アレルギー専門医試験について(過去問からの勉強ポイントまとめ 共通問題) ※過去問ではありません

COVID-19の流行後は、会場での一斉試験ではなく、各地のCBT実施会場でのCBT方式(コンピューターを利用した試験)となっています。
ここ数年は問題形式に変更はなさそうで、一般共通問題40題+専門領域問題(一般問題60題、症例問題10題)という形式となっています。(専門領域が眼科の方は、一部記述式があるようです。)

一般共通問題(1時間)、専門領域問題(2時間)となっています。共通問題の解答及び確認が終われば、1時間より前でも専門領域問題を受験可能です(以後は共通問題には戻れません)。専門領域問題の解答・確認が終われば、終了して退出可能です。

私は内科医ですので、専門領域については内科を受験しました。過去問はアレルギー学会から購入が可能です。各問題の正答は開示されていますが(一部に除外問題もあり)、解説はありません。

年度ごとに問題構成や選択肢は微妙に変化します。問題自体は初回ではかなり苦戦しますが、各年度を見ていくと出題傾向がかなり近いので、過去5年分くらいを確認しつつ、選択肢の⚪︎×から知識をつけていけば合格可能だと思います。

出題テーマとそのポイントをまとめました。全て正答に改変したつもりですが、ご自身で内容は確認しつつ、ご利用ください。

[共通問題]

[アレルギー疾患の総論(特に疫学)について]
⚫︎気管支喘息
・小児の喘息死は年々減少傾向である。(0〜14歳での喘息死は、2016年 5人、2017年 0人)
・小児アトピー性皮膚炎におけるアレルギー性鼻炎や気管支喘息の合併率は60%ほどを高いという報告がある。
・喘息死の多くは高齢者が占める。
・気管支喘息の有症率は小児の方が多い。
・気管支喘息の病型は高齢になるほど、非アトピー型が増える。
・高齢者喘息の発症頻度の男女差はない。喘息死の90%以上は65歳以上が占めているが、年間1500名を下回っており、緩徐に減少傾向。
・高齢者喘息では男性よりも女性の比率が高い(小児期は男児に多い)

⚫︎アトピー性皮膚炎
・小児アトピー性皮膚炎に気管支喘息が合併する頻度は高い。
・アトピー性皮膚炎の有症率が増加傾向にある。加齢とともに減少する傾向があるが、重症度に関しては幼児期よりも学童期に、概して症状が悪化する傾向があり、40歳以降では中等度や重症以上の割合が減少する。

⚫︎アレルギー性結膜炎
・アレルギー性結膜炎の発症ピークは10歳代である。

⚫︎春季カタル
・春季カタルは、乳幼児期よりも学童期に多く、男児に多い(男:女=2〜4:1)・
・季カタル幼少期に発症し学童期に多いとされ、アトピー性皮膚炎に合併していることもある。
・重症になると角膜にシールド潰瘍や角膜プラークという病気を引き起こし、視力障害の原因となる。
・原因抗原はハウスダストやダニが多いが、その他に花粉やふけなど多種類が考えられる。
・治療は、抗アレルギー薬、無効時は免疫抑制剤の点眼を使用する。また、ステロイドの点眼薬や内服薬、瞼結膜下注射が必要なこともある。

⚫︎花粉症・アレルギー性鼻炎
・スギ花粉症は増加傾向です。(舌下免疫療法の普及してきています)
・アレルギー性鼻炎は、通年性より季節性の増加が著しい・
・アレルギー性鼻炎の有病率は約4割、アレルギー性結膜炎の発症ピークは10歳代であり、近年花粉症(季節性アレルギー性鼻炎)の増加が顕著である。

⚫︎食物アレルギー
・甲殻類による食物アレルギーは、小児では乳児期に比べて学童期に多い。・食物アレルギーの多くは、3歳までに発症する。小児期の食物アレルギーは改善することが多いが、年長や成人で発症した食物アレルギーは改善しにくい。
・甲殻類による食物アレルギーは、小児では乳児期に比べて学童期に多い。
 小児:鶏卵、牛乳、小麦の順番
 学童:甲殻類、鶏卵、蕎麦の順番に多い
 成人:甲殻類, 小麦、果物の順番に多い

[アレルゲンについて]
・生理条件下で水溶性であることが多い。
・アレルゲンは蛋白質または糖蛋白質である。
・輸送や代謝、細胞骨格の構成・生合成など生物学的活性を有するアレルゲンも多い。
・アレルゲンの分子量は少なくとも3000〜5000以上であり、一般に10000〜40000である。
・WHO/IUISによるアレルゲン命名法によって命名される。
・患者におけるIgE抗体の陽性頻度が50%以上のものを主要アレルゲンと呼ぶ。
・アレルゲンの間には交差反応性がみられることがある。

[I型アレルギーについて]
・ヒスタミンが関与する
・ 蕁麻疹はI型アレルギーである。
・FcεRIは、α鎖、β鎖、γ鎖からなる。
・IgE受容体はマスト細胞以外にも、好塩基球、単球、樹状細胞、好酸球などに発現している。
・マスト細胞の活性化によって細胞内顆粒のヒスタミンが放出されることで生じる。
・IgE抗体架橋後に、脱顆粒が起こる。
・高親和性IgE受容体はマスト細胞や好塩基球、皮膚ランゲルハンス細胞などに高親和性IgE受容体が発現している。(低親和性IgE受容体はマクロファージなどに発現している。)

[代表的なアレルゲンについて]
これはひたすら覚えるしかないやつです。毎年出題されていると思います。
・スギ:Cry j1/2
・ネコ:Fer d1
・犬:Can g1/2
・ヒノキ:Cha o1/2
・シラカンバ:Bet v1
・コナヒョウヒダニ:Der f1
・ヤケヒョウヒダニはDer p1
・ブタクサはAmb a1
・アスペルギルス:Asp f1
・カモガヤ:Dac g
・チャバネゴキブリ:Bla g2
・Api m1:ミツバチ

[アレルギー反応について]
・ I型は、IgEやIgG4が特異抗原を認識し、好塩基球やマスト細胞からヒスタミンやロイコトリエンが放出されることで生じる。喘息、アレルギー性鼻炎、アナフィラキシー、蕁麻疹など。(マスト細胞には高親和性IgE受容体FcεRIのみが発現)
・II型は、自己組織それ自体や、ペニシリンなどのハプテンに対してIgG, IgMが結合して、補体系が活性化して細胞が障害されて生じる。抗基底膜抗体によるGoodpasture症候群、赤血球膜上の膜輸送タンパクのバンド3あるいは,Rhポリペプチドに対する抗体による自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、重症筋無力症、橋本病、バセドウ病が代表的疾患.AIHAの多くで直接クームス試験が陽性.
・III型は、可溶性抗原とIgG, IgMとの結合により生じる免疫複合体が補体系を活性化して生じる地縁型とアレルギー反応。血清病、SLE、関節リウマチなどの膠原病、子球体腎炎など
・IV型は、感作性T細胞の抗原との結合、サイトカイン放出などにより組織障害で、24〜72時間の遅延型アレルギー反応。ツベルクリン反応、接触性皮膚炎やGVHDの一部、結核病相がこれにあたる。

[IgEについて]
・血中半減期は、0.5日〜3日程度。
・IL4, IL-13によって産生が促進される。
・マスト細胞と結合すると半減期は延長する(2〜3週程度)。
・定常領域はCε1〜4の4つのドメインを持つ。
・複数のアレルゲンエピトープを認識してマスト細胞内シグナル伝達を起こす。
・B細胞はIL-4やIL-13の刺激を受けて、クラススイッチを生じて、IgEを産生するようになる。(IL-5が好酸球の産生を促進)
・免疫グロブリンはIgG(全体の70%,1量体),IgM(全体の10%,5量体,血液中に存在),IgA(全体の10%,2量体,血清の他母乳や鼻汁などに可溶型として存在),IgD(全体の1%以下,B細胞表面に存在,機能不明),IgE(全体の0.001%以下).
・オマリズマブは、IgEの定常領域のCε3ドメインと結合し、血中で14日程度複合体を維持する。オマリズマブ使用中は総IgEの値は上昇。
・分子量は分子量19万であり、胎盤通過性はない。
・IgEはマスト細胞を介してヒスタミンの脱顆粒や、脂質メディエーター(ロイコトリエンなど)を産生する。
・IFN-α, IL-12によって産生が抑制される。
・高親和性IgE受容体のFcεRIは、マスト細胞や好塩基球に発現しているが、マクロファージは低親和性IgE受容体が発現している。

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