失恋した日のこと
静かなみずうみの揺れるさざなみみたいな声が
心にやさしく染み込んできて
全身に広がっていくのを感じたとき
春の近いやわらかい日差しの日
眠り込んでいた直感を、嵐みたいに揺さぶった
もっと近くで声を聞きたい
時折見せる深い眼差しを
太陽に焼かれるみたいに
日を追うごとに強く惹きつけられる意味を知りたい
その願いはもう、果てしなく遠く
ルーズリーフに震えながら書いて渡した私のアドレスは
葬られ
あの人のこわばる瞳の先に、私はいないことを知り
きらきらひかる目の女があの人の未来のそばに立っていて
幸せでいてほしい
私のいない場所で
胸に空いた穴に冷たい風が吹き込んでいく
朝はとくに冷え切って、凍えそうになる
それでも、日を重ねるごとに日々の色彩は深く濃く
いろどりを増し続けていった
あなたを見ていた私の日々は、とてもきれいな色でした
言えなかったのは
触れたくて仕方なかった横顔を見るたびに
悲しくなるくらい穏やかで優しい声を聞くたびに
全身から声が滲みだしてあふれそうなくらい
心がぐちゃぐちゃになってだめになりそうなくらい
「ずっと好きでした」
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