見出し画像

エクストリーム徒然草

本記事はエクストリーム帰寮2022の備忘録のような何かです。

※めっちゃ寒いので防寒命
しっかりした靴、インソール、五本指靴下を用意することをお勧めします

0.前夜

陰の者

 今から2年前、こんなこと言ってる奴がいました、かわいそう。
エクストリーム帰寮ってなんか人を引きつける力がありますよね。このキャッチ―さが数多の学生達を葬ってきたのだから業の深い企画です。そういうわけでまんまとミミックに騙されて今年は参加することに決めてました。

 じゃあ何㎞にするか。普通に考えればろくに運動もしていない私には20~30㎞が適当か_______________

45kmになりました
 
フルマラソンじゃねえか。どうしてこうなった。
 
 ___よく考えたら私も同行する友人も物事を乱数でしか決定できない悲しきモンスターでした。それゆえいくつかの候補の中からギャンブルで距離を決めようとしたところ、運命の女神は空気を読んで1番のハズレをプレゼントしてくれました。愚の極

ーエクストリームの距離を賭けてはいけないー

あるポーカープレイヤーの手記より

この後みちづれ(原義)になる奴をサークルから募ったら結局3人も来ました。なんなんだこの人たち(困惑)

1.出立

出発したのは早朝4時でした。運転手の方が結構フォーマルな服でデスゲーム感を引きたててました。気分はひらかたパークのフリーフォールするやつの上昇中です。車内では目隠ししながら「高速っぽいし西ではなさそう」とか言ってました。愚の極2nd

2.投下

1時間ほど走って到着

1番最初の写真 何が写ってるのか分からない

落とされたのは田んぼの真ん中でした。周囲は真っ暗、助けはもうない。正直言ってこの瞬間が一番興奮しました。エクストリーム帰寮ってこの瞬間のためにあるといっても過言。出立が遅れたことが幸いして東の空が白み始めていたので方角は分かりましたし、とりあえず遠くに信号が見えたのでそっちに歩き出しました。

3.県境

通りに出た私たちを待っていたのは

北が下だからややこしい

答えでした
至京都って書いてありますし、急にイージーモードに。
そしてその横には

野菜を盗む集団として逮捕されなくてよかった

ゴール!!
冗談は置いておいて、ここが大阪府であること、亀岡市が東にあることから
どうやら私達は大阪北部にいそうということは分かりました。

スタート地点

おおよそ方針が定まったところで本格的に帰寮を開始しました。このころはまだ足取りも軽やか、休むことなく県境まで歩き続けました。マップで見てみると序盤結構ロスってますね。途中国道477号に乗って北上したほうが若干高低差が少なく楽だったようですが、ゴールが東なのに真北に向かう度胸はありませんでした。

こうしてみると全然歩いてないですが、なんか結構歩いた感覚でした

県境あたりで朝を迎え朝食休み。同行の先輩がキャンプセットを持ってきていたので配給の食パンをホットサンドにしました。

『コーヒーを挽く少年』

朝の澄んだ空気の中、自然に囲まれて食べるホットサンドはそりゃ美味いです。気力も回復し、お決まりの県境反復横跳びを経ていよいよ京都へ突入!

4.亀岡

穏やかな田舎って感じの道を黙々と歩きます。

ピンが刺さっている場所は「笑路」(わろじ)

亀岡市街に入るあたりで一気に坂を駆け下ります。ここで的確に足裏が破壊されました。一人脱糞衝動を抱えて歩いていた友人は、なぜか京都先端科学大学への脱糞を目標に我慢し続け(?)、とうとう一行は帰寮へ道半ばまで来ました。

5.亀岡

 できることなら京都縦貫道に乗りたかったのですが、誰もエンジンを積んでいなかったのでやむなく断念。山陰道、国道9号から京都市を目指します。
このあたりからみんな順番に限界を超えてきてペースが落ちてきました。単調な風景、昼下がりのだるさ、その上で保津川下りの小舟を上流に運ぶトラックが一定周期で走って来るので本当に無限ループに入っているような感覚でした。分け入っても分け入っても亀岡。亀岡の悪魔。亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡亀岡

途中スタジアムへの行き方を尋ねてきた女性の方、地元民でもなく地図も開けない、8.5万人の亀岡市民の中で最も不適当な人間にあたってしまったことをお詫び申し上げます。

街を抜けると今度は幅1mほどの歩道の横を時速80kmで車が走る死のゾーンに突入します。5人のうち一人でもふらついたらお陀仏で、体感5%くらいの死亡リスクを背負って1時間以上の最後の山越えしました。

この極限みたいな場所で行きの車に同乗していた人とまさかの再会。聞けば60km歩くそうで自分たちを置いてガンガン進んでいった。すごすぎる60kmニキ

6.洛内

長きにわたる亀岡の悪魔との闘いに勝利しようやく京都市に突入。

地獄の門

 この時私は「京都市まで来たらもうリタイアすることもないだろ」と思っていました。愚の極final 

ーエクストリーム帰寮の辛さは洛中が9割ー

ある筋肉痛大学生の手記より

ここで自分の体のスイッチを切ってしまったことが、この後の地獄を招きます。足裏はとうに死に、腰を下ろすと立ち上がったときふとももがパンパンになってまともに歩けません。しゃべっておかないと痛みを認識してしまうので「目についたものを英語で言う」「IQ3しりとり」など限界大学生ごっこに勤しむようにしました。(この点一人で歩く人は本当にスゴイ)
 何より辛いのが「自分がどこにいてどう歩いたら何時間で帰れる」というのがもう分かっていることです。こうなるとエクストリーム帰寮の面白みは皆無で、市バスが走っているのに乗らないことが時間の無駄としか思えなくなります。

京都ってこんなに広かったっけ
Why don't you get on a bus?

最後は「ここまで来てリタイアなんかしたくない」「『わたしゃフルマラソンを超える距離を歩いたことがあるんじゃよ』って言いたい」という気持ちだけでなんとか運動エネルギーを創出しました。

7.帰寮

午後8時10分、45kmを15時間かけて私たちは帰寮しました。一人は爆速で帰宅し、一人は銭湯に行くといって走り去っていきました。(おそらくそれだけを心の支えに歩いていたのだと思う)
 長い一日でした。私の足はもう棒のようで今にもつりそうです。失うものもあったけれど、得たものもあります。まず、45kmとくらべたら、少し歩くことくらい大したことないなって思うようになりました。あとは自分の限界を迎えてもうひとのびする力もついた気がします。
 このような機会を設けてくれた運営の方々運転手の皆さん、本当にありがとうございました。この企画が伝統として今後も引き継がれていくことを願っています。
 最後にこんな拙い文章を読んでくれたあなたにも感謝します。

P.S.歩く筋肉と自転車をこぐ筋肉は全く別らしい


終わり


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?