マガジンのカバー画像

読書感想文たち

32
感想とは書きたいことを書けばいいのだよと小学生の頃の私に伝えたい。
運営しているクリエイター

記事一覧

「汝、星のごとく」読書感想

泣いた。 文字って映像と比べると泣けることが少ない気がします。 「幸せになれなくてもいいのだ。 ああ、違う。これが私の選んだ幸せなのだ。 わたしは愛する男のために人生を誤りたい。 私はきっと愚かなのだろう。 なのにこの清々しさはなんだろう。 最初からこうなることが決まっていたかのような、この一才の迷いのなさは。」 この一節でこの本の良さ語れるわ。 本書は決断・選択と幸福の関係性が大きなテーマだと思ってます。 まず、自分で選んだから、幸せである。 自分が良いと思う方に向か

「誰のための仕事」/読書感想

生産性や効率性を求める労働主義の価値観が余暇に流れてきていることを初めて意識することができた。⁡ ⁡休みの日でも意味のある・価値のあること(ボランティアや自己学習)や充実感のあること(ゲームや旅行)を義務的に追い続けてしまう私たち。⁡ ⁡じゃあ、何をすればいいのだとまで思ってしまうほど消費社会に飲み込まれてしまっているんだなと感じた。⁡⁡⁡ ⁡⁡ ⁡覚えておきたいこと。 結論、未来のために現在を犠牲にする前のめりなものではなく、同時的な私自身の変容に目を向けようってことなのか

作戦勝ち「傲慢と善良」/読書感想

私の好きな朝井リョウさんが解説をしているということで、興味が湧いて買ってみました。 恋愛というか結婚を視野に入れた恋愛の現実をまざまざと見せつけられた。 そういう物語だった。きっと婚活する人達の思考を解像度高く描いているのでしょう。読んでて怖かったです。⁡ ⁡ ⁡ 「この相手にピンときた」という巷のこの謎の表現ありますよね。⁡ ⁡これは相手が自分よりも上か同等の存在だと思うから恋人にしたいという感情であり、点数付け前提の思考だという言語化には納得感がありました。⁡ ⁡⁡点数

「そばかす」/映画感想

方言が地元と似てるなあと思ってたら、履歴書にばっちり地元の住所書いてあって嬉しくなりました。 恋愛感情がないって意味わからんってなるかもだけど、割と誰でも共感しうる場合もあると思います。 お見合いの人と仲良くなったけど、結局好きになられちゃった所とか。 友達だと思ってたのに!って別に女性なら体験割とありますよね。 あれどっちもしんどいですよね。好きになっちゃった側もなられちゃった側も。劇中でどっちも謝ってましたからそういうことです。 ああいうのすごい嫌です。難しいから。

雑に扱われる,扱う・自己投影する「愛がなんだ」/映画感想

マモルのことが好きなテルコ テルコを雑に扱うマモル すみれのことが好きなマモル  葉子のことが好きなナカハラ ナカハラを雑に扱う葉子 好きな人に対する態度は、テルコとマモルは同じ 好かれている人に対する態度は、マモルと葉子は同じ 好きな人に雑に扱われているナカハラに自己投影するテルコ 雑に扱われる・雑に扱う・自己投影する 雑に扱われる苦しさ 雑に扱う弱さ 自己投影して吐き出したい気持ち この三つが私の体験ベースで心が痛くなった登場人物の感情だ。 雑に扱われる苦しさ

普通に生きたい願望のすれ違い。「糸」/映画感想

”普通”に生きたい願望を感じるシーンが多かった。 葵は子供の頃は虐待にあうことなく、普通に生きたかった。 蓮は妻と死別することなく、普通に生きたかった。 幼馴染の竹原は妻が精神異常になることなく、普通に生きたかった。 また、主人公とヒロインはお互いが何度も何度もすれ違う。 観てる側は非常にもどかしい気持ちになる。 最後に一緒になれるハッピーエンドだからいいんだけどね。 そんなこんなで、葵と蓮の劇中の物理的なすれ違い(あと数秒・あと数メートル)の他に、”普通”に生きたい願望

生きがいを無理に作るあなたへ「死にがいを求めて生きているの」/読書感想

上記の文章を元に、以下の読書感想文は始まっている。 解説でもこの文章が取り上げられていて、私も小説を読む力が向上したのか?と少し思った。 わたしのものさしの使い方「君がいいなら、それでいいんだよ」 人生の中で、何度言われ、何度言っただろうか。本当によく聞く。 あなたのものさしで決めればいいのよと。 この言葉は、”他者評価地獄からの解放”を意味するだろうか。 「そうか、周りのことなんか気にしなくていいのね!」と。 それとも、”自己評価地獄への入口”を意味するだろうか。 「

詩か恋のどちらかでも好きなあなたへ「あなたと読む恋の歌百首」/読書感想

詩とか歌とか一ミリも興味なかったんです。 周りに詩が好きな人なんて聞いたことなかったし、関心を持つきっかけも今までありませんでした。 ここ数ヶ月で詩が好きな人に数人も会ったので、これは読んでみようと思いました。 なぜか集中的にある事柄が目に付く期間ってありませんか? 今日はやけに妊婦をたくさん見かける。 今日はやけに赤のヘルプマークをたくさん見かける。 たまにあります。不思議。 ここ数ヶ月はやけに詩好きを見かける。 そう思って、一旦触れてみようと思いました。 以下、私が愛

多様性への考えをちゃぶ台返しされたいあなたへ「正欲」/読書感想

読んだ動機はなんとなくかな。 あと面白いって友達が言ってたから。 めちゃくちゃ面白かったなあー。 刑事小説以外でこんなに勢いよく読んだ本は久しぶり。 物語の構成がとても面白いです。 はじめの語りの扱い方、最初にネタバレ、場面転換のやり方etc でも、この作品の見るべきところはそこではないのですが、なかなかまとめるのが難しいです。 多様性という最近話題のお話に一石を投じる作品ですよというのが一番わかりやすいんでしょうか。普通で一般的かな。。。 『普通で一般的って何ですかね

貯金が大好きなあなたへ「DIE WITH ZERO」/読書感想

人生で一番大切なことは思い出作りである。 死んだ時の総資産額ではない。 貯蓄<経験老後のためのお金は大事だ。 でも、老後に使うお金の価値と若い頃に使うお金の価値は全く同じではない。 だから、若い頃にしっかりと”経験”をしまくろうということ。 経験というのはそれから先ずっと思い出すたびに楽しい気持ちにさせてくれる。 物の購入と比較しても喜びの持続時間は長いどころか積み重なっていく。 それを記憶の配当と著者は呼んでいる。 一生記憶に残る旅行、心振るわせられたコンサート、新しい

ゲームを悪者にしないでほしいと思うわたし「ゲーム反対派の僕が2年で4千時間も..」/読書感想

「ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由。」 著者は、芸人の小籔千豊。 何気に初めての出版らしい、エッセイとか出してそうですけど。 簡単に本書の内容を説明すると。。。 小藪家はゲーム禁止だったけど、子供同士のコミュニケーションにゲームが必要だったから、なくなく買った。 なし崩し的に禁止令が解かれ、かくかくしかじかで禁止令を出していた親自身がゲームにはまってしまった。 2年間で4000時間もフォートナイトをやってしまうほどに。 その中で子供との

いつか誰かをまるごと愛したいあなたへ「中学生からの愛の授業」/読書感想

愛が何かはまだ掴めない。 だけど、なぜ大切なのかはだんだんわかってきた。 最終的に、持続可能な愛を得るための準備をする必要性に駆られている。 若輩22歳、先を見ているつもりであります。 愛と性に関する本だ。 この概念が人間の幸せの大きな部分を占めていることに間違いはない。 私は、ここ最近の経験を通して、性愛とは自分が避けて通るべきことではなく、むしろ、失敗してでもさらにしっかり学ぶべきことだとぼんやり思っていた。 それを後押ししてくれるような本だった。 なんとなくそうした方

言語化すると固定化されるのでは。「幸福のための人間のレベル論」/読書感想

幸福のための人間のレベル論 あるYoutuberのおすすめ本のひとつにあったので読んでみた。まあいつか人間関係で悩んだ時に使えるのかも。なぜか生きづらい人のための本って感じ。 なんでこういう占いチックな本て表紙の文字のグラフィックが共通しているんでしょうか。紫色金色。この本は特に占い要素はないから別物ですが。 てか、私は占いって数年前までははかなり否定的で、信じている人は馬鹿だとか思ってたんです。 でも、あれはかなり有用で便利なサービスなんだなと最近気づきました。 だま

正しくなさを体験したいわたし#その2「何様」/読書感想(再読)

私は滅多に再読をしない。 しかし、先日に本書の内容を少しばかり話し合うタイミングがあったので、再読してみようと思った次第だ。 再読した短編は「むしゃくしゃしてやった、と言ってみたかった」。 一度読んだ物語をまた読むのもいいね。 私の正しさの納得感を得たい1度目に読んでから5ヶ月ほどが経ったが、まだ私は正しくなさは体験できていないみたいだ。 体験したさが心にあるままだ。もはや”憧れ”に近いのかもしれない。 その体験に自分自身の不釣り合いを感じてもかまわない。 一方を選ぶ時に