に対する思いが溢れていて、切なすぎました。

紬が想にかけた台詞から、お互い大学に入学して、紬は地元に残り想は上京して、おそらく初めて二人で会ったのが今回だったのでしょう。
久しぶりに会ったこの公園での再会を最後に連絡がとれなくなったということは、紬にとっては本当に突然の別れだったんですね。
最後のこの公園で、何か言いたそうだったけれど結局言わなかった想のことを、紬は何度も思い出して、何があったのか心配していたんだろうな。

この公園での再会は、紬目線で見ると、「佐倉くん」呼びから「想くん」呼びを初めてして、ドキドキして、次いつ会えるかな、私も紬って呼んでもらえばよかったなんて思いながら、ニコニコして帰ったんじゃないかな。
想と紬の対比が、切なすぎます。


2-5. パンダ スペース 落ちる

現在の紬、想と再会したシーン。立ち尽くし涙が止まらない紬、そのまま泣きながら駅の方向へ戻る。蹲り泣いている想のもとへ現れた奈々。

湊斗からの電話をとる紬。動揺し「大丈夫」を繰り返す紬。
-湊「お迎え行くから待ってて。乗り換えるとこだよね?この電話切ったら、動画、検索して。パンダ、スペース、落ちるって。可愛いの出てくるから、それ見て待ってて。わかった?」

何があったか察して、紬に優しい声で話しかける湊斗。
湊斗の声を聞いて、少し落ち着きを取り戻した紬。
想くんの声もいいけど湊斗くんの声も本当に素敵ですよね。優しくて、癒される。生方さんの台詞まわしは鈴鹿くんが一番自然に聞こえて好きです。

彼女の心を整えるために、パンダの動画見せて落ち着かせてる間に颯爽とお迎えに行く湊斗くん、王子なの?
私は湊斗に幸せになってもらいたかったし、今も幸せになってほしいと思っているよ。


2-6. コンポタ

カフェに移動した想と奈々。紬が落としたイヤフォンを取り出し、「知り合いの。返しそびれた。」と想。4万円もするイヤフォンだからきっと持ち主は相当の音楽好きかお金持ちだと話す奈々。「音楽好きの方だから返さないと」と想。

紬を迎えに来た湊斗。慌てて改札を出るとベンチに紬の姿を見つける。
「パンダ落ちた?」と湊斗。「2、30匹」と答える紬。

-湊斗「コーヒーとココア、どっちがいい?」
-紬「…コンポタ」
-湊斗「コンポタもあります」

湊斗からコンポタを受け取る紬。何か言いかけるが話せない。紬の背中をさする湊斗。泣き出す紬。

夜、自宅で一人でいる湊斗のもとに「青羽の連絡先わかる?」と想からLINEが届く。
自宅で一人、暗い部屋で膝を抱える紬。「イヤホンを返したい」と想からLINE。

この世で最もパンダとコンポタが似合う男、湊斗。好き。コンポタ飲も。

湊斗からコンポタを受け取って、想のことを話そうとして話せず泣き出した紬。ここの川口春奈ちゃんの泣き方が苦しそうすぎて切なくて切なくてもらい泣きです。
紬は、想の耳のことを湊斗はまだ知らないと思っているわけで、大親友だった湊斗がそれを知ったら自分と同じようにショックを受けると思ったんでしょうね。
紬のそばに今、湊斗がいてくれてよかった。


2-7. 元気だった?

待ち合わせをしたカフェで想を待つ紬。「元気だった?この辺に住んでるの?仕事はなにしてるの?サッカーは続けてる?耳どうしたの…」と聞きたいことをメモして準備する紬。現れた想。向かい合って座る二人。
イヤフォンを紬に渡してすぐに帰ろうとする想。腕を掴み止める紬。
席に座り直し、音声を文字に変換するアプリをONにして差し出す想。
独り言が文字に変換されて慌てる紬、文字を読みおかしくて笑う想。
少しほぐれた空気に「元気だった?」と聞く紬。頷く想。

店を出る二人。店の前で別れ、歩いていく想の背中を見送る紬。
歩き出した紬の背中を、振り返って見つめる想。

慌てる紬と、それを見てほほ笑む想くん。ふっとほぐれた空気と二人の自然な笑顔に、久々にずっと張りつめていた糸がゆるんだようでした。
元気そうでよかったと微笑み合う二人の表情がとても穏やかで、想くんが紬を見る表情からは、まだ好きなんだろうなぁということが伝わってきて。
空白の時間が長くあっても、あんな再会の仕方をしても、こうやって会えばふっと昔の空気感に戻れるのって、高校時代一緒に過ごした仲だからですよね。
そんな空気感がとてもナチュラルに伝わってくる、自然な演技がさすがでした。
別に再会したからっていきなり付き合うとか恨みつらみをぶつけ合うっていうわけでもないし。そんな距離感も自然ですよね。
昔のような空気にふと戻ったけれど、お互い会わなかった時間の中で時は流れてそれぞれちゃんと大人になっている。短いシーンでしたが伝わってくるシーンでした。


2-8. 次会う時

ファミレスで紬を待つ湊斗。現れた紬、チーズインハンバーグを頼む。
「この前言えなかった話…」と想の話を切り出し、言葉に詰まりながら話そうとする紬に、「想、耳聞こえなかったでしょ。ちゃんと話せた?」と湊斗。耳のことを知っている湊斗に驚く紬。「知ったら不安定になるかなって思って言えなかった。」と謝る湊斗。

イヤフォンを拾ってもらい返してもらったことだけを話す紬。
「よろしく言っといて」と、想に会いたがらない湊斗。
春尾からもらった手話教室のチラシを差し出し、「覚えたら?想喜ぶんじゃない?次会う時」と湊斗。

湊斗よ…
手話を覚えたらと紬にチラシを差し出したのは、主成分優しさだけじゃないよね(涙)
もうこの時点で、二人がまた会って関係を構築していく未来を勝手に湊斗は想像してるんだろうな。
紬の連絡先を想に教えた時点でそうだよね。湊斗はそういうやつなんだよなぁ。

湊斗くん、いつもの穏やかで柔らかい雰囲気に対して、自分の気持ちを抑え込むようなシーンでの急に冷たくなる声色や表情のギャップが印象的です。


2-9. 笑わなくていいから

紬。バイト先のタワレコで、店内BGMの音量の大きさに「うるさ」と紬。
そこに現れた真子。食事に行き、想との出来事を話す紬。言葉を失う真子。
「ごめん、なんか抱えきれなくて。あんまよくないよね、こういうの。勝手に人に話すのね。」と笑いながら言う紬に、コーヒーを差し出し、「飲みな。冷めるから。笑わなくていいから。」と真子。

高校の友人とフットサルをしている湊斗。紬が想と再会したことを友人の拓実に話す。「大丈夫だって。お前らもう3年とかでしょ。いきなり想が出て来たってねぇ。」という拓実に、想の耳のことを伝える。
「ちょっと納得だよね、そんくらいのことないと紬のこと振らないよね」という湊斗に、「それが理由に振ったんだとしてもさ、再会してもさ、わざわざそういうその…障害あるやつの方いかないだろ、昔好きだったからって。」と拓実。

2-10. 真子ちゃん、紬のそばにいてくれてありがとう(涙)
想のことに驚きながらもまっすぐに紬を見て一番に紬の気持ちを考える真子ちゃんと、目に涙を溜めながらコーヒーを飲む紬。
この紬と真子のシーンが私は大好きです。
真子と紬の友情、いいですよね。高校時代からずっと一緒にいて、紬がどれだけ想を好きで、別れてどれだけ傷ついたか、その後どうやって過ごしてきて、今は湊斗といることもわかってる真子ちゃん。
女同士の友情って、こういう時、いいですよね。男前真子ちゃんが好きです。

拓実の台詞の中で、この物語で初めて「障害」というワードが出ました。
ここでの拓実の台詞は文字にすると少しキツくみえますが、強い偏見で何かを決めつけるような言い方ではなく、静かに、湊斗を思いながら伝えていました。


2-11. 手話

春尾の手話教室に通い始めた紬。緊張した様子の紬。
手話を習う理由を聞かれ、「話したい人がいる」と答える紬。
耳が聞こえないと声を出せなくなるのかと春尾に質問する紬。

-春尾「失聴だけが理由で発声出来ないことはないと思います。でも、聞こえなくなって、話したくないと思う人はいるかもしれません。初めから無いのと、あったものが無くなるのは違う感覚だと思うので。すごく好きな人と出会って、すごく好きな人います?いたことあります?すごく好きだけど両想いになれなかったり、なれても別れてしまったり、そういう時思いません?初めから出会わなければよかったって。この人に出会わなければこんなに悲しい思いしなくてすんだのにって思いません?」
-紬「好きになれてよかったって思います。想いたいです。

帰宅した想。「話したいことがあります」と紬からLINE。
「どうぞ」と返信する想。「会って話したい。筆談だから会っても変わらない。」と想。「顔見て話したい」と紬。「わかった」と想。

別日、出かける準備をする紬。手話の本を見かけて何かと問う弟の光。
「佐倉くん。耳聞こえないの。」と紬。紬が想と連絡をとっていることに驚く光。湊斗には話していると伝える紬。動揺する光。

再び手話教室にて、紬と春尾。手話の勉強に気合が入っている紬。
「約束が出来ました。日にちと時間と場所、すでに決まってて、決まってる通りに行けば会えるんです。約束すごすぎます。」と紬。
春尾にアドバイスを求める。

-春尾「極論言うと、手話、無い方がいいかもです。なんていうかその、覚えてやったぞっていう、こっちがお前の言葉をわざわざ覚えてやったっていう感じを感じさせちゃったら終わりです。」
-紬「そんなつもりで覚えたんじゃないです。」
-春尾「そんなつもりかどうかもこっちの都合でしかありませんから。すべては向こうの受け取り方です。でも、喜んでくれますよ普通は。好きな人が、自分の言葉、覚えてきてくれたら。」
-紬「向こうは別に私の事好きじゃ…」
-春尾「青羽さんは好きなんですか?」
-紬「好きだった人です。好きだった人。」

ずっと会えなかった想と、また約束をして話せることになった紬。
第1話のモノローグに、学校は約束しなくても嫌でも週5で会える場所という表現がありましたが、会いたい人に会えることは当たり前じゃないこと、その尊さを感じますね。

手話にまつわる春尾の言葉も、春尾自身の過去の経験もありますが、"相手のために何かをしたい"という善意が、してあげたという押しつけに変わってしまうことがあること、それは受け取る側がどう受け取るかによるということを考えさせられます。

この物語では、手話が、単なる言葉ではなく、人から人へ渡されるプレゼントのようにずっと描かれていますよね
どんなプレゼントも、渡す側の片想いで選んで渡したところで、喜んで受け取ってもらえない。
また、プレゼントなら、相手が何を送ったら喜んでくれるかを考えてから選んで渡すのに、言葉だとついつい一方的なこちらの想いで渡してしまって、相手を傷つけてしまったりする。
伝えることと、伝わることと、届くこと。その難しさを考えさせられます。


2-12. 悲しませたくなかった

待ち合わせのカフェで想を待つ紬。現れた想。
覚えたての手話で、自分の名前、年齢、誕生日、家族構成を伝える紬。
すべてに「知ってる」と笑う想。

-紬「あのさ…(耳を指さして)なんで?」
-想「(スマホに文字を打って)病気。高校卒業して聞こえにくくなって、3年くらい前にほとんど聞こえなくなった」
-紬「(自分のスマホの音声変換アプリを立ち上げて)最後に会った公園、あの、うちの近くの。あの時、そういうことだったのかなって。だったら謝んなきゃって。その時、私知らなかったけど、でも、嫌な思いさせちゃったって思って。電話したいとか、声が好きとか。そんな話ばっかりして。」 
-想「嬉しかったよ」
-紬「でも、好きな人出来たってLINE。送ったでしょ。好きな人出来たって。別れようって。」
-想「好きな人がいる、って送った。(紬を指差して)悲しませたくなかった」

涙が溢れ出す紬。想も泣きながら、スマホに文字を打つ。

-想「そのこと知ったら、そうやって泣くと思ったから」
-紬「(泣きながら)いや、フラれて泣いたし。今よりもっと泣いたし。」
-想「今は、青羽のこと泣かせない優しい人がいるの?」
-紬「うん。いるよ。今度会ってよ。」
-想「(えーという表情をして、切なそうに笑う)」

紬モノローグ
「佐倉くんは、今は、なんでも打ち明けられる信頼出来る人がいる?もうちょっと上手に話せるようになったら聞くね。」

カフェからの帰り道。手話を教わりながら笑い合う紬と想。
踏切前で別れ際の二人。湊斗から着信があり電話に出る紬。
「夜暇?今ちょうど近くでさ…ハンバーグ…」と言いかけて黙る湊斗。
想と紬の視線の先に、湊斗。

はぁ。何度見ても泣けてしまうシーンです。想い合ってしかいなかった二人よ…(涙)

紬は、想の耳のことを知り、最後に会った公園での出来事を思い返して苦しい気持ちでいたんでしょうね。
知らなかったとはいえ、無邪気に人を傷つけてしまったかもしれない。
そういう経験って、誰でもある
と思います。
そのことをちゃんと言葉にして謝ることが出来るのは、まっすぐな紬の良いところですよね。涙をこらえながら後悔するお芝居が胸を打ちました。
想の耳のことも、今は聞こえないという事実をそのまま受け止めて、話したいから、話をするために、手話を覚えた紬。
物事の受け止め方や考え方がとてもシンプルで、こういうまっすぐなところに、想や湊斗、紬の周りの人たちは惹かれるんだろうな。

湊斗にも会ってほしいなと思う紬。久しぶりに再会出来て、恋愛感情じゃなくて、やっぱり想は好きな人だし、大切な人だから。仲の良かった湊斗や、疎遠になってしまった仲間たちとも、想が望むならまた繋がりをもってほしいというシンプルな気持ちだったのだと思います。
それに対して、「えー」と困ったように笑った想くん。
ここの「えー」のなんとも言えない表情、さすがでしたよね。
あぁ紬は今彼氏いるんだなっていう寂しさと、幸せになったのかなっていう安堵と、いざ聞くと辛いなって言う苦しさと、入り混じった感じ。
想くんは、紬が好きだったから別れたし、想くんの中ではずっと紬は今も"好きな人"なのかな。"好きだった人"かな。どっちだい想くん。
この時点では、想もまた紬と付き合うなんてことまでは考えていないけれど、やっぱり想にとっても紬は大切な人だったから。
またこうやって話せて、紬が手話を覚えてきてくれて、向き合ってきてくれて、話せて、ずっとひとりで孤独の中でじっとしていた想くんの心も、ここからまた動き出していきますね。

川口春奈さんの、涙がこぼれ落ちるシーン、涙が止まらなくなってしまってひっくひっく言いながら涙を拭うシーン、何度見ても一緒に泣けてしまいます。
大人になって人前で泣くって、相当ですよね。
普通の大人は、無意識に泣かないように我慢するし、それでも泣いてしまった時って、もう自分で止められなくて、どんどん溢れてしまう。
鼻がツンとして、唇が震えて、喉が詰まって、苦しくなる、あの感じ。
紬が想の言葉を受け止めて、想が突然別れを告げた理由や想いを理解して、最初は笑って耐えようとするけれど、気持ちがこぼれてしまって涙が止まらなくなる。そのお芝居がとてもリアルで、泣けました。

想くんは本来このシーンでは泣く予定ではなかったそうですが、川口春奈ちゃんのあんなお芝居を受け止めたら、泣きますよね。
スマホの画面を紬に見せる時の想くんの優しい表情や、「好きな人がいる」で紬を指す指が震えていたこと。
目黒くんの気持ちがこもった繊細なお芝居にも心を打たれます。
気持ちと気持ちで向き合ってお芝居をされる二人、目が離せません。
また、この大切なシーンを、美しい映像で、無音の静けさで、表情を切り取るように映し出して表現された制作チームの方々のセンスも素晴らしいですよね。

それにしても想くん、いくら紬を泣かせたくない、悲しませたくないからって、ずっとひとりで抱えて、ひとりになってさ。辛い方へ辛い方へ、歩いていってしまったね。ほんと昔からそうやって一人で抱えるところあるよね佐倉くん。勝手に決めないでよ。勝手にいなくならないでよ。話してよ。でも佐倉くんっぽいよ。(誰目線)
こうやって紬と再会できたからよかったけど、会わなかったら君は一生そのことを一人で抱えて、どこかで紬の幸せを願って、ひっそり生きていたの??(涙)

想にも、紬にも、湊斗にも。全員に幸せになってほしい。
はぁ。3話見よう。



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