#BPLS2 戦略分析と展開予想(第1~第4試合を終えて)
BEMANI PRO LEAGUE SEASON2 IIDXが開幕して一週間が経ち、すべてのチームが試合に出場した。詳細なルールも分かってきたところで、BPLS2におけるルールの要点、そこから見える各チームの戦略についても凡そ見えてきたところがある。
本記事では、今シーズンのチームの戦い方について分析し、その上で今後レギュラーステージがどのように推移していくかを予想していこうという記事である。
プロ選手側からすると当たり前の内容かと思われるが、一方で観客側としてはかなりルールを読み込まないと見えてこない部分でもある。本記事の内容を知っておく事で、今後の試合について、少し違った視点を得られるかもしれない。
レギュラーステージの「セオリー」
レギュラーステージは8チームが総当たり戦で全28試合を戦い、上位6チームがクオーターファイナル以降に進出する。
昨シーズンは上位のチームが進出する形だったが、今回は逆に4分の3は次のステージに進める。そのため、昨シーズンのような「積極的に上位を狙う」戦略というよりも、「下位にならない」戦略が求められることになる。
下位2チームにならないために、1チーム7試合の中でのノルマを考えてみよう。
もしも8チームが7勝~0勝でキレイに並んだ場合、0勝と1勝のチームが敗退する。そのため、どのチームも「2勝」はおおよそのボーダーラインとなってくる。また、理論上は4勝4チーム、3勝4チームという結果があり得るため、確実に上位進出するためには「4勝」が必要である。
そのため、どのチームも「最低2勝、なるべく4勝」というラインを目指して戦っていくことになる。
また、引分けについてであるが、1勝1敗では勝ち点3なのに対し2引き分けでは勝ち点2にしかならない。そのため、引き分けを狙う事は不利である。
以上2点から、今回のレギュラーステージでは「何試合かは捨ててもいいから、どこかに戦力を集中させて勝ち星を作っていく」という戦略を取っていくのがポイントである。
では、どこを捨てて、どこを拾っていくのか。ここで肝になってくるのが今シーズンの「指定A」と「指定B」形式である。
今シーズンでは、大将戦がLv11である指定A、大将戦がLv12である指定Bの2つの試合形式がある。開幕戦において「奇数試合が指定A、偶数試合が指定B」であると明言されたため、試合数をカウントすると
アピナ、ゲーパニ、Tradz、レジャランは指定Aが4試合、指定Bが3試合
GiGO、シルク、ノバ、ラウワンは指定Aが3試合、指定Bが4試合
となる。
上述のように今回は「捨てる試合」「拾う試合」を作っていくという作戦になるため、指定Aと指定Bのどちらを重点的に拾っていくか、というのが作戦を立てる上での大きなポイントである。
強い選手を抱えているチームは指定Bで有利を取りやすい。Lv12は特に地力の差が出やすいためである。そのため、エース選手のいるチームは指定Bの試合で積極的に勝ちを狙っていく作戦を取るのがよい。
飛び抜けて強い選手がいないチームはその逆を取り、指定Aを拾っていく作戦で戦うのがよいだろう。
さらに言えば、これを前提とすると、相手チームが「捨てる試合」というのもおおよそ見えてくる。そうなると、その相手が捨てる試合を狙って戦力を注入し、そこで勝っていくという戦略も取れる。
このようにルールを踏まえて見ていけば、各チームがどのようにオーダーを組んで戦っていくか、展開をある程度予想することができるのだ。
シーズンを通しての展開について
全体の大まかな流れについては上述した通りだが、一方でシーズンが進んでいくと、状況に応じたより細やかな戦術が発動されることになるだろう。以下にその例を挙げる。
下位2チームが脱落するため、負けが込んできたチームは他チームから集中砲火を浴びることになる。具体的には、捨てるか拾うか微妙な試合でも強い選手を送り込まれたり、積極的にストラテジーカードを使われたりすることになる。そのため、終盤に負けるよりも序盤に負ける方がリスクが高い。(実際に、GAME PANICはこれを見越して初戦を積極的に取るよう選手を配置していた)
逆に負けが込んだチームは、後がないような状況においては、当初の予定を無視した積極的なオーダーを作っていくことも考えられる。
1位と2位のチームはクオーターファイナルをスキップできるため、「負けチームを作る」だけでなく「勝ちチームを作らない」戦いも必要である。そのため、勝ちが先行したチームも狙われる可能性が高い。また、勝ち星がついてきた同士のチームの終盤には、上位を目指したよりバチバチの戦いになることが期待される。
また、我々観客側がまだ見えていない要素として、「課題曲ジャンル」がある。観客側は試合直前までジャンルがわからないが、チーム側には全ての試合のジャンルが事前に決定され通知されている(はず)ため、ジャンルを踏まえたオーダー配分というのも要素としては大きい。
一見意外なオーダーでも、実は今後の試合の選曲ジャンルの兼ね合いでそうなっていた、というケースもあるだろう。我々観客側には選曲ジャンルを知る術はないため、現時点では大まかな予想しかできない、というのも実情である。
各チームの戦略予想
ここからは、各チームごとにどのような戦略を取っていくことになるか、大まかに予想していく。
チームごとに書く内容は以下の通り。
チーム傾向:戦力から、指定Aを狙うか指定Bを狙うか。
対戦カード:相手チームとその試合形式。捨てるであろう試合を取り消し線、拾っていくであろう試合を太字で表記する。
総評:上記を踏まえたチームの作戦と、今後の展開予想
作戦傾向がはっきりしているチームから順に書いていく。
GiGO
チーム傾向:指定Aで勝ちたい
対戦カード:アピナA、ゲーパニB、シルクB、ノバA、TradzB、ラウワンA、レジャランB
GiGOは、指定Aの試合を積極的に取っていくことが予想される唯一のチーム(筆者の予想では)である。チーム全体として高難度よりも中難度の精度に定評のある選手が多いため、3試合ある指定Aを確実に取っていき、セミファイナル進出を目指していくことになるだろう。
他に競合する作戦のチームがいない事は大きなメリットであり、さらに初戦で強敵ROUND1に(予定通りとはいえ)勝ちをおさめたことで、当初の下馬評を覆す成績を納めそうだ。
SILKHAT
チーム傾向:指定Bで勝ちたい
対戦カード:アピナB、GiGOB、ゲーパニB、ノバB、TradzA、ラウワンA、レジャランA
魔術師SEIRYU選手を抱えるSILKHATは、4試合ある指定BにSEIRYU選手をぶつけ、残りの指定Aはバッサリ捨てることで、メリハリのきいたオーダーになりそうだ。
懸念点はゲーパニ・ノバの強い2チームと指定Bでぶつかっている所。ここをきっちり拾えるか、あるいは落としてしまうかでチームの命運が分かれてくると思われる。昨年は悔しい結果に終わったが、今年は記憶だけでなく記録に残るイリュージョンを見せられるか。
ROUND1
チーム傾向:指定Bで勝ちたい
対戦カード:アピナB、GiGOA、ゲーパニA、シルクA、ノバB、TradzB、レジャランB
昨年準優勝チームがまさかの初戦敗退!?と驚いた方も多かったと思われるが、これは作戦通り。KAC王者U*TAKAを擁するROUND1は指定Bで無類の強さを発揮するだろう。またSILKHATとは指定Aで当たっているため、その試合も拾っていきたいところ(第5試合オーダーを見てからの後出しじゃんけんだが……)。
4試合をほぼ確実に引分け以上で取れる算段がある事で、残りの試合も作戦を立てやすくなるはずだ。ただ逆に、万が一U*TAKAが敗れるようなことがあれば一気に計算が崩れてしまうので、その分高いプレッシャーもかかっているはず。それを跳ね除け貫録の勝利を見せて欲しいところ。
APINA VRAMeS
チーム傾向:中間(ややB寄り?)
対戦カード:GiGOA 、ゲーパニA 、シルクB 、ノバA 、TradzA 、ラウワンB 、レジャランB
対戦相手が積極的に取っていくであろう試合が多い、ややクジ運に恵まれない状況。それらの試合ではぶつかり合いを避けるために強いオーダーは避ける、という風に、消極的に作戦が決まってしまっている。
唯一残った指定Bのレジャーランド戦は確実に取りたいところだったが、それを逆手に取ったレジャーランド側の一発逆転狙いのオーダーにより、出鼻をくじかれる痛い展開となっている。今後他チームから狙われる危険も高まり、早くも厳しい状況に追い込まれているが、ここから大逆転劇を見せることはできるか。
TAITO STATION Tradz
チーム傾向:中間(ややB寄り)
対戦カード:アピナA、GiGOB、ゲーパニA、シルクA、ノバB、ラウワンB、レジャランA
エースのRIOO選手は指定AでもBでも戦えるため、どのカードにRIOO選手を置くべきか迷ってしまう状況。逆にNORI選手が得意不得意がはっきりしている分、ジャンルに応じてNORI選手の配置の方が先に決まり、それに応じてどこにコストを割くかのオーダーが決まってきそうだ。
新チームで不安も多い中、確実に取るべき初戦SILKHAT戦を苦しみながらも取れたのは大きな収穫と言える。このままの勢いで突っ走っていきたいところ。
SUPERNOVA Tohoku
チーム傾向:中間(ややA寄り?)
対戦カード:アピナA、GiGOA、ゲーパニB、シルクB、TradzB、ラウワンB、レジャランA
アピナ同様、取りたい試合よりも他チームが取ってきそうな試合が多い状況。ただ、そことのぶつかり合いを避ければ、戦力的にはAでもBでも取っていける強い地力を持ったチームなので、セミファイナルにはほぼ確実に勝ち進んでくるであろう。また、単に試合を捨てるだけでなく、対戦相手に応じて取れるところはポイントを拾っていったり、あわよくば勝ちを狙っていくような、器用な戦略も期待できそうだ。
GAME PANIC
チーム傾向:中間(ややA寄り)
対戦カード:アピナA、GiGOB、シルクB、ノバB、TradzA、ラウワンA、レジャランA
取る試合・捨てる試合もあるが、全体的にやや自由度がある状況。そして、中難易度にめっぽう強いPEACE選手を抱えるゲーパニは、指定Aにやや重きを置いた戦略となりそうだ。
一方で、幸先良いスタートを決めるため、開幕のSUPERNOVA戦(指定B)で2枚カードを使うなど、余裕があるからこその戦略も垣間見える。全体的に安定した戦いを繰り広げそうだ。
レジャーランド
チーム傾向:中間
対戦カード:アピナB、GiGOB、ゲーパニA、シルクA、ノバA、TradzA、ラウワンB
戦力的にも対戦カード的にも、どの相手にも勝ちの可能性を見出せるチーム。さらに初戦のアピナ戦で勝利をおさめ、勝ち点的にも一歩リード。今後の展開に応じて柔軟に戦略を変えていけそうな、余裕を持った状況と言える。
一方でリードしたチームも集中砲火を食らう危険があるため、相手のオーダーとの嚙み合わせによっては思わぬ負けを喫してしまう恐れもある。気を引き締め、確実に勝ちを拾っていきたいところ。
おわりに
今回は、BPLS2 IIDXの展開について、筆者なりの予想を記してみた。
ただ、試合前からかなり趨勢が読める試合もある一方で、ジャンルやオーダー次第でどうなるか分からないという試合も多く残っている。さらに言えば、第3試合、第4試合のように、どちらかが取りにいっている試合でも、最後まで分からない展開や、思わぬ逆転劇が見られることもある。そういった予想を裏切るドラマこそが、BPLの大きな醍醐味の一つでもある。
予想できるからつまらない、ではなく、予想できるからこそ面白い。
今後のシーズンの展開も、非常に楽しみである。
特に何もできませんがめっちゃ喜びます