北海道大学における自衛官入学拒否について

北海道大学大学院における自衛官入学拒否について

北海道大学自衛官入学拒否1

北大百年史 部局史 779頁~781頁より。

1962年(昭和37年)に修士課程に自衛官4名が入学したこと、年初頭に自衛官の聴講生入学取消し事件が発生していたこと、翌年度の合格者9名に対して職員組合その他の団体から合格取り消しと在任者の退学要求があったこと、年明けには大学院生協議会らが加わっていたことが分かります。

北海道大学自衛官入学拒否2

大塚工学部長は当初、学問の自由に学生側の関与を含めて論じ、拒否しない姿勢を見せていたものの、デモ活動などがあったことから、在学生・合格者は一般学生として扱い、次年度募集からは特別枠でのみ認めること、一般学生として入学するには自衛官の身分を脱してからでなければならない旨を提案。

北海道大学自衛官入学拒否3

抗議側がこれを了承して解散した、とあります。

京大は学生からですが、北大は「職員組合」から始まったというのが印象的です。現職の職員から在学生に対する迫害であり、「学問の自由」の問題とするべきでしょう。

では、この結果どうなったのか。

第61回国会 衆議院 法務委員会 第11号 昭和44年4月4日
○麻生政府委員 この夜間大学、いわゆる学校教育法でいいますと第二部と申すのでございましょうか、この夜間大学の入学につきまして、拒否という事実ができましたのは、今回のこの都立大学が最初でございます。いままでこの問題は起きたことはございません。
 それから大学院の問題につきましては、われわれ自衛隊の装備の近代化、高度化に伴いましてやはり自衛隊の科学技術の職種の中には、修士課程以上の高度の研究能力あるいは知識を有する者が必要でありますので、三十二年ころから一般大学の大学院に派遣をしてきております。これが昭和三十八年ころで申しますと、博士課程が十八人、修士課程が五十一人ばかり入学をしておりました。ところが、三十八年に北海道大学及び東京工業大学で学生からの入学を拒絶する動きが出てまいりまして、翌年からこの大学には行かなくなってきております。それから昭和四十二年に京都大学、それから名古屋大学、東京都立大学でやはり同様な問題が生じてまいってきておりまして、やはりこの大学に事実上行けなくなってきております。さらに四十三年度におきましては、非常に激減をいたしておりまして、この昭和四十四年度におきましては、理工学関係の受験者延べ二十三人が大学院の受験をしたのでございまするが、全員不合格という事態になっております。最近の例をとりましても、昭和四十一年度につきましては六五%、四十二年度には七三%、四十三年度には四一%という合格率を示しておりましたのに、この昭和四十四年度に全員不合格という事態が出ましたことは、われわれにとっては非常に意外なことでありまして、何かふに落ちないところがあるというのが、率直な私の感じでございます。

なんと、昭和44年度には理工学関係の受験者が全員不合格という結果になった例も。

それまでの実績を考えれば、これは明らかに各大学による自衛官拒否の動きの影響でしょう。

なお、この間、日本学術会議はこの問題について何ら問題視していません。

同様に、昭和44年に国会質疑されるまで、この問題が6年ほど国会で議論された形跡がなかったことも付しておきます。

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