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NHKが「汚染水」を訂正するも「希釈化水」という新たな誤解ワードを使う可能性

※NHKワールドは"radioactive wastewater"=「放射性廃水」という表現でしたが、検索を考慮してタイトルで「汚染水」としました。

NHKワールドニュースが訂正文をTOPに掲載し、過去記事まで遡って表現を修正しましたが、なお注視すべき点があります。

"diluted"の使い方です。

上掲エントリ等で何度も指摘しましたが、"diluted"は科学用語としての意味があるかもしれないが、一般用語としては「溶液の内容物を取り除いた・浄化処理をした」というものではなく「水溶液に水を追加して濃度を薄めた(希釈した)」の意味であり、一般人が読むとそのように受け止める可能性が高いものです。

よって、treated=処理されたものを、という文脈でdilutedが使われるべきであり、それ自体単独で「処理水」の意味として用いてはいけないと思います。

経産省の英語ページでも、dilutedという表現は「処理された後に」という文脈で補助的に使われているだけです。東電もそのような使い方をしているはず。

同様の認識はコメントをくださった読者からも頂き、さらに詳細を語って頂きました。

ALPS処理水1

"filtered"とするのがより分かりやすいと思うが、そうではなく"treated"としたのはなぜか。この用語法は経産省も東電も用いているのですが、実務上の用語なのでしょうか。

いずれにしても、報道においては「放射性物質が浄化処理され、ほぼ取り除かれた」=radionuclides are removed by purification ということが分かるように記述されないといけないでしょう。

また、トリチウムが残存していても何ら問題が無いことについても、逐一発信が必要でしょう。

で、実際に以下のような事例が見つかっています。

ALPS処理水2

「生物濃縮する」と理解しているのは、「水溶液として希釈化されても排出される放射性物質の総量は変わらない」という認識が前提にある可能性があり、こうした認識を誘発させる(そのような認識に至ったとしても正当化される余地を与える)用語法は撲滅していくべきでしょう。

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