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#BPLS2 IIDX レギュラーステージ総評

BEMANI PRO LEAGUE SEASON2 IIDXのレギュラーステージ28試合が終了した。
本記事は、各チームの結果を振り返って、各チームのどこが良かったのか、逆にどこが良くなかったのか、というのを振り返っていきたい。
とはいえ、結果を見て言えることは結果論でしかない。後からなら何とでも言えるという事は忘れず、なるべく「今回の結果からどういうことが言えるか、その要因は何だったのか」という観点で論じていきたいと思う。

集計:最も「運が悪かった」チームはどこだったのか?

各チームの講評に入る前に、レギュラーステージでの簡単なデータを出してみよう。
試合ごとに3人が出場、そしてコストの制限がある以上、どうしても戦力の偏りは生じる。そうなると、他チームから強い戦力をぶつけられたチーム、逆にあまりぶつけられなかったチームも出てくる。
各チームの実力に大きな差がない中で、この偏りも順位を決める重要な要素だろう。それを簡単な集計から見ていきたい。

集計①相手の大将がドラ1だった試合の数

ドラ1選手でも最大4回しか大将に出られない。エース選手を多くぶつけられたチーム、逆に勝負せずに済んだチームはどこだったのか?
※SUPERNOVAはWELLOW選手をドラ1としてカウント

レジャーランド:3回
ROUND1:4回
APINA:4回
GAME PANIC:4回
SUPERNOVA:6回
GiGO:3回
Tradz:1回
SILKHAT:4回
平均:3.625回

実際のオーダーはジャンル抽選によるものも大きいので、この結果は「狙われた」というよりも、単純にTradzが幸運でSUPERNOVAが不運だった、という側面の方が多いかと思われる。この中で結果を残したSUPERNOVAの地力の高さがうかがえる。

集計②ストラテジーカードを使われた枚数

ストラテジーカードは各チーム4枚。どこにカードが偏っていたのか?

レジャーランド:0枚
ROUND1:2枚
APINA:1枚
GAME PANIC:4枚
SUPERNOVA:4枚
GiGO:7枚
Tradz:8枚
SILKHAT:6枚

順位とも合わせて見ると、上位チームよりも下位チームに偏っていることが分かる。レギュラーステージのルールを考えれば自然なことだろう。
とはいえレジャーランドは0枚、逆にTradzは8枚。ここまで偏るのは意外な結果だった。
GiGOはレジャーランドに、TradzはAPINAにそれぞれ3枚カードを使われたので、その分多くなっているというのもある。また、Tradzは集計①の通り大将ドラ1の試合が少なかったので、その分勝つためにカードを多く使われた側面はあるかもしれない。

また、カードを使われなかったという事は相殺が少ない→カードを有効に使えたという事でもある。カードを有効に使えたから上位に行けたのか、上位になったからこそカードを有効に使えたのか、その因果関係は決めきれないところがあるが、いずれにせよ上位チームは全体として各試合だけではなく、シーズン全体として上手く立ち回れたチームと言えそうだ。

各チーム講評

ここからは、各チームごとにシーズンでの戦略、その結果について見ていこう。

レジャーランド

成績:5勝0分2敗(勝点15) 55pt 1位

5位だった昨シーズンからメンバーを変えずに挑んだが、今シーズンはスタートダッシュの勢いそのままに破竹の4連勝を見せ、そのままレギュラーステージを1位で逃げ切った。ただ、チーム全体として他を圧倒する力があったのかというと、必ずしもそうではない。

いわゆるエース選手のいないレジャーランドは、レギュラーステージ全体にまんべんなくコストを配分する形で臨んだ。多くの試合に勝ちの可能性を残し、薄い勝利を積み重ねる作戦だ。
この作戦は大勝ちか大負けのどちらかになりやすいギャンブル的な選択と言えるが、エース選手がいないこと、2位以上はSFシード権を貰えることを踏まえると、レジャーランドとしては優勝の可能性を最も高める作戦であったと言えるだろう。
結果としては、G*選手のドラ1選手を斬る活躍や、1-PIN選手・DINASO選手の安定した試合ぶりが功を奏し、さらにストラテジーカードを1枚も使われない・レジャーランドの出したカードは1枚も相殺されないという幸運も重なって「大勝ち」を引くことができた。とはいえ1位という順位は、U76NER選手を含め、全選手が持ち味を存分に発揮することができたからこその結果であろう。

SF以降においても、この「穴のなさ」は大きな強みになるだろう。一方で、相手にエース選手を出されたときに短期決戦の場でしっかり対抗できるかが、上位進出の分かれ目となりそうだ。

余談だが、レジャーランドは(SDVXも含めて)イラストが描けるメンバーをアドバイザーに迎えており、BPLのプロモーションとして非常によい戦略だと思う。缶バッチの発売や「うらレジャ」の配信など、一見ありきたりなようでレジャーランドにしかできない施策を多く打ち出しており、実際多くのファンを楽しませていた。今後のプロモーション活動にも大いに期待である。

ROUND1

成績:4勝1分2敗(勝点13) 50pt 2位

U*TAKA選手の活躍ぶりは健在。今シーズンも三冠王を取るなど圧倒的な強さを見せつけた。
チームとしては、絶対的エースを活かした王道のメンバー配置でシーズンを戦った。その中で期待通りの成果をおさめたのは流石の風格と言えるだろう。

一方で、U*TAKA選手が大将ではない試合では0勝1分2敗と、去年以上にU*TAKA選手のワンマンチームとなりつつある。特に今期はKUREI選手が昨年ほど大きく活躍できなかった事もあり、その印象が特に強まる結果となった。1位と差を分けたのはまさにそのチーム全体としての力だろう。

SF以降は総力戦になる。U*TAKAにBPL優勝の"四冠目"をもたらすことができるか、それはKUREI選手、I6VV選手、MAKO-G選手の活躍にかかっている。

APINA VRAMeS

成績:3勝2分2敗(勝点11) 46pt 3位

コスト配分含め、レギュラーステージ全体の試合運びがもっとも上手だったのがこのチームだろう。序盤でNIKE選手・UCCHIE選手を多く配置していたためコスト不足が心配されていたが、GiGO戦、ROUND1戦で46選手を大将に置いたことでその心配も杞憂に終わった。この2戦でドラフト4巡目の46選手を大将に置いた判断は素晴らしく、コストを節約しつつ勝率を最大化できる的確な判断だったと言える(GiGO戦では実際にRoutingで劇的な勝利をおさめることができた)。
他にも1試合でストラテジーカードを3枚使ったり、U*TAKA選手への虚を突くABSOLUTE EVILの選曲など、全体を通して相手の裏をかく戦術が多く駆使され、前年度チャンピオンとしての試合巧者っぷりを見せつけた。

とはいえ3位というこの結果はもちろん作戦だけによるものではなく、各選手の力による所も大きい。前年度ドラフト1巡であるDOLCE.選手が抜けた穴は大きいと思われたが、UCCHIE選手、NIKE.選手はともにドラ1、ドラ2相当として遜色ない活躍を見せた。KENTAN選手はやや振るわなかったが、そこも46選手があの手この手でカバーすることで、各試合を通じて高いチーム力を保つことができ、安定した成績を納めることができた。

一方で、1戦自選を落とすだけで大きなディスアドバンテージになるポストシーズンでは、KENTAN選手の復活が鍵となりそうだ。2連覇を達成することができるか、注目したい。

GAME PANIC

成績:3勝0分4敗(勝点12) 43pt 4位

下馬評ではかなり高い評価を得ていたチームだったが、MIKAMO選手とPEACE選手が思った以上に活躍できなかった。中堅と大将に2人を置き、どちらかで2タテするという勝ちパターンを多く作った選手配分であったが、結果これが不発に終わるという試合が多くあった。リーグ全体の実力が上がっている中で、多少地力が上回っているくらいでは簡単には2タテを取れないということだろう。
そしてMIKAMO選手は2回2タテを喰らうなど、ドラ1としてはやや不本意な結果に終わってしまった。試合を見ていてもちょくちょくノーツをこぼしているのが目立ち、中々力を出し切れていなかった印象がある。

そういった苦しい状況下で、中堅#MA3#選手・大将54GAYA選手で挑んだ最終戦で勝利を収めたのは大きな成果と言える。チームを救う劇的な勝利で、QF以降にも勢いをつけられそうだ。

今シーズンはポストシーズンでも☆11以下の比率が大きく、GAMEPANICには大きな追い風である。今度こそMIKAMO選手の大活躍を見せて欲しいところだ。

SUPERNOVA Tohoku

成績:3勝0分4敗(勝点9) 39pt 5位

下馬評から考えると、今シーズンはやや不本意なレギュラーステージだったかもしれない。だが実際には運に恵まれない部分も多くあり、その中でしっかりとQF進出を決めたこの成績は立派な結果と言えそうだ。

最終的に残ったコストを見てみると、ドラフト1巡目で獲得したVELVET選手がコストを50残しており、代わって8S.選手が残り0となっている。8S.選手がLv11帯を得意としていること、VELVET選手が低難度やスクラッチなどの「飛び道具」を得意としている事から、今シーズンのルールでは妥当な戦略と言えるかもしれないが、実際にはもう少しVELVET選手の出番を期待していたのではないだろうか。ジャンル抽選の偏りもあるので致し方ないところではあるが、それでも50もコストが残ったのは結構想定外だったのではないかと推測する。
代わってフル出場となった8S.選手だが、全体で28pt中9ptしか取れていない。またWELLOW選手も同じくフル出場で13ptしか取れておらず、エースとしてはやや不満の残る出来だろう。ただ、この2人は「相手が悪かった」部分も多くあり、試合内容を見てみればこの結果は決して悪いものではなく、むしろ順当に近い。実際、7試合のうち6試合で大将にドラ1をぶつけられているという不運もある。ただ、リーグで優勝するには想定される以上の結果を出さなければならないのも事実であるから、そういう意味ではこの5位という結果は「なるべくしてなった」とも言える。

QF以降においても、VELVET選手の活躍できる場がどの程度あるかによって、結果が大きく左右されそうだ。ジャンル運によっては思わぬ躍進が見られるかもしれないので、大いに期待したい。

GiGO

成績:3勝0分4敗(勝点12) 37pt 6位

ギリギリ6位でQF進出を決めることができたGiGO。だが逆に言えば、少ないポイントで効率よく勝ちを積めたとも取れる。
実際問題、他を圧倒するチーム力があったとは言えない。その中でしっかり結果を残せた要因は何だったのだろうか?

勝った試合・負けた試合を見てみると、CORIVE選手不出場の2試合は2敗、出場した5試合で3勝(うち大将2回)と、結果から見れば勝つべき試合でしっかり勝っていたということが言える。他の3選手も、2タテこそ少なかったものの自選キープ率を高く保ち、多くの試合でチャンスを作ることができた。それをしっかり掴むことができたというのが、この結果に表れている。
筆者の事前予想では「CORIVE選手が自選キープし、他の選手が2タテする」という作戦が主となる予想だったのだが、シーズンを振り返ってみるとそれは全くの誤解だった。CORIVE選手の躍動は、間違いなくチームの大きな原動力になっていた。

QFに進出さえしてしまえば、3位~6位にはほぼ差はない。各選手がしっかり自選をキープし、僅かなチャンスをつかみ取ることができれば、大逆転の優勝も夢ではないはずだ。

TAITO STATION Tradz

成績:2勝2分3敗(勝点8) 43pt 7位

結果から見ると、2引分けが大きな痛みとなってしまった。これが1勝1敗なら5位だったという所、ポイントでは4位のGAMEPANICと同じ43ptを取れていたという所からも、試合展開に恵まれないことが多かったなという印象を受ける。

各試合を見ても、TATSU選手がVELVET選手相手に1本取ったのを活かしきれなかった、RIOO選手が2タテを取れずに引分けたなど、あと一歩という展開が多かった。全体で見ると正直どこが悪いと明確に言えるところがない。
強いて言うならば、RIOO選手とPPJT選手のドラ1ドラ2が期待するほどには活躍できなかったのが要因であろう。BPLのシーズン1年目の選手達が多い中で、本番で力を出し切れなかったという面もあるかもしれない。チーム力で劣っていたということは無いと思うので、それだけにこの敗退はチームとしてもファンとしても悔しい所だろう。

間違いなくシーズンを通して一番話題になったチームなので、この敗戦を胸に来シーズンも頑張って欲しいところ。

SILKHAT

成績:2勝1分4敗(勝点7) 35pt 8位

結果から言えば「中途半端な」戦略が裏目に出たな、という印象である。
指定Aの大将はすべてEXIT選手が担当しており、そこで勝ちを取れなかった上にEXIT選手のコストがカツカツになってしまった。そのため、SEIRYU選手が大将の指定Bで確実な勝ちをおさめることができなかったのが、勝ち点が伸び悩んだ大きな要因と言える。

「SEIRYU選手が大将2本取って他どこかで1本取る」の勝ちパターンを想定していたのかもしれないが、SEIRYU選手も強いとはいえ皿系という明確な弱点もあり、他チームのドラ1相手に確実に2本取れるほどの強さがあるわけではなかった。昨シーズンと異なり他チームからもしっかり対策されており、実際SEIRYU選手が2タテを取れたのは中堅での出場も含めた5回中2回にとどまり、チーム全体としてもその2勝しか取れなかった。このあたりは少し想定が甘かったのではないかと思える。
チーム事情として、ANSA選手やKIDO.選手に大将を任せるのが難しかったという面もあるかもしれない。だが全体のチーム力で他に勝っているとは言いづらい状況の中で、もう少し戦力をどこかの試合に集中させ、確実に勝ちを積み重ねる作戦を取ってもよかったのではないかと感じた。

終わってみれば2シーズン連続最下位と、なかなか苦しい結果が続いている。リーグの盛り上がりには間違いなく貢献しているとは思うが、やはりファンとしては勝つところを見たいという気持ちも強いだろう。来シーズンこそ、ミラクルな「試合」だけでなく、ミラクルな「勝利」に期待したい。

おわりに

ドラフト会議が4月だったことを思うと、長いようであっという間だったなと感じる。

本記事ではレギュラーステージの結果を振り返っていろいろ書いてきた。
プロ選手である以上、このシーズンの「結果」は各陣営でしっかり受け止めて欲しいと思う。ただ一方で、シーズンを通して全ての選手が十二分に努力し、全力で勝ちを目指してきた、その事に疑いはない。そして、その努力の「過程」こそが、ファンとしては真に称えるべきものであると思う。

改めて、8チームすべての選手たちに拍手を。そして、QFに進む6チームには、さらなる声援を送りたい。
引き続き、このシーズン2の行く末を見届けていきたいと思う。

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