中島依美の評価となでしこジャパンvsスウェーデン戦の問題

と思ったわけですよ。前半24分から見始めたあたりでは。

が、後半からはそれも鳴りを潜め、試合終了後にもう一度最初から見たら…

こうなりました。

利用する/しようとするスペースが味方と被る

っていうのは、チームとして機能していないことを検知する要素の一つなんですが(必ずしも機能していないと言えるとは限らないが)、なでしこにおいては顕著でした。

で、注目したのは中島依美選手(背番号7・スウェーデン戦はボランチで出場)なんです。

中島衣美選手の特徴

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出典:https://www.jfa.jp/nadeshikojapan/member/nakajima_emi.html

Twitterを見てると評価がめちゃくちゃ分かれてたのが彼女。

たしかにそうなるわな、というのが私の意見。

具体的には

・自分が動くことで空くスペースの認知・味方へのパスコースの創出能力に優れている
・実際、首を振って周囲を確認する回数は中田英寿ばりに多い
・手で認知を促す指示をしていた
・よって、味方のブロックを前進させる補助をする力が高い
・相手FWのパスコースを切る・限定する守備はなでしこの中でも優れている

こういうメリットがある中で

・飛距離のあるキックに自信が無いのか、サイドチェンジができない
・自分が攻めのスイッチを入れるビジョン、ファイナルサードでの攻撃のチャンスを活かす思考が無い
・対人プレーに弱い

こうしたデメリットが見つかりました。
※普段のクラブでのプレーを見ているわけではないのでこれが選手の能力のすべてではないかもしれませんが、この試合だけを見るとこう映りました。

中島の味方(特に岩渕真奈)との関係と戦略的価値

特に顕著だったのが後半の中ごろに中島が使おうとしていたスペースに岩渕真奈が無理やり入って行って、ボールを受けたらサイドチェンジをして攻めたシーン。

こうやるんだよ!」っていうプレーだよね、あれ。

岩渕個人のプレーとして見たら「素晴らしい」、ということになりますが、チームが機能しているかどうか、中島との関係性の観点から言うと、これは良くない傾向だな、と思いました。

前半から、中島は前を向いてフリーだが味方が使おうとしなかったりするシーンが何度も見受けられ、「そっから先は無いな」と味方から思われてそうな雰囲気を感じました。

まあ、仕方ないと思う。

でも、高倉監督が彼女をボランチで使い続けたのは、彼女の空間守備能力と先を見越してパスコースを作るフリーランがあったからなのかなと思う。

一緒にボランチを構成した三浦選手(背番号8)は、簡単にFWに縦パスを入れられてましたからね。逆にボールを持ったときのキックの質は非常に良く、サイドチェンジや縦パスからチャンスを生んでましたけれども。

なでしこにこれ以上の闘争心は不要、チームとしての狙いの構築と「組織を構築させる個の力」を

まず、海外でフィットネス能力の高さが求められているところ、なでしこジャパンの選手、なでしこリーグ(今後はWEリーグに変更)の選手にはこの点で劣っているということはあるものの、それでもスウェーデン相手に何度もチャンスは作れたのだから、その回数を増やすことはもっとできた。

なでしこのビルドアップを見ていると、瞬間瞬間の選手の判断に任されており、チームとしてボールの出所や供給ルート・タイミングが共有されていなかったように思う(スウェーデンが素晴らしい連動のプレスで消していた面もある)

だから信じられないようなパスミスをするし、無理やりな縦パスをカットされてカウンターを喰らう(が、予選よりは改善)。

男子の日本vsフランスにおけるフランスも、同様だった。

それは監督、コーチングスタッフの方針がベースにあったのかもしれないが、それでも選手間でのコミュニケーションで改善できる部分はあったはず。

澤や宮間みたいな強力なリーダーシップを取れる選手が居なくても良い。

選手間の意識の差を埋めようとする狙いを持つ選手が出てくれば良い。

ということで、組織としても個のボールを扱う技術としても、思考技術としても、もっともっと改善すべき所はあるなと。

もっとも、それがフィジカル的な要因の影響が大きくて整理できないのであれば、やるべきことはそっちからなのかなとも思います。

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