「新型コロナを2類から5類へ」「指定感染症を外せ」「季節性インフルと同等の扱いに」という陰謀論
詳しくは上記を参照。
ここでは超簡単に書きます。
指定感染症は「いいとこ取り」できる
よく読みなはれ、5類にしろなんて誰も言ってない。指定感染症はカスタマイズできるから2類の中の項目から適宜緩和しているのが今の対策で、それは専門家も賛成はしてきた。だが、5類にしろなんてことに賛成してる感染症の専門家なんてまずいないですよ
— EARLの医学ツイート (@EARL_Med_Tw) December 20, 2020
なんかいろいろ見てると、5類に下げろと仰ってる方、5類に下げても今やってる対応の都合のいいところは残ると思い込んでる節がありますね。5類にしたらそんな都合のいいことにはなりません。いいとこどりでカスタマイズできる方法ならあります。指定感染症って言うんですけどね
— EARLの医学ツイート (@EARL_Med_Tw) December 19, 2020
この記事で、日本赤十字社医療センターの出雲医師が止めるべきだと言っている措置は、新型コロナが指定感染症のままでも止める事はできる。
— 木星3 (@tetsulovebird) December 23, 2020
指定感染症に対して、行政は感染症法に基づき色々な事が「できる」のであって「しなければならない」わけではない。
この方々の指摘がすべてです。
現在はどういうカスタマイズがされているのか?のソースが知りたい人は以下でまとめてます。もうインターネット官報でも見れない内容、ネットで検索すると資料を集めるだけで膨大な時間がかかるでしょう。
「今」5類感染症指定にしたらどうなるか?
季節性インフルのように5類感染症扱いにしたらどうなるか…
高山医師が沖縄における現状(知事の裁量で都道府県毎に対応は濃淡がある)を詳しく書いています。
なるほど・・・ 東京は医療リソースが潤沢だから、じゃかじゃか入院させているのかなと思ってましたが、これじゃ持たないだろうなと感じます。 いずれも、2類とか5類とかじゃなく、システム運用の問題です。2類相当であることで、制度的に縛られて...
Posted by 高山義浩 on Tuesday, December 22, 2020
なお、いま5類相当に落としたら・・・ こうなります。
1)入院医療費の自己負担が発生するため、高齢者など重症化リスクの高い人も自宅療養を選択する。そもそも受診しない人も増え、早期治療が行われなくなる。自宅での急変、重症化が多発して、さらに医療がひっ迫する。
2)当然ながら、ホテル療養も有料となる。すなわち終了となり、自宅療養が不安な人の受け皿が失われる。入院による見守りを希望する人、軽度の体調変化を感じた人が救急外来に殺到し、さらに医療がひっ迫する。
3)コロナを特別扱いする法的根拠が失われる。保健所の疫学調査は行われなくなり、PCR検査は自己負担となり、全数サーベイランスも終了する(先進国初!)。よって、日本だけ何が起きてるか分からなくなり、社会不安は確実に増大する。
4)当然ながら、ワクチンもインフルエンザと同様のスキームになり、せいぜい定期接種に位置付けられる程度となる。市町村ごとに対象者や負担割合がバラバラになる。もちろん、日本だけ感染拡大が続く(いずれ終わるが、経済は周回遅れに)。
ま、だから2類相当のままで延長するんですけど・・・
「でも、保健所は限界では?」「クラスター対策は?」と不安な方へ
指定感染症の指定替え或いは準用対象の変更をしても、それらは解決しないということがここまでの話で理解できるはずです。
クラスター対策については以下の指摘が正当。
クラスター対策は感染者が増えたら無意味。第2波ですでに破綻。それをやめ、速やかに接触者全員2回PCR。公衆衛生の手柄でなく、現場のニーズに合わせるべき。ただし、法整備、検査体制、医療アクセス、治療薬、ワクチンが確立するまで指定感染症を外してはならない。https://t.co/DGOClw64Hd
— 倉持仁 (@UCiS7MEgWj6L7cV) December 23, 2020
感染者数が保健所のキャパを超える程度にまで発生したら、PCR検査をして結果が判明するのが10日後とかになり(実際、ニューヨークなどはそうなった)、追跡調査が意味を為さなくなります。
したがって、「クラスター対策」という感染経路を追う追跡調査をするのではなく、接触者への検査にキャパを振り分けるべき、という倉持医師の主張は一定の説得力があると思います。
「クラスター対策」は法令で決まっているものではないのですから。
(※全数サーベイランスとは別)
その他:「患者の入院受け入れの拒否」と「診療拒否」の混同
「2類から5類」陰謀論者の中には、「5類にしたら病院側が患者の入院受け入れの拒否ができるようになってしまうよ」と言われて、反論のつもりでなぜか「診療拒否したら違法だろ!」と言ってる者が居るのですが、この人たちには両者の違いが分からないようです。
「拒否」って何の話だろう?診療拒否する訳ではないのに。 https://t.co/QeCQm6nLPI
— Nathan(ねーさん) (@Nathankirinoha) December 21, 2020
ここ数日でそういう意見を散見したもので。
— ちぇむ (@HqKdJFS2ot7ePnE) December 21, 2020
一事が万事、「2類から5類」論者はこんな感じです。
余談
入院できる病院を増やしたいとしてその方法は他にもあるし「どの程度増やすべきなのか」を無視して「全ての病院で」とか極論を言って踏まえるべき議論をすっ飛ばしてるのは単なる妨害行為。
「現在よりも多くの病院で新型コロナ陽性者を入院させられるようにしようにできないのか?」
現時点ではたとえばこういう議論(あくまで数多くある課題の中の一面に対するものだが)をするのが正当なのだが、なぜか
「全ての病院で新型コロナ患者を受け入れられるように」
という話に飛ぶのはただの議論の邪魔。情報公害の拡散行為。
で、Twitter上だと妙なブロガー(※宇佐美氏ではないですよ)がイキッてるのを見るのですが、一般的な評価は以下の通りです。
永江さんはもう壊れてしまってるな。あれじゃまともな人誰も相手しないだろ。
— 宇佐美典也 (@usaminoriya) December 23, 2020
ピークアウトの予想を外した後は、感染拡大をクラスターが出てしまった医療機関や高齢者施設のせいにし始める。自分も高齢者なのに高齢者を罵倒する。リプ欄は地獄。今状況下においてエッセンシャルワーカーへの想像力もなく机上の空論と罵詈雑言を放ち続けた報いは必ず受けることになるだろう。 https://t.co/HLe8jFlYRW
— フクロニ (@ay20783966) December 23, 2020
別に「立法論として」なら、指定感染症指定から外せと主張しても良い。ただ、その代わりに現在よりも新型コロナ感染拡大対策に寄与するような体制が構築できるならの話ですが。
ここで非難しているのは、指定感染症指定を外すことがマストだという何の根拠も考慮も無い論に対して。そこを勘違いしてもらっても困る。
最後、「新型コロナの平均死亡年齢は平均寿命に近いから大したことが無い論」を言っていた妙なブロガーですが、以下でその主張のおかしさが分かるでしょう。
以上
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