ジェノサイド条約と中国の相性は最悪

「日本が締結するかどうか」
という視点では無く

【中国にどう圧力をかけるか】という視点で考えた場合

ジェノサイド条約
第六条 集団殺害又は第三条に列挙された他の行為のいずれかについて告発された者は、行為がなされた地域の属する国の権限のある裁判所により、又は国際刑事裁判所の管轄権を受理する締約国に関しては管轄権を有する国際刑事裁判所により審理される。

1:行為がなされた地域の属する国の権限のある裁判所
2:国際刑事裁判所の管轄権を受理する締約国に関しては管轄権を有する国際刑事裁判所

おや?

ICC、ウイグル人らの求めを退け 中国のジェノサイド疑惑で 2020年12月15日
ファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官の事務所は、これらの行為はICCに加盟していない中国の国内で行われたものであるため、取り扱うことはできないと説明した

中国は「国際刑事裁判所の管轄権を受理する締約国」じゃないからですね。

どういう文脈かによるだろうが、「ジェノサイド条約のルールに基づけ」、という主張がウイグルとの関係で論じられる場合、かなり注意が必要だろうと思われる。

ジェノサイド条約に基づいて対応することとなった場合、国際刑事裁判所の場合は上掲の通り。

では、中国の裁判所で審理されることになった場合は?

そこで恣意的な判断で「集団殺害等は無い」と認定されたらどうするのだろうか?

逆に、日本がジェノサイド条約を批准・承認した場合、チャイナ側から日本の行為として何らかの事案が告発されることが予想される。

向こう側に「武器」を与えることになりかねない。

中国と国境を接している国のリスク。

・ジェノサイド条約を批准するか否かの話
・ジェノサイドと認定するかの話

これらは別の話ですが、日本はICCローマ規程の加盟国で、そこでもジェノサイド禁止の規定があるところ、ジェノサイド条約が「処罰対象とする行為については、ICCローマ規程において処罰対象とする行為よりも広く規定をしている」という茂木大臣の記者会見における発言もあったように、そういう違いもあるということは注意。

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