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歌声合成とオーケストラ生演奏によるコンサート

ボカロなどデジタルな歌声合成による歌唱と、アナログなオーケストラの演奏、その両者には隔たりが大きいように思われます。音そのものも、それを作る人や聞く人も。
しかし、「ボカロクラシカ」というタグがあるように、ボカロとクラシック音楽を組み合わせる試みはボカロ黎明期から存在しました。

しかし、オーケストラで演奏するというのは簡単な事ではないこと、オーケストラは指揮者に合わせて演奏するが、ボカロは指揮者に合わせて歌う事が出来ない、という技術的な課題もあり、ボカロとオーケストラの生演奏の組み合わせはほとんどありません。


イーハトーブ交響曲 / 冨田勲

歌声合成とオーケストラ、その2つを本格的に組み合わせた世界初の交響曲は、おそらく冨田勲さん作曲による「イーハトーブ交響曲」でしょう。宮沢賢治の作品を題材として、初音ミクをソリストとして起用し、指揮者に合わせて初音ミクが歌う特別な仕組みを採用して実現しています。

この交響曲の初演は2012年11月で、その後も何度か演奏されています。


初音ミクシンフォニー

歌声合成とオーケストラの演奏を合わせる方法の1つとして、歌声合成が歌うテンポであるクリック音に合わせて指揮者が指揮して、オーケストラが演奏する方法があります。
その方法でオーケストラのコンサートを続けているのが「初音ミクシンフォニー」です。

2016年の初開催から、毎年開催されているこのオーケストラコンサートは、初音ミクなどが歌うボカロ曲をオーケストラで演奏するコンサートです。
オーケストラの演奏のみで演奏する曲もありますが、歌声合成に合わせてオーケストラを演奏する曲も多いです。

初音ミクシンフォニーの派生コンサートとしては、ゲーム「プロジェクトセカイ feat. 初音ミク」の楽曲をオーケストラで演奏する「セカイシンフォニー」というのもあります。


MUSIC DESIGN SYMPHONIC ORCHESTRA / 洗足学園音楽大学

洗足学園音楽大学の学生が作曲した作品をオーケストラで演奏するコンサートです。定期的に開催されているこのコンサートで、ボカロの歌に合わせてオーケストラが演奏する演目があることがあります。

映像も学生が制作しており、それも見所の1つです。

京町セイカ with Style KYOTO管弦楽団オーケストラコンサート

京都府精華町の広報キャラクターであり、VOICEROIDやSynthesizerVの音声合成ソフトも販売されている京町セイカの10周年を記念して、2023年9月23日にオーケストラコンサートが開催されることが発表されました。

オペラやポップス、京町セイカオリジナル曲を、オーケストラの生演奏をバックに京町セイカが歌うとのこと。これまでに紹介した「イーハトーブ交響曲」や「初音ミクシンフォニー」とも違った、オーケストラコンサートになりそうです。

本コンサートの演目を京町セイカが歌った動画は、Youtubeやニコニコ動画にも投稿されています。この音源が本コンサートで使われるのかは不明ですが、これがオーケストラ生演奏で聞けたら、どんな素敵な演奏になるのか楽しみです。


清水フィルハーモニー管弦楽団 第23回定期演奏会

コメントで情報を頂いたので、こちらも追加します。

2010年2月20日に開催された清水フィルハーモニー管弦楽団 第23回定期演奏会「♪MEET the STORIES♪音の綾なすモ・ノ・ガ・タ・リ」では、VOCALOIDとオーケストラの共演が2つありました。

グリーグ作曲の劇音楽「ペール・ギュント」の演奏では、初音ミクが語りで登場しました。アンコールでは、モーツァルト作曲の「夜の女王のアリア」を「VOCALOID2 Prima」が歌いました。詳細は、下記のブログ記事に書かれています。

清水フィルハーモニー管弦楽団には、ヤマハのVOCALOID開発者である剣持秀紀が在籍しており、それが縁で実現した演奏のようです。

イーハトーブ交響曲の初演2012年よりも2年前の本演奏会が、おそらく世界で初めてVOCALOIDとオーケストラが一緒に生演奏したコンサートでしょう。

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