Heartbreakerに魅せられた夜

#スキな3曲を熱く語る

「お前、バンドでリードギターやるようになったんやて？」
「俺、歌もやってます」
エレキギターの師匠の部屋で、そんな会話をした。
師匠は、水産会社に研修に来ていた大学生だった。
その親父が家に招いて、仲良くなった。毎日のように入り浸った。
「おおっ！　そしたら、これ、知ってるか？」
「また、サウンドストリートやろ」
「そうやがな。渋谷陽一が絶賛しとってん！」
小刻みなドラムの音が心地よく叩き出し、ディストーションの効いたギターが絡み
女性の迫力あるヴォーカルが始まる。
Pat　Benatar　Heartbreaker

その次の日にレコード屋に出かけた。地方都市のレコード屋4店舗を駆け巡った。名前も知らない店員が殆どだった。サウンドストリートの音源だけをダヴィングし直し、
師匠とカセットテープを聞きながら、『レコピ』を始めた。
コードを拾い出し、リードギターの音を耳で探した。
「見といてみ、このオンナ、絶対、売れるでっ！　こんな声出せるとしたら、葛城ユキ位かな･･･」師匠は、そうつぶやいた。

マイケル・ジャクソンやデュラン・デュランのMVが巷に流れている時代。その翌年、彼女は、MVで紹介された。その曲が
Love　is A　Battlefield　愛の嵐
彼女自身もダンスを踊っています。
「ポップ路線に走ったなぁ･･･。パット・ベネター･･･」空港に向かう車内で、師匠はそうつぶやいた。東京の機械メーカーに就職が決まった俺は、黙って頷いた。

数年後、マグロの養殖が成功したらしくテレビの報道番組で師匠がインタビューされていた。10年ぶりの再会だった。急に連絡が取りたくなった。
「お前は才能がない。無理。ギターでは食えない。歌はうまいけどな･･･。パット・ベネターみたいな声がでれば売れるやろ(笑)」
その通りになった。師匠、俺にも家族が出来たよ。
Fire And Ice

今でも、この3曲を聞くとテンションが上がってきます。
プレゼンする前には、必ず聞きます。
お薦めです。
※サウンドストリートとは、NHK-FMで放送された音楽番組である。放送時間は、毎週月曜日 - 金曜日の22時台。（Wikipedia）より引用。