「赤木ファイル全文」の内容・所在とWEB上の不誠実な検索結果について
「赤木ファイル」の検索結果を見るとかなり不誠実な状況になっているので再度状況を整理します。
赤木ファイル全文の内容の所在
財務省決裁文書改竄事件にて、書き換えを指示された近畿財務局の赤木俊夫さんが書き換えに至る詳細なやりとりを遺した、いわゆる「赤木ファイル」と呼ばれているものは、特に表題も無く関係する資料を集めた全518ページから構成されるものです。
上掲記事は赤木ファイル全文と内容へのアクセスが確保され検索に引っかかり、出典元が明記されているもので、私が令和6年=2024年1月13日にまとめた、はてなブログ上の記事です。
ここで引用しているのは立憲民主党の石垣のりこ後援会が運用しているDropbox内にあるPDFファイルです。私が検索した限り、一般人がネット上で見れる、赤木ファイル全文が公表公開されている唯一の場所です。
この資料の扱われ方として、政府財務省は開示請求の対象となる行政文書ではないという見解であり、開示請求をしても引き渡される類のものではありません。
しかし、赤木さんの妻の雅子さんが国に損害賠償を求めた裁判の過程で裁判所に促されて提出されたため、それがメディア等に広まったようです。
また、ネット上ではいくつかの勘違いが見られます。
「本省の対応(調書等修正指示)」の資料が赤木ファイルと思われてる
ネット上では「本省の対応(調書等修正指示)」と書かれた資料が赤木ファイルと思っている認識が散見されますが、これは518ページある内の1つに過ぎません。
ただ、「現場として厚遇した事実もないし」とあるように「政治家から何か便宜を図るよう要請を受けており、それが土地取引の価格に影響した」というストーリーが成り立たないことの証明になるクリティカルな内容であることから、広く画像が拡散されています。
この備忘記録のみをWEB上で掲載する所は相当数ありますが、その場合であっても上掲の文言には決して触れようとしない所が多く見られます。
森友学園問題とは、財務省が森友学園・籠池氏との土地売買取引に際して謎の優遇とも言えるような値引きをしたという官僚組織の問題であったのに、マスメディアによって制度上官庁を所掌する内閣の政治家の問題にすげ替えられていた、という報道テロでもありました。監督責任という意味ならば麻生太郎財務大臣(当時)を追及すべきが、なぜか安倍夫妻が槍玉に挙げられました。
関連する文書は、最終的にはそうした背景を念頭に読み込まれるべき代物だと個人的には感じます。
「赤木俊夫さん手記・遺書」「赤木さん妻手記」「財務省」もそれぞれ別物
現在ネット上で「赤木ファイル 全文」などで検索すると、それとはまったく別のものについて書いたページが検索上位に表示されています。
赤木俊夫さんの「手記」や「遺書」、赤木さんの妻の雅子さんの手記などがそれです。これらについては上掲記事で触れています。
平成30年3月12日付で財務省から出された「決裁文書についての調査の結果」という文書で(全80枚、本文78ページ)、改竄前後(財務省は改ざんではなく書き換えと表現)の文章の比較をしたものもあり、これもまた別物です。こちらはNHKが全文公開していたものを当時分析しています。
この資料を読むと、政治家の名前が消されているものは、特にその必要が無かった(疑惑が生まれる余地が無い)はずのものなのに消えているのが分かります。
当時、「記述が消えているからやましいことがあったのだ」という論調がありましたが、この資料ではなぜか朝日新聞や毎日新聞、読売新聞と森友学園とのやり取りに関する部分も含む記述も消されていることが分かるのであり、適切な考え方ではない。
個人的には【佐川理財局長の国会発言との整合性の観点からは決裁文書の調書で政治家の名前がある部分を全て消す必要は無い】にもかかわらず、交渉の経緯ともほとんど関係がない部分も消されていることから、政治家の名前を消したのは批判を逸らすためのトラップと疑わざるを得ない、と考えています。
Google検索結果:令和6年=2024年9月17日
さて、令和6年=2024年9月17日にPCブラウザであるGoogle ChromeのシークレットウィンドウでGoogle検索した結果を一つ一つ言及していきます。
Googleの検索TOPは社民党のHPです。
しかし、ここでは「現場として厚遇した事実もないし」と書かれた備忘記録すら参照されていません。
2位と5位は赤木俊夫さん「手記」であり、「赤木ファイル」ではありません。それぞれ文春オンライン、朝日新聞デジタルに掲載されたものを参照しているようです。
3~4、6位はメディアの記事であり、赤木ファイルの全文へのアクセスはありません。
7位は赤木さんに関する鈴木財務相(当時)の発言全文であり、赤木ファイルは関係ありません。
9位は赤木さん妻の雅子さんが提起した国賠訴訟における意見陳述の全文です。
次は2ページ目ですが…
11位は赤木ファイルが訴訟の展開の中で提出された事実を伝えるだけの記事です。行政文書開示請求で開示されたわけではありません。
12位は個人のTwitter(X)アカウントの投稿で、石垣のりこ講演会の投稿の引用リツイートです。石垣のりこ後援会の投稿には、前掲Dropboxへのリンクが貼ってあります。
13位は雅子さんの手記の全文
14位は令和3年=2021年6月24日に実施された雅子さんの会見の全文です
15位は日経新聞の有料記事で、518ページの赤木ファイルの中身に付いて言及したものですが、無料部分からはファイル全部が見られず、ここに全文があるかは不明です。
16位は今年の9月に入ってから何故かここに表示されるようになった個人ブログで、赤木ファイル全文へのアクセスは確保されていません。
17位は元NHK記者の有料記事
で、18位に私のブログ記事が来ます。
DuckDuckGo、Bing、note、はてなブックマークでの検索結果
DuckDuckGoでの検索結果は上掲リンクから。
上位10位まで表示されていますが、Googleの検索結果とほぼ変わらず、新たに引っかかってるページでも赤木ファイル全文へのアクセスが保証されたものがありません。
Bing⇒https://archive.md/kXPel、https://archive.md/OV2Xc。
Bingは検索上位にアエラドットの記事へのリンクがあり、「公開された518ページの「赤木ファイル」」と題したページもありますが、13ページ分の画像が並べられているだけです。
noteは「人気」カテゴリ⇒https://archive.md/gwdAj と、「定番」カテゴリ⇒https://archive.md/p2Eubがありますが、赤木ファイル全文へのアクセスが保証されたものがありません。
はてなブックマーク⇒https://archive.md/Ygs7fでは3ブクマ以上で私の記事が見つかりますが、それ以外に「全文」と銘打ってる所で本当に全文にアクセスできるところはありません。
まとめ:赤木ファイル全文が見れるかのように誘導するだけの頁がほとんど
各所の検索エンジンやブログサービス上での検索結果を見渡すと、赤木さん妻の雅子さんの国賠訴訟の過程で提出された赤木ファイル全文=518ページが閲覧できるページは数が限られているのが分かります。
さらに、マスメディアの記事では恰も518ページ全てにアクセスできるように書いておきながら、実際は読者がまったくアクセスできないか、ごく一部の資料にしかアクセスできないようになっている所が多数見られます。
そのため、ネット上では「赤木ファイル全文」にアクセスしようとしても所在が分からない人が出たり、「本省の対応(調書等修正指示)」と書かれた資料のみが赤木ファイルであると勘違いする人や、「赤木ファイルは公開されたので誰でも簡単にアクセスできる」とする認識(実際は開示請求しても貰うことはできないし、NHKの財務省書き換え報告書のように、メディアがオープンアクセスにしているわけではない)が出回っている状況が生まれていると感じます。
マスメディアが資料をすべて読者に提示して判断を委ねる余地を残し、検証可能性を担保するのではなく、自社の認識を流布することを最優先にしていることを、まざまざと見せつけられたというのが、今回調査した結果を受けた感想です。
「赤木ファイル」をただのインプレ稼ぎや誰かを叩くための道具にしかしていないのだなと。定期的に放送される財務省文書書き換え事件に関するTV番組の作りも、そのようなものになっています。
現時点でも、なぜ財務省本省が文書書き換えを指示したのかは明らかにされておらず、政府を追及する赤木さん妻雅子さんの活動には正当性があります。
以上
サポート頂いた分は主に資料収集に使用致します。