名文today_52／『整形前夜』

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我々には「生き延びる」必要がある。だが、「生き延びる」ために生まれてきたわけではない。では、なんのために生まれてきたのだろう。「フィリップ・マーロウ」には「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」（『プレイバック』）という有名な台詞があるが、私はそれに加えてもうひとつ、「桃色の虫」が見え、幻の「鐘」が聞こえなければ、「生きている意味がない」と思うのだ。

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穂村弘 / 『整形前夜』/ 2012 / 講談社文庫