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郡名20選

「郡名」は面白い。市町村レベルでは安易な合成地名や僭称地名が氾濫しており、多くの歴史ある地名が失われているが、郡レベルでは古い名称がかなり温存されている。この背景には、「郡」が地域区分としてあまり注目されてこなかったために、古くからの呼称や領域がそのまま放置されてきた、という皮肉な事情がある。普段我々は郡名など全く気にせず生活しているが、郡名はまさに「気にされない」ことによって、地名としての価値を高め続けているのだ。そんな郡名の世界への導入として、私が気に入っている名称を20個ほど紹介したい。

1 北海道 雨竜郡(うりゅう)

厨二心をくすぐる。レイニードラゴン。 

2 北海道 幌泉郡(ほろいずみ)

思わず口に出したくなる郡名。ホロイズム郡。

3 北海道 二海郡(ふたみ)

二郡にまたがる市町村合併により新設された郡。太平洋と日本海に面することから名付けられた。

4 北海道 爾志郡(にし)

ただの「西郡」にしないぞ、という強い思いを感じる。

5 岩手県 下閉伊郡(しもへい)

シモ=ヘイヘっぽい。

6 福島県 双葉郡(ふたば)

楢葉郡と標葉郡が合併して「双葉」。合成地名の中では一番好き。

7 福島県 亘理郡(わたり)

字面も響きもカッコイイ。

8 茨城県 結城郡(ゆうき)

強そう。

9 千葉県 夷隅郡(いすみ)

辺境感がひしひしと伝わってきて良い。

10 群馬県 邑楽郡(おうら)

21世紀とは思えないほど年季の入った地名。

11 長野県 埴科郡(はにしな)

響きが柔らかくてかわいい。

12 石川県 鳳珠郡(ほうす)

鳳至郡(ふげし)と珠洲郡(すず)が合併してできた合成郡名。字面も響きも上品。「鳳珠」は合併以前から両地域の総称として用いられており、この点でも適切な郡名といえる。

13 石川県 羽咋郡(はくい)

一帯を荒らし回った怪鳥の羽を犬が食い破って退治したという伝説に由来する。鳳至といい珠洲といい、能登には良い郡名が多い。

14 京都府 綴喜郡(つづき)

喜びを綴り“続け”るなんて、素敵やん。

15 京都府 乙訓郡(おとくに)

字面も響きもエレガント。京都っぽい。

16 広島県 世羅郡(せら)

どうでもいいけど最近よく宋世羅のYoutubeチャンネルを観ている。

17 山口県 玖珂郡(くが)

王偏シリーズ第一弾。高級感がある。

18 香川県 綾歌郡(あやうた)

阿野郡(あやぐん)と鵜足郡(うたぐん)が合併した際に制定された。双葉郡の次に好きな合成郡名。

19 大分県 玖珠郡(くす)

王偏シリーズ第二弾。こちらも高級感がある。

20 宮崎県 児湯郡(こゆ)

神様が郡内の池を産湯として使ったとの神話に由来する。

Appendix1 北海道 紗那郡(しゃな)

択捉島北東部にある郡。行けないけど響きはカッコいい。

Appendix2 神奈川県 淘綾郡(ゆるぎ) 

古今東西の郡名の中で一番好き。「中郡」が発足したことで消滅した。

Appendix3 新潟県 頸城郡(くびき)

字面も響きも物々しい。明治期に西・中・東に分かれて消滅した。

Appendix4 島根県 縦縫郡(たてぬい)

「出雲国風土記」によれば、神事道具として楯を造り始めたことに因むらしい。さすが出雲だ。

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