韓国はイタリアに勝った

韓国における慰安婦訴訟で実質的な判決変更がなされたことについて「韓国はギリシャ以上」と書きましたが、別の視点から。

国際司法裁判所 主権免除事件(ドイツ対イタリア; ギリシャ訴訟参加)
2012年2月3日判決https://web.archive.org/web/20210108025028/http://justice.skr.jp/stateimmunity/stateimmunity_majority.html

経緯は以下。いずれも第二次大戦中のドイツ軍の行為(強制労働・不法殺害等)に関係

①ギリシャ・ディストモ村事件(不法殺害)最高裁⇒ドイツの主権免除を除外、しかし執行されず
②ギリシャ・リドリキ村事件(不法殺害)ではギリシャ特別最高裁でドイツの主権免除を肯定(①の結果を変えるものではないが、主権免除に関する解釈について判例変更)
③①原告がイタリアの裁判所に執行するよう提訴。1・2審は主権免除を肯定するも破毀院(最高裁にあたる)が執行可能だと判決
④フェッリーニ事件(強制労働させられたという主張)のイタリア訴訟でもドイツの主権免除が除外されたことと合わせ、ドイツがICJに対し、イタリアが国際法上の義務違反をしたことの宣告を請求。
⑤イタリアが反訴するも受理不可能とされるが、ギリシャが訴訟参加することで成立
⑥ICJはドイツの主権免除を肯定(その中で②のギリシャ特別最高裁の判断も参考的に参照されている)、イタリアに対してドイツの主権免除侵害措置の効果を失効させるようにと宣告
⑦イタリア議会が立法するも、違憲訴訟を起こされて違憲判決
⑧イタリアが国連国家免除条約の加入時の宣言で同条約は軍隊や軍隊構成員の活動には適用されない、と宣言

ギリシャですら最高裁はドイツの主権免除を認めなかったが法務大臣が判決の執行を許可せず、特別最高裁で主権免除の判断を変更しています。
(※その後イタリアに訴訟参加してるが…)

対してイタリアはドイツの主権免除を認めずICJへの提訴にまで発展。

しかも負けてからも国内でグッダグダの動きをして最終的には「国連国家免除条約の加入時の宣言で同条約は軍隊や軍隊構成員の活動には適用されない」と宣言して、(ICJの判決に抵触はしないと思われるが)事実上、主権免除の国際法ルールに反する態度を取っています。

したがって、「韓国はイタリアに勝った」

と言えるかもしれません。

なお

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