神様は愛の作者だし、それを宇宙に散りばめたのだから。

運命という言葉なんて見落としてしまいそうな自然さで、恋人の存在が必然になった。
結ばれない相手とは、何をどう足掻いてもどう踠いても結ばれないのだなと思う。結ばれる人とは、何も頑張らなくても特に張り切らなくても、一緒に生きる運命の中に掃除機で吸い込まれるように飲み込まれてゆくのだ。

形から入ろうとした恋愛は何もかもがうまくいかなかった。形とはつまり、見栄えとか条件とか建前とか。
恋人との恋愛は、心が震えるということだけ、愛しているという確信だけに焦点を当てていたように思う。そこがブレなければ、形は後からどうにでもなる。

2018年4月29日

わたしの家族には今までも何度か会っている恋人だけれど、今日はわたしたちの婚約を記念するために顔合わせをしましょう的な食事をした。
みんなで行動を共にするのが当たり前なうちの家族は、両親のみならず、姉も祖母までもが同席した。

緊張しながらもしっかりとわたしへの想いや約束を家族に伝えてくれた恋人。彼はテーブルを囲むひとりひとりの顔を見ながら、「大切なお嬢さんを、大切なお孫さんを、大切な妹さんを、全身全霊でお守りします」と丁寧に述べた。
大切な人から大切な人を受け継ぎ、その人を大切にすると言葉と行動で約束する。それが愛なのかも知れないと思った。
そのあとは皆で笑い転げながら食事をした。たっぷりとした窓から柔らかい陽の光が降り注ぐ、表参道の裏道に佇む感じのいいフレンチで。

「かえって、●●ちゃん(恋人の名)にはいろいろ気を遣わせてしまったね。●●●●(わたしの名)のこれからの人生が楽しいことを、確信できたよ。」〈父のLINEより〉

2018年5月5日

これまで、なるべく公な世間から影を薄くし、浮世離れしてきたわたしだが、正式に恋人と生きてゆくためのあらゆる手続きに勤しんでいる。
今日も恋人と市役所へ出向き、母子手帳の公布やそれに伴う細々とした手続きをした。
もろもろを済ませた打ち上げのような気持ちで焼肉の店へ。牛という動物のいろいろな部位を綺麗にお腹に収めながら、たくさん話をした。

わたしたちがどんなにこの世の中と折り合いをつけようとも、いつまでもわたしたちはわたしたちで在りたいな、と思いながらノンアルの飲み物(!)を飲み干していた時、恋人はいつものように真っ直ぐな視線でわたしを見て、「僕はすべてのタイミングについて神様に感謝しつつ、●●さん(わたしの名)と一生恋人でいようと思っているよ」と言った。

恋人は気がついていないことだとは思うけれど、本当に彼はわたしの身に余るくらい素晴らしい。だからこそギフトなのだ。
もらえると思っていなかったのにもらえて、さらにそれが自分にはもったいないほどのものだからびっくりするけれど、この上なく気に入り続ける。
宇宙からのギフトである彼は、そんな存在。

2018年5月12日

あの頃こうでああで、気持ちはもうこうで…のように、愛し合うまでに至る心境の歴史を復習し合うほど幸福な時間って、ちょっとほかにないと思う。
互いの気持ちが動き始めた去年の今頃からちょうど一年が経とうとしていて、それをベッドの中で微睡みながら復習した。
その時すでにお互いの体を触り合っていたので、セックスに雪崩れ込んだ。手のひらの中、信じられない速さで大きさや角度をみるみるうちに変えていく恋人のものを確かめることが大好きだ。
それを受け止めようと急いでひとつになり、気持ち良すぎてあっという間にお互い尽き果ててしまった。昨夜も愛し合ったばかりだったのに。

舐める。と宣言すると、はい。と従順に無防備に差し出すのがすごく好き。そしてしばらく大人しく舐め続けられてるのすごく好き。
もうだめってなるまでなるべくがんばってるのも好き。
まとめると、好き。

「離れている時も、いつもあなたの挿れてって思ってるよ」と言うと、恋人はわたしを真っ直ぐに見つめながら「本当に?それはすごく嬉しいよ、ありがとう。」と言ったりするふたりだけれど、大真面目です。
わたしたちはどんな時も真面目に事を重ねて来て、今に至る。

◆       ◆       ◆

神様はいつだって、わたしたちに宇宙からの愛をキャッチしてほしいと願っていると思う。
だって、作者は、作品に気付いて、受け取って、受け入れてほしいと、願うもの。
神様は愛の作者だし、それを宇宙に散りばめたのだから。

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