「バイデンが日本の常任理事国入りを支持」についての雑感

バイデン大統領が日本の常任理事国入りを支持したという報道について。

バイデン大統領 安保理改革での日本の常任理事国入りを支持
2022年5月23日 14時02分 NHK

岸田総理大臣とバイデン大統領の日米首脳会談で、両首脳が安全保障理事会を含めた国連の改革と強化の必要性で一致し、バイデン大統領から、安保理改革が実現した場合には、日本が常任理事国になることに支持が表明されたことが分かりました。

「安保理改革が実現した場合には」

「安保理改革が実現した場合には」という限定があるのが気になります。

安保理改革とは大きく言って
①常任理事国を追加する(日本、ドイツ、インドなど)
②常任理事国の拒否権行使の制限ルールを設ける事

これらがあります。
日本政府も「国連安保理改革」を訴え続けてきました。

日本が常任理事国入りするための条件

国連憲章 第18章 改正
第108条
この憲章の改正は、総会の構成国の3分の2の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の3分の2によって各自の憲法上の手続に従って批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。

第5章 安全保障理事会
【構成】
第23条
安全保障理事会は、15の国際連合加盟国で構成する。中華民国、フランス、ソヴィエト社会主義共和国連邦、グレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国及びアメリカ合衆国は、安全保障理事会の常任理事国となる。総会は、第一に国際の平和及び安全の維持とこの機構のその他の目的とに対する国際連合加盟国の貢献に、更に衡平な地理的分配に特に妥当な考慮を払って、安全保障理事会の非常任理事国となる他の10の国際連合加盟国を選挙する。

日本を含む他の国が常任理事国に追加されるには、国連憲章23条を改正する必要があります。ところが、憲章の改正には安保理のすべての常任理事国を含む国連加盟国の3分の2によって各国の憲法上の手続に従って批准される必要があります。

これまでに実現した改正は、安全保障理事会の非常任理事国数の拡大(23 条)とこれに伴う表決数の改正(27 条、109 条)、及び経済社会理事会の理事国数の拡大(61 条)のみです。

日本の安全保障理事国入りは中露の反対で無理なのか?

国際機関と憲法~特に国連憲章を中心として~」に関する基礎的資料
(平成 16 年 10 月 21 日の参考資料)平 成 1 6 年 10 月 衆議院憲法調査会事務局


1950 年の国連総会において、安全保障理事会が常任理事国間の不一致により機能し得ない場合に、直ちに問題を総会に移し、総会の 3 分の 2 の多数決で兵力の使用を含む集団的措置を勧告できるとする決議を採択した(「平和のための結集決議」)。この決議は、大国間で意見が対立したまま集団的措置を発動しても、世界戦争のおそれを増す結果になるので、実際にはこの決議に基づいて総会が兵力使用を伴う集団的措置を勧告したことはない

このように、安保理が機能しない場合に総会に決定権があるような仕組みが常任理事国追加に関しても行えれば、可能性はあると言えます。

もっとも、政治的に可能かというとハードルは高いですが。

国連を諦めるか、国連を維持するか。

少なくともアメリカ国民は容認しているようです。

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