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シドニーパウエル弁護士のはしご外し

シドニーパウエル弁護士が訴訟上の主張として「良識ある者は(ドミニオン関連の)私の発言を信じることは無いのでドミニオン社に対する名誉毀損は成立しない」と言い放った問題。

上記記事ではパウエル弁護士が当該主張をする中で根拠として引用した最高裁決定に則して検討しましたが、このような主張をするのは前例として成功したものがあったからでしょう。

フォックスニュースのタッカーカールソンが「政治的な主張」に過ぎないとして勝訴

2016年の大統領選挙で、元プレイボーイのモデルであるカレン・マクドゥガルがトランプとの以前の関係について曝露したことが取りざたされていた頃、フォックスニュースのキャスターであるタッカーカールソンの発言が彼女に対する名誉毀損だとして争われました。

カールソンは「それは恐喝の典型的なケースのように聞こえる」と発言。

この訴訟でフォックスニュースは、カールソンが「事実を述べているとは理解できないが、代わりに彼は誇張を使って意見を述べていた」と主張しました。

アメリカ合衆国ニューヨーク南部地区連邦地方裁判所は、「政治的議論を構成することを目的とした修辞的な誇張表現と意見の解説」だとして、「合理的な視聴者は彼の発言に対して適切な量の懐疑論を持った認識に到達する」と判示したと報道されています。

結果、2020年9月23日にフォックスが勝訴しています。

当該裁判の判決文は以下。

日本の東スポも「信用ならない媒体」と東京地裁が判示

平成4年9月24日の東京地裁判決で「東京スポーツの本件記事欄もそのような記事を掲載するものであるとの世人の評価が定着している」「読者は右欄の記事を真実であるかどうかなどには関心がなく、専ら通俗的な興味をそそる娯楽記事として一読しているのが衆人の認めるところである」という理屈で社会的信用の低下が発生していないとして名誉毀損の成立を否定しました。

が、結局は平成5年8月31日の東京高裁判決はこの理屈を否定して東スポは敗訴しました。

パウエル弁護士の事案の違い

こういう判示を行わないかというと、よくわからないし、現にフォックスニュースも勝訴してしまってるので、パウエル弁護士の場合にどういう結果が出るかは分かりません。

しかし、パウエル弁護士の場合にはTV番組の進行のために発言したどころではなく、宣誓供述書において当該発言をしているので、同様の判断が為されるとは考えにくいです。

さらに、パウエル弁護士の発言によって実害が発生しています。

これを言い逃れるのは無理だろうと。

もしもパウエル弁護士の主張が受け入れられるなら、それこそ「アメリカの裁判所は汚染されている」と思います。

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