見出し画像

オート周回で完結するソシャゲはゲームと言えるのか?「ジャンプチ」ガチ勢65歳母のプレイングを見て思うこと

スマホRPGなどでオートバトルを繰り返して何度も同じステージを攻略している時、「ゲームをしている」と思うだろうか?これはゲームをよくプレイする人ならしばしばぶつかり得る事柄かと思う。筆者はどうも、オートバトルの仕組みをうまく活用できないタイプで、オートバトル×周回に対しては苦手意識がある。それはゲームというより、不毛な作業に思えてしまうのだ。

オートバトル機能は、画面を注視しなくてもゲームが進められて、クエストの周回作業が苦にならないことなどが利点だ。隙間時間を利用してゲームが進められるスマホゲームなどと相性のいい機能である。しかし筆者はバトルを片手間にこなすことができず、オートバトルの機能があったとしても、画面を眺め続けてバトルが終わるのをじっと待っている。かといって手動で同じクエストを何度も周回するのも苦痛。オートバトル機能が生み出す自由時間を上手く使えないので、スマホRPGは面白そうなものに出会っても、続かないことがほとんどだ。

最近、そんな筆者の母(65歳)が『ジャンプチ ヒーローズ』(以下、「ジャンプチ」)という週刊少年ジャンプのキャラが登場するスマホ向けのパズルゲームにハマっていて、四六時中プレイしている。しかもオート周回を駆使して、だ。さらに言うと、オートバトル機能のみでPvPコンテンツ「決闘」で最上階に昇りつめている。つまり、上位のレイヤーに食い込んでいっているということだ。

我が家のリビングでは、母の観る韓国ドラマの音声と、スキル発動時のSE「シャキーン! ズバババ」が同時に鳴り響いているのがここ数か月の日常である。筆者がハマりたくてもハマれないオートバトル×周回×スマホゲームを、どうして継続して楽しめているのか、母にインタビューしてみることにした。

母のアカウント

「ジャンプチ」は週刊少年ジャンプ歴代の作品のキャラが集結するパズルRPG。サービス開始から3年目を迎えている。パズルは盤面上の「プチ」をタップして消していくというもの。同じ色のプチが隣接しているほど、多くのプチを一度に消すことができる。プチを消した量はバトルに参加するキャラクターの攻撃力に繋がる。バトルはターン制で、プチの消去に加えてスキルや必殺技なども駆使して攻防を繰り返していき、敵の体力を削り切ると勝利だ。

そもそも、日常的にゲームをする人ではない母がなぜ「ジャンプチ」を始めたのかというと、「ジャンプチ」に『鬼滅の刃』のキャラが追加されたことをきっかけに、高校の同級生に勧められたかららしい。意外と高齢者世代でもゲームをやっている人がいるんだなと関心する。そしてやはり『鬼滅の刃』の影響力は計り知れない。

話が逸れたが、早速核心へ迫る。「オート機能で進めるゲームはやっていて面白いのか?」と訊くと母はこう答えた。「自分の力でバトルをやろうとしたら勝てないと思うからありがたい。テレビを見ながら自動で進められるのもいい」

つまり、頭を使わなくても成果を得られるのがちょうどいいようだ。正直筆者は、オートバトルだけで完結するなんて、しかもそれなりに上位にいけるなんて、ゲームとしてどうなのか。それはゲームを遊んでいるといえるのか? とネガティブに捉えていたのだが、それがむしろいいと思うプレイヤーもいるのだなと、あたりまえといえばあたりまえなのだが、異文化を知ったような感覚になる。

しかし、もし母のようなプレイヤーの対戦相手の立場だったらどうだろうか。攻略サイトで情報を収集し、編成を考え組みあげた自慢のパーティが、無課金の脳筋オートバトルパーティ(ごめん)にもし負けてしまうのなら、やっぱりそれは「ゲームとして成立していない」と言いたくなるだろう。戦力や戦略が足りないといえばそこまでだが、掛けた労力に対して、正当なリターンが得られていないという気がしてならない。

とはいえ母は何もしていないわけではない。パーティ編成は少しだけ脳みそを使っている。最初こそ「おすすめ編成」をポチッと押すだけの脳筋パーティだったものの、今は「HP」の数値が高い順にパーティメンバーを選んでいる。おそらく同一パーティに編成することでシナジーを持つスキルやユニットがあると思うが、それは一切無視で、体力をとにかく積んでいくスタイルである。

これもひとつの立派な戦略であるし、バトル中に操作をしなくても勝利を勝ち取れるというのは、幅広い層がゲームを楽しめる設計になっている証拠であろう。しかし、ネット上に挙がっている熱心な攻略情報と母の立ち回りのコントラストを見ていると、どうもばかばかしく思えてしまった。

オートバトル体力ガン積みパーティでもまあまあ勝てる。その事実を知った時、育成のともなうスマホRPGにまともに向き合おうとするのは控えよう、と思ったのであった。

「ジャンプチ」をプレイしているあなた。対戦相手はオートプレイのうちの母かもしれない……。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?