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【ある文章】「いつかの恋」

どうしても眠くなって
あきらめてベッドに横たわった

陽が差し込む部屋で
僕は夢に落ちた

最後に見た夢の途中で
更なる深みの中に堕ちていく前に
現実に戻った

身を起こして時計を見る
一時間半ほど経っていた

陽は差し込んでいたが
その色は黄昏色へと近づいていた

そして 空気は少し冷たくなっていた

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夢の中でアナタが笑っていた

もう逢うはずのないアナタが笑っていた

夜にしか逢うことのなかったアナタが
一度も一緒に歩いたことのない太陽の光の下で笑っていた

アナタが笑っていたのなら
僕も笑っていたのだろうか

今 あの時の僕の心のささくれの一つを
読み返しながら 頭を振った

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とうとうペンで書くことのなかった二度目の手紙は
いくつかの詩となって
蜘蛛の巣の中で不特定少数の人の目に触れた

アナタもその詩のどれか あるいはすべてを読んだはず
遺された12桁の数字がアナタが訪れたことを示していた

いつかの夜
アナタは「キレイな字だね」と言ってくれながら
照れ隠しにそっぽを向く僕の姿に微笑みながら
一度目の手紙を読んだ

『今言っておきたい事は君のこと好きなんだよってことです』

そう締めくくった短い手紙を
アナタはもうなくしただろうか

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今まで過ごした時間で 
僕はアナタといた記憶をほとんどなくしてしまった
今日 その夢を見ることがなければ
こうして思い出すこともしばらくなかっただろう

アナタとの日々は僕のワガママで終わりを告げた
僕が乱暴に閉じた「扉」をどういう表情で見つめていただろう
僕が礫のように投げつけた言葉を
どういう気持ちで受けたのだろう

アナタは僕が閉じた扉に鍵をかけた
少しの時間が経って扉をノックしたけど返答はなかった
その頃の僕は確か忙しい日々に疲れていて
それを言い訳に溜息をついて背を向けたんだった

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優しくなりたいと思いながらも優しくできずに
泣かせたくないと思いながらも泣かせてしまい

そのたびに自分の弱さに打ちのめされてしまう

ごまかすような笑い方でしか
まだ過ごせない僕だけど

それでもずっと思っている

「優しくなりたい」と

アナタをいつか傷つけたように 誰かを傷つけないようにしたいと

もうアナタと再び逢うことは叶わないから

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陽が差し込んでいた部屋に
夜の帳が下りている

この部屋から月は見えないけど
確かあと数日で満月だろう

アナタと手を繋いで空を見上げながら
街を歩いた夜を思い出した

あの夜も月が輝いていただろうか?

僕の手を引っ張っていたアナタの手の温もりも
夜の風に乗って漂ってきたアナタの香水の香りも

もう忘れている

ただ、そのときの僕はアナタが好きだった
求めるばかりだったワガママで激しい想いだった
今の僕にはもはやできない恋をしてた

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パソコンの画面の明かりだけが点る暗い部屋で
今年はもう過ぎた日にちがタイトルの曲がずっと流れてる

この日記を書き終えたら
もっと明るい明かりをつけよう

そして、日常に戻ろう

いつかアナタを想いながら綴った言葉がある
アナタをよく思い返していたときに書いた詩だ

アナタへの扉が閉じてから何年も何年も経った今
振り返ってみれば色々なことがあった

喜ばしいこともあれば悲しいこともあった
僕はそういう「素晴らしい世界」にいるんだろう

これからもそれを忘れないようにしたい

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『行こう 明日がどんな天気でも 僕なりの笑顔で
扉を開いて 出会いと別れが渦巻く素晴らしい世界へと

時間はそっと希望の砂を育んでいつか僕らへ降らすだろう

ねぇ 愛が分からないけど
それでも僕はあなたが大好きだったよ
もう逢わなくても僕はこの空の下のここで生きていくから

この詩があなたに届くかどうかは分からないけど
この詩はずっと果たせなかった約束の僕からあなたへの「手紙」』

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