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新型コロナ回復者の精子欠乏症論文の理解について

新型コロナウイルスに罹患してから回復した者のうち、精子欠乏症となった者が多かったとする論文が出ました。

この論文について、書かれている内容を超ざっくりと紹介をします。

内容の精査までは行ってません。

新型コロナ回復者の精子欠乏症論文

この論文の結果は、SARS-Cov-2に感染し、治癒が証明された男性のうち、25%(8人が無精子症、3人が乏精子症)が、精液中にウイルスRNAが存在しないにもかかわらず、オリゴクリプト無精子症だった、ということを報告しています。

特徴としては

・一般集団で発見された割合(無精子症1%、乏精子症3%)を上回る
・男性の新型コロナウイルスに罹患する以前の精液の質は不明
・精巣機能の回復があったかどうかも不明

研究対象

性的活動のない男性または射精障害のある男性、前立腺手術またはアルファ遮断薬で治療されている男性、およびインフォームドコンセントを表明できない男性は研究から除外

SARS-CoV2感染からの回復が証明された18〜65歳(179人中、43人が研究への参加に同意)

非入院⇒12人(33–49歳)、入院(ICUなし)⇒26人(48–58歳)、入院(ICU)⇒5人(56–59歳)。

精子欠乏症者の内訳は、非入院1人、入院(ICUなし)5人、ICU3人でした。

すべての無精子症患者は、罹患以前の障害のない生殖能力状態を報告(5人は子供1人、2人は子供2人、1人は子供3人)。

治療に使用された薬物が影響した可能性

Occurrence of azoospermia could be related to antibiotics or other drugs used for the treatment of patients during COVID-19. Indeed, antibiotics, antiviral drugs, chloroquine, corticosteroids, and immunomodulators might affect male fertility status (Semet et al., 2017). However, a contribution to impairment of testicular function from SARS-COV-2 infection cannot be excluded, considering that, on average, the time from recovery was around 30 days, which is below the length of a complete cycle of human spermatogenesis.

論文は「無精子症の発生は、COVID-19罹患中に患者の治療に使用される抗生物質または他の薬に関連している可能性がある」と指摘。

「抗生物質、抗ウイルス薬、クロロキン、コルチコステロイド、および免疫調節剤は、男性の生殖能力の状態に影響を与える可能性がある」という先行研究がある。

ただし、新型コロナウイルスの影響を排除することはできないと指摘。

なお、精液の質は熱性疾患の影響を受ける可能性があるが、一般的に温度正常化の約60日後に精液の回復が得られるとする先行研究があるところ、本研究では9人のオリゴクリプトアゾ精子症の患者は新型コロナ臨床治癒の少なくとも8週間後に検出されたため、発熱の影響はごく僅かだろうと考察されています。

まとめ:治療薬の影響が疑われ、現時点で因果関係は不明

本研究は、新型コロナウイルス罹患者の精子欠乏症は、疾患の重症度に強い関連があるとしていますが、それが治療薬によるものなのか、ウイルスによるものなのか、という因果関係までは示すに至っていません

今後の研究が待たれる、というところでしょう。

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