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朝ドラ「舞いあがれ!」を見終えて

最終回を迎えた3/31に書き始め。
率直にいま感じてることを綴る。

まず言いたいのは、何はともあれ、最高の最終回でしたッ!!!!!
最終回を迎える2日前まで、これほんとに終わるのか?と思わず呟いたほど、ヒロイン舞ちゃんがどう“舞いあがる“のかが全然想像できなかった。
それだけ、この舞いあがれ!という朝ドラは紆余曲折がたくさんあった。

そもそもこれまでスピンオフや急遽降板した作品以外、1人の脚本家によって紡がれていた朝ドラ。
舞いあがれ!は放送前に複数体制を発表され、メインを桑原さんが描き、航空学校編や東大阪編いくつかを嶋田さんと佃さんが担当された。
脚本複数体制がどこまで情報共有され、統括されてたのかはわからないのであくまで憶測だが、放送中何人かキャラクター造詣にズレが生じたり、専門性の解像度や1話におけるテンポが異なったりと多少の混乱があった。
(制作陣の働き方改革として複数体制が今後も定着させたいのなら、人物像の共有や核となる背景は共通認識になるよう努めてほしい)

物語の舞台は、1990年代から現代。空とパイロットにあこがれ、ものづくりの町・東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、ネジ工場の営業として奮闘しそして町工場同士をつなげる会社を起業するヒロインの挫折と再生を描く。

Wikipedia

2019年後期「スカーレット」からリアタイ始めた私にとって、初めての同世代ヒロイン。
始まりこそ懐かしさや自分の学生時代と照らし合わせながら見ていた。
(2023年1月からは日テレで放送された「ブラッシュアップライフ」も同世代だったので今で言うエモさが続いてた)

改めてあらすじを読んでも、ヒロイン舞が空とパイロットに憧れをいだくまでの過程、パイロットになるまでの過程、実家の工場を立て直してく過程、会社の営業を任されてバリキャリとなっていく課程、(結婚、出産は爆速で短縮され)新しい夢を見つけて叶えてく過程と何層にも重なる物語だったことを実感させられた。
ここに並走してばんばとめぐみさんの物語、幼馴染としてずっと舞を支えてた貴司くんと久留美ちゃんのエピソードもあった。さらになにわバードマン編、航空学校編では青春群像劇として描いてたんだから、ほんとに盛りすぎちゃうか?と言うほどの要素をよくぞまとめ上げた。

ヒロイン舞を演じた福原遥ちゃんの柔らかい声の印象もあってか、ほんわか雰囲気の外面に惑わされてたが、舞は周囲の想いを自分事のように捉えて、目の前のことに一生懸命になり、やる!と決めたことをやり遂げる強さがあった。
元々自分のことを話すのが得意ではなかった舞が、五島でばんばと過ごしたなかで影響を受けた言葉
「できんなら、できることを探せばよか」
「ばらもん凧ごたぁ、どがん向かい風にも負けんと、たくましく生きるとぞ」
にもあるように、彼女はどんな時でも自分にできることを探し続ける人生を歩んでいく。

そんな人生のなか、社会人になるタイミングで直撃したのがリーマンショック。
パイロットになることも決まってた矢先、就職が延期になった時に訪れた実家の工場の倒産危機。
バブル崩壊後の工場の手伝いと家事育児で肉体的にも精神的にも参ってた母親を慮る子どもだった舞だから、見て見ぬふりができずに工場を手伝うことに。
当時付き合ってた航空学校時代の同期、柏木学生とは遠距離を続けてたが(正直、柏木と舞の恋愛パートも豪腕にまとめられてたように感じて心が離れた)
目指す世界の違いもあって分かれる結果となった。

※全部言及してたらキリないから端折り※

全体的にメインで描かれてた桑原さんの紡がれる言葉が美しく、心にスッと響いていた。
桑原さん自身が歌人であって、本編で出てきた貴司くんの短歌、デラシネの八木さんの詩、貴司くんファンの秋月さんの短歌とどれも素晴らしかった。
(感謝祭でゲスト登壇した俵万智さんが桑原さんのことを現代の紫式部と仰ってたのも印象深い)

そこにこの作品の良さを見出してたからこそ、浮いてしまった描写が目立ってしまったようにも感じる。
また、どんな脇役でもその人となりや人生描写を感じられたのも良かった点。唯一、舞と起業した共同経営者となる御園さんだけ登場から終わりまで役割が持て余してたままだったと思う。
(舞にとってメンターとして描くわけでもなく、かと言って前職の新聞記者を活かした仕事をするわけでもなく、イイね!と肯定botのような役割を多く見受けた)

3/31の最終回、舞がこれまで出会った人たちのほとんどが見届ける中、空飛ぶクルマを操縦するシーン、思い出がダイジェストで映し出されたとこに全てが詰まっていた。

最後に「最初の目的地に到着します」というセリフのように、舞いあがれ!という物語は目的地となる場所に向かって飛び立ち、次の目的地を探し続ける物語だったのかもしれない。
その道筋は決まっておらず、その時その時置かれた環境で懸命に生きる人たちの生き方を肯定してくれるよう。
そんな全てを包括する表現として、主題歌「アイラブユー」が響く。

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