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初めて文庫本同人誌を作ってみたまとめ

初心者が、16万字超のオリジナル小説を文庫同人誌にしてみた記録です。
自分のための備忘でもありますので、読みにくい箇所もあるかと思いますが、ご容赦ください。

早速ですが完成品はこちら

かっこよ。本やん。


見よこの分厚さを!

はじめに

一次創作(オリジナル小説)のため、本来であれば個人本?という呼び名になるのかもしれませんが、分かりやすいので「同人誌」で話を進めます。

たった一冊で、しかも周りの方々に多大に助けられて作ったものですが、私なりにこの順番で進めていくのがいいのではないかと思ったことをまとめておきます。
下記に記載する内容については、諸処の条件により変わってきますし、あくまで私個人の感想で、断言できるものではないことをご了承ください。

まず、したいこと

■作りたい同人誌のイメージを固める
何事も、ものづくりというのは、最初はこれですよね。
フォロワーさんの同人誌を手にしたり、実際に作ってみたりして思うのですが、作りたい本というのは千差万別です。隣のあの子も長年の性癖の友も、一つの紙を選ぶにしても好みが違う。そのため、まずは作りたい本のイメージを固めるのがいいのではないかと思います。

たとえば、私のイメージはこちらでした。
・絶対文庫本
・カバーは絶対つける。あわよくば帯もつける。
・分厚い本にしたいので、二段組み(一ページを二段に分ける方法)ではなく、一段組みでいきたい。
・新○文庫さんに近い仕様にしたい。

これらが固まっていたので、自然と印刷所さんが絞られていきました。
ちなみにここで「あわよくば」と思っていることがあるなら、やったほうがいいと私は思います。(印刷したあとに、「やっぱりつけといたら良かった」となるので)

同様に、「間に地図を挟みたい」「挿し絵を入れたい」「スピンをつけたい」などでも印刷所さんを絞り込めるので、まずは譲れない仕様を決めておくとスムーズかもしれません。
とはいえ、印刷所さんのページを見て回るうちに、「こんなの出来るんだ!やりたい!」となることもきっと往々にしてあります。ありました。

◼️どこまで自分でやりたいのか
同人誌を作るにあたって、ほぼ全ての作業を外注することもできます。
とにかく自分の小説を紙の本にするということが目的で、あまり時間を使いたくない・使えないという場合は、外注もいいと思います。
イラスト、デザインだけでなく、本文の文字組や校正など、各種依頼サイト(ココナラやスキマ)で依頼できるようです。素晴らしい時代ですね。あまり調べられていないので、検討される場合は改めてしっかり調べてみてください。

私の場合、イラスト、デザインについては、是非お願いしたい方がいたので、依頼することははじめから決めていました。
文字組の依頼も検討しましたが、やはり自分の手で作ったという感覚が欲しかったので、本文(タイトル、目次、奥付など)は自分でやることにしました。

同人誌を作る

■依頼のタイミングについて
もともと先走る性格なので、同人誌を作ろう!と思った時点で、まだ本文が完結していなかったのに、イラストとデザインの打診を進めてしまいました。(依頼内容と時期をお伝えし、可能かどうか検討をいただきました)

それによって完結へ向かう大きなエネルギーをもらえたのはほんとに良かったのですが、理想を言うと、本のサイズの確定はもちろんですが、本文が完結し、本文の校正、文字組も完了した状態で依頼できたら良かったなぁと思っています。
というのも、本文の文字数、文字組によって、ページ数が大きく変わってきてしまうからです。背幅の厚みが変わり、イラストやデザインに影響してきます。
優しい神デザイナー様に、「ページ数が変わるのはよくあることなんですよ」と言っていただけましたが、個人的には非常に申し訳なかった……。

私の場合は特に、本文作成のソフトをWordから一太郎に変えたため、そこで10ページ以上ページが変動しました。よくあることだそうです。
また、実際に印刷してみたら計算よりも1mmくらい幅が厚くて、またそこでも修正いただきました……感謝しかない。

◼️イラスト、デザインの依頼について
これは、詳しくはクリエイター様によって変わると思いますので、具体的には個別にご確認ください。
依頼方法についても色々あるかと思いますが、依頼サイト(ココナラやスキマ)にテンプレートを載せておられる方も多いので、依頼に必要な項目などは、まずは参考にされるとよいのではないかと思います。

私は、できれば普段からやり取りさせていただいている方にご依頼したいな~と思ったので、フォロワーさんにお願いをしました。
理由は、ある程度互いの好みが分かっているからです。一からご依頼した場合ももちろん汲み取っていただけるのだと思いますが、もしかしたら相手の方の地雷だったら申し訳ないですし、なにぶん私が依頼が得意ではないので、そのほうが安心だったからです。

作成にあたっては、本当に、かーなーり助けられており、詳しいことは実際に依頼されるクリエイターさんとやり取りされたほうがいいと思います。
ただ、おそらく汎用的と思われる内容を載せさせていただきます。

・イラストを依頼するときは、裁ち切りが何ミリ必要かも記載の上依頼
(裁ち切りについては調べておくれ……多分、印刷のズレによってイラストが切れてしまう場合があるので、少し余裕を持たせておく、みたいなやつや……多分)
・私の場合は裏表紙まで依頼する形式だったので、背幅によってカットしてもいいように描いていただく
・メインイラストは左(表表紙)のサイズ内に収まるように描いてもらう
・解像度のこと(これはほんまお任せしてしまったからなんもわからん、ごめんな)

などでしょうか……

また、デザインをご依頼する際には、イメージ例やキーワードとなるシンボル(花とか剣とか)があるとより良さそうです。なかなかそういうシンボルを考えたことがないので、今度はちゃんと考えられたらいいなぁ……。

ご依頼の際、クリエイターさんとよくよくお打ち合わせください。自分がどこまで分かっていてどこから分かっていないか、ということが伝えられれば、お打ち合わせの開始地点を決めやすいのかな、と思います。

◼️使用ソフトについて
結論から申し上げると、(これはフォロワーさんが言ってくださった言葉ですが)文字組にそこまでこだわらないならWordでもいける。こだわりたいなら一太郎。結果的に、私もそう思います。
こだわる、というのは、「文字と文字の間が、どうもピンとこない。あと0.1mm縮めたい」というような狂った思考のことです。
普段からお仕事などでWordを使用され、Wordの特性をよくご存知の方であればできると思いますが、そうでなければお金を払って一太郎をダウンロードしましょう。(アフィリエイトではないです)

一太郎で仕上げた文字組がこちら。
偶数奇数ページ、章ごとのヘッダーもバッチリです!

覚えている範囲でですが、Wordで起きたこと。
・なんか知らんが、印刷する段階で勝手に白ページが入っている。編集ページにはない。消せない。
・なんか知らんが文字組がガタガタになる。
・章ごとにヘッダーを変えたいが、上手くいかない。そもそもセクションがどこでどうなっとんねん。
・ルビがコレという位置にこない。

それぞれ理由はちゃんとあって、解決方法もあります。ただそれが、難しいのです。哲学書かと思いました。
これらが、一太郎だと秒で解決します。いや嘘。一太郎でも白紙ページ事件はありましたが、どこがどういうページ設定になっているか分かりやすいので、割と早く解決しました。
入稿用のPDFにする機能もデフォルトで付いています。ありがてえ!

なお、Wordくんは軽くて使いやすいので、今でも執筆で愛用しています。

■試し印刷について
家庭用のプリンターですと、ざくっとしたイメージはつかめていいのですが、ルビなどの細かいところまでのチェックには向かないです。
Kinko'sなどが近くにあればいいのですが、私はなかったので、下記のネットワークプリントを愛用していました。ファミマ、ローソンで印刷できます(はじめはセブンのものを利用していたのですが、私はこっちのほうが使いやすかったです……)
全ページのデータからページ指定もできるし、拡大設定なども予約時に設定できるので、無駄なく印刷できました。
https://networkprint.ne.jp/Lite/start?lang=jajp

◼️誤字のこと
そもそもWEB連載していたものなので、サイトの機能で読者さんに誤字報告をしていただいていたのも大きいです。
そこに加え、一太郎には、校正機能という神機能があり、これにかなり助けられました。
一太郎は、同音異義語、「……」が奇数になっている、句読点が二つ連続している、などのチェックは非常に得意だと思われます。

ただ、やはり自分での読み直しと校正に勝るものはなさそうです。特に、実際に本にしての校正は一番捗りましたし、そこで初めて見つけた誤字脱字もありましたので、余裕があれば、試し印刷、または小ロットでの印刷を行い、本の状態でチェックすることをおすすめします。
白紙ページ入れる場所を間違えて全部ズレてるかもしれないしね……(ゾッ
ただ、ここで誤字を直したことによって新たに発生する誤字もあります。誰しも、誤字から完全に逃れることはできないのです。

ちなみに、校正も有償依頼されている方もいらっしゃるようです。(もしかしたら既知の方にお願いしたほうがいいかもしれませんが)(小説の好みもあるでしょうし)ただそれでも、絶対にゼロになるものではないので、やはり最終チェックは自分でやるのがいいのでしょうね。

◼️お金のこと
お金のことは、忘れました。ほんとに忘れました。不思議ですね。満足感しか残っていません。
印刷所さんを調べていたときは、印刷代を見て「高っ」と思った瞬間もあった気がしますが、ちょっと忘れちゃいましたね。
多分もっとちゃんとコストの適正化をする方法はあったのかもしれませんが、そこまでの力は私にはなく……
ただ、それだと参考にならないので、少しだけ記載しておきます。

(用意するお金)
・試し印刷代(ワンブックスさんの場合は小説用用紙の使える最小ロットが5部だったので、5部分)
・本番の印刷代
・イラストやデザインなどを外注するためのお金
・用紙見本の有料請求(惜しむな)
・一太郎購入費用
・送料、通販用の梱包セットなど

私もはじめに同人誌を作ろうとしたときは、同人誌の収支の目安を知りたいなと思った頃もありました。でも、そうじゃないんですよね。そういうことじゃないんですよ。
お金儲けのためにやるものじゃないですからね。追加で払ってこんな素敵な仕様になるならやるでしょ、という話ですよ。いいものを作りたい、という一心ですから。怖いですよね。

ということで、価格設定についても迷いました。
以前フォロワーさんが、「印刷代分はもらってもいいんじゃないかな」と仰っていたこともあり、結果的にはそうしました。
ただ、めちゃめちゃ高くなるので、それよりも、できれば一人でも多く手にとってもらいたい……せっかく頑張って作ったんだもん……と思って悩みました。難しいですね。

◼️印刷所さんについて
これも、最終的には自分で選ぶしかないのですが、私は文庫用の本文用紙の素晴らしさに狂いましたので、ワンブックスさん((株)RED TRAINさん)にお願いしました。とてもおすすめです。
ほかにも印象的だった印刷所さんをメモしておきます。

・STARBOOKSさん(安定安心、細やかな確認をしてくださるという噂。早割がまじででかい)
・おたくらぶさん(安い。HPかわいい。今回は希望の用紙がなかったので断念)
・コミックモールさん(文庫専用用紙もあってめちゃ良さげだが、おそらく歴戦の同人誌クラスタ向け。HPから玄人感が溢れ出ていて断念)

ほかも色々見てみましたが、どちらかというとイラスト向けの印刷所さんが多い印象で、400ページ超の文庫本という条件で、そもそもプランがなかったところもあります(特注なら出来るが高くなる)

推し印刷所さんが増えていくのも楽しいんだろうな。

◼️カバーと帯について
これは、巻いて出してくださる印刷所さんと、別納品される場合もあるみたいです。ワンブックスさんは元々巻いて納品してくださるのがデフォルトなのであまり調べられていませんが、カバーだけ別のところに依頼するということもできるようです。コストが抑えられたり、そうすることで、一つの印刷所ではできない、理想の仕様にできるんだと思います。
歴戦の同人誌クラスタになれば、自分で巻けるのかもしれませんが、私はそんな器用ではないのでやらな……いや、いつかやるかもしれませんね。
フォロワーさんが教えてくださいましたが、加工によっても巻くのが大変という場合もあるようです。ご興味があれば是非調べてみてください。

さいごに

改めて考えてみました。なにがこんなに楽しいんだろう?
本にするという手段はほかにもあるはず。でも、自分で紙もイラストレーターさんもデザイナーさんも決めて(決めるという言い方になってご容赦)、全部自分で選んで作り上げる、という喜びなのかな?
少なくとも私にはとても合っている趣味でした。ここにあったのか、私の物欲!

作ろう!と思ってから今までの間、普段の生活で辛い時にも、同人誌は私を支えてくれました。届くイラストのラフ、デザイン案が生活に彩りを添えてくれ、同人誌になった我が本を想像して世界が輝きました。そして発送通知が来てからのソワソワ、現物を手にした喜び……。
実質無料、いやむしろ多くのものを与えてもらいました。

二年に一度ペースくらいで作れたらいいな。ワンブックスさんがスピン(しおり紐)を始められたらしくて、次はつけたいな。

(仕様まとめ)
サイズ    文庫サイズ(A6)
カバー用紙  コート(オーロラ)135㎏
カバー加工  クリアPP加工
帯用紙    コート(オーロラ)90㎏
表紙用紙   紀州の色上質 最厚口
       うすだいだい色
本文用紙   プリンセスノベル32.5㎏
本文ページ数 434ページ
文字数    166,202字(目次や奥付も含む)
使用ソフト  一太郎
文字組    字数38 行数17
文字間    字間0% 行間42%
余白     上14㎜ 下12㎜
       右16㎜ 左12㎜
ページ番号  マージン7㎜
ヘッダー   開始位置6㎜
フォント本文 游明朝9
ルビサイズ  游明朝4

【追記:次回のためのメモ】
・ダッシュ「――」はそのままだとブツブツ切れてしまうので、「―」を選択した状態で、「書式」→「文字サイズ」→「横2倍」だ!
 縦じゃない!横なんだ!なぜだ!わからない!

・BOOTHの自家通販を使う場合、一気に発送する場合はコンビニじゃなくてヤマトさんのほうが絶対にいいです。


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