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武蔵野市の住民投票条例案否決:外国人投票権と松下玲子市長の問題点

外国人に日本人と同じ条件で投票権を付与する内容が盛り込まれた東京都武蔵野市の住民投票条例案が否決されました。

本条例・松下玲子市長の問題点と私見について整理

武蔵野市外国人住民投票条例案の内容の問題点

1:法的拘束力が無い住民投票条例⇒憲法や地方自治法上の条例は法的拘束力があるもの
2:常設型の住民投票に関する条例(沖縄県の米軍基地の辺野古基地移設を問う住民投票のような事案毎のものではない)
3:外国籍市民を日本人と同一条件で投票権と住民投票実施の請求権を付与するもの⇒この条件の条例は全国で2つのみ
4:「選挙」については基本的に外国人は禁止という判例が出てるが、それ以外の事項についての「投票」については未知数

その上で、最高裁判所大法廷平成17年1月26日判決平成10(行ツ)93では公権力行使等地方公務員への外国人の登用をしない判断を適法としたことを踏まえると、住民投票の対象事案が「普通地方公共団体の重要な施策に参画」するものだった場合、憲法上許されない外国人の公務員の登用と類似の状況が生じるため、そのような住民投票に外国人が投票するのは違憲ではないか、ということを書いています。

逆に言えば、そういう事案でなければ違憲とは判断されないのではないか、ということです。これは内閣法制局も同様の見解のようです。

私見:外国人の地方自治に関する投票権は設けない方が良い

以上は現行法体系における司法判断の可能性についてですが、個人的な見解としては、「外国人の地方自治に関する投票権は設けない方が良い」というものになります。

その理由として…

1:国民主権原理からは日本国民による自治が基本であり、外国人住民の意見反映の途は「請願」やその他の政治的主張の手段によって確保可能。
2:国家主権原理からも、外国人による地方自治への影響工作による国政問題への波及効果を未然に防ぐべき。東京都武蔵野市という大きな自治体だから人数の比率が問題にならないが、小さな自治体は別。

大きく言うとこうなります。特に国家主権原理は無視されがちなので明示しておきます。地方自治は国家の対外的独立との関係で決して無関係ではない。

武蔵野市の住民投票条例案の手続上の問題点

武蔵野市の住民投票条例案には、手続上の問題もありました。

それが如実に現れたのが否決後のこのツイート。

市長(行政)による議会への報告でもって、市民への説明に代えてます。

これは住民投票制度の趣旨からすれば自己矛盾となる行為です。

http://www.city.musashino.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/031/051/kossian.pdf

【個別の問題や事柄において、市長と議会がどうしても市民全体の意向と違う方向を向いているという状況】を是正するためのものが今回創設されようとした住民投票制度なのですから住民への説明を重視するのは必須。

たしかに、2021年の3月と8月のパブリックコメントや3月に無作為抽出のアンケートはしていますしかも、外国人への投票権付与は争点として設定されていました。しかし、パブリックコメントに寄せられた意見は150足らず、アンケートも2000人に送付したが回答は507人でした。

にもかかわらず、今年10月に行われた市長選挙の際に松下玲子氏の掲げた公約には外国人への住民投票権付与に関しては一切書かれていませんでした。

行政の側としては手続は踏んでいたと言いたいのかもしれません。
せめて「市政だより」「市議会だより」とかに書いて配布してれば周知したと言っても良いかもしれませんが、それを記述していないのですからね。

それでも「行政⇒議会」「行政⇒住民」との関係での話であり、「松下玲子という市長候補者⇒住民」との関係での問いかけが無かったということ。

じゃあ一体何のために住民投票制度を設けようとしたの?

⇒外国人に影響力を持たせようとした?

こう考えるのも無理は無いと思います。
住民自治の推進」だとか何とかいってますが、やってることを見れば住民に対して住民投票制度の最重要点について認知させる努力を怠ってるじゃないですか。

3月と8月のパブリックコメントで争点設定して問い、アンケート実施までした政策について選挙ではノータッチというのは、非常に不可解。
賛同する者に多く認知させて、そうではない者に対しては認知数を減らして優位に立ちたかったからなんでしょ。

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