見出し画像

伝統工芸&テクノロジーが導く新世界

武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第12回 上町 達也さん, 2020年8月3日 by コク カイ

本日は株式会社SECCA(株式会社 雪花)代表 上町 達也のさんの講義を拝聴した。

2013年に創業したSECCAはメーカーとして、ものづくりを大切にしながら、料理人やミュージシャンを始めとした多くのカスタマーに製品を提供してきた。SECCAの創始者である上町さんがこの会社を創業するに当たって一番の思いは、ものづくりを如何に大切にして行くべきなのかというところだ。デザイナーあるいは作り手はものに価値を与えている仕事をしていて、彼らが作ったものが最終的に使い手のところに届いた時点で、そのものに付随する情報も一緒に届いた。ただものを手にした瞬間はその人の心を動かした瞬間になるかどうかが、作り手の技量を問うところだ。

そのため、SECCAはメーカーにこだわった手作りの会社と言っても過言ではない。彼らが大切にした「と」という考え方は、単にものによって発信するのではなく、周りの人と掛け合わせで何か新しいものを生み出せる可能性を探り続けるということだ。

屏幕快照 2020-08-03 下午10.12.36

アートから現代における伝統工芸の可能性を考えるオブジェ、SECCA ART PIECES「JAPAN?」において、SECCAは日本の伝統工芸とは何かという素朴な疑問から観客とディスカッションしてみた。この作品において、木で作られた造形物のボディに日本伝統の漆、そしてウレタンで作られたボディにも漆、このような工程を通して伝統工芸と新しい素材から生まれた一種の可能性を提示した。

SECCAが作った数々の作品の中で、私個人的に一番気になったのはこのLandscape Waresiというシリーズだ。こちらは京都にある料理店Cainoya Kyotoのためにデザインした一連の器だ、中には桜島の火山灰を釉薬に混ぜて作った磁器やCADでデータを起こして3Dプリンターを作ったお皿など、現代感の溢れた素材を使って、伝統工芸にしかない手作り感満載の食器がたくさんあった。

画像2

均質化、フラット化が進む現代社会では、自然物、有機的なものにしか価値がないという考え方を持つ人は少なくない。しかし宇宙の視点から見れば、人工物と呼ばれる化学製品も地球の生態システムの一部だ。我々が言っていた狭義的な自然、いわゆる土や水、木や石などによって作られたものは、必ずサスティナブルで環境に優しいとは限らない。これからの時代に残すべきものは何だろうか?本当に価値のあるものは何なのか?これらの質問を抱えながらデザイナーという仕事のあり方をSECCAが示唆した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?