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病気嫌いの22歳大学生、初めて胃カメラを受ける(画像あり)

※胃カメラの画像があります。苦手な方はバックボタンを

 恥ずかしながら、私は22歳にもなって病院嫌いである。
 持病であるアトピー性皮膚炎の治療のために皮膚科に通院していた頃は病院への感情をそれほど抱いていなかったのだが、皮膚炎が完治し、眼科以外の病院に通うことが減るにつれて病院が苦手になっていった。

 病院嫌いの決定打となったのはおそらく高校生のとき。当時の私は朝になると腹痛と下痢でトイレから出られないことがよくあった。朝提出締め切りの課題を時間ギリギリに出したこともあるし、クラスの朝礼が始まってもトイレから出られないこともあった。

 生活に支障がでるため地元の内科に相談したところ、「でしたら胃カメラなど検査をしてもらうことになりますが」と言われた。
 怖かったため、検査は断った。
 今思えば病院に何しに行ったんだろうと思う……。


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 さて時は過ぎ今年の3月。大学4年生になるちょっと前。

 胃痛がよくなったり悪くなったりを繰り返していた。少し胃が気持ち悪い程度だったため、「2、3週間待ってみて治らなかったら病院を検討しよう」と考えていたのだが、4月になると気持ち悪さが消えたため、症状のことは忘れていた。

 その後、5月になると再発し6月に悪化。以前食べていた同等の量を食べると気持ち悪さから嘔吐してしまうまでに。それよりか少し食べただけでも胃痛がする。食べなくても胃痛が来る。調子が悪くないのは寝ている間と起きて1分、何も考えなくていいときぐらい。作業をしながら痛みでうずくまったり、トイレから出られなくなったりした。

 病院に行かねば、行かねばと思いつつ、研究室の発表やら大学院の試験やら色々あり、タイミングを計っているうちに7月になってしまっていた。
 ここが鬼滅の刃の世界線なら鱗滝さんに「判断が遅い」と頬を叩かれるどころでは済まされない遅さにまでなってしまっていた。

 月曜日。バイトの履歴書の上書きをなんとか終わらせ、大学の保健管理センターで教えていただいた最寄りの病院へ。

 
 人が多い~~~~~!

 月曜日なのに病院ってこんなに人がいるんだ……と複雑な感情を抑え、玄関で靴を脱ぎスリッパに履き替える(なお月曜日に病院へ来る人が多いことを後にフォロワーさんから教えていただいた)。

 受付の看護師さんには「何かの検査を受けたいとかありますか?」と訊かれたものの、「そういうのはないです」と答える。検査を受けたい病院嫌いの人間なんて世界中のどこを探してもいないんだ。

 待合室で30分強待った後、看護師さんに呼び出され血圧を測ったり症状を訊かれたりした。隣にはワクチンを打たれているおばあちゃんがいたため時代を思いつつ、看護師さんに症状を簡潔に伝えた。

 待合室に戻った後さらに1時間ほど待ち、次は診察室へ。
 症状について訊かれ、触診を受けた後ほどなく「3、4か月も前からですもんね……これは検査ですねー。胃カメラとか受けてもらいます。」と言われる。やはりそうですよねー、と思いつつ動揺が隠せなかった。

 尿検査のコップを看護師さんから渡され、診察室から少し離れたトイレで用を足す。病院で尿検査のコップなんて持ったのは高校か中学校の頃に血便が出たときが最後なのでとても緊張した。あと診察の前にトイレに行かなくてよかったと思った。

 病院独特のトイレの中にある小さな棚に尿の入ったコップを置き、手を洗った後、待合室とは違う部屋で待機することになった。部屋には小さなテレビが置いてあって、ジャパネットたかたの広告が流れていた。山形ローカルの番組も流れていた。平日を感じた。

 30分ほど待っただろうか、自分の名前が呼ばれたので移動した。
 エコー検査を受けるらしかった。
 ベッドに仰向けになり、シャツを上げてズボンも腰より下ぐらいまでに下ろされ、温かいジェルを腹部に塗られた。
 エコー検査を最後に受けたのいつだっけな、そういやエコー検査って特別な免許とかっているのかなと天井を見上げながらぼんやり考えていると検査の関係で電気を消された。

 ほどなくして、看護師さんに「それでは始めますね」と言われた。
 静かな部屋に電子音と看護師さんの声が響いた。
 仰向けの時点で痛みが強まった上、さらにエコーの機器にお腹を押されるせいでときどき鈍痛が走ったが、どうしようもなかったので我慢した。

 10分ぐらいで検査が終わり、暖かいタオルでお腹を拭かれ、看護師さんに「もし拭き残りがあったらこれで拭いてください」とティッシュを渡されたので腰の辺りを拭いたあと、先ほどの小さいテレビのある部屋に戻った。エコー検査に行く前は私しかいなかったのだが、この時は3人ほど待っている人がおり、部屋に入ってすぐ不用意に目を合わせてしまったためドキッとした。

 20分ほど待っただろうか、先ほどとは別の場所から名前を呼ばれたので、廊下をてくてくと奥に移動した。胃カメラ検査をする、と伝えられた。突き当りまで移動するとカーテンを閉められ、壁際の椅子に座るように促された。椅子の隣には棚があり、その上には銀色のトレーに載せられたコップと3本の注射器があった。

 思わず心の中の自分が警告した。唐突に頭にSANチェックが流れた。
 「注射器を見たことによるSANチェックです!ダイスロールをどうぞ!」
 1d100のダイス。
 「ダイスロール失敗ですね!それでは1d6をどうぞ!」
 「4ですね!おめでとうございます!それではSAN45から4減らして41ですね!」

SAN
 探索者の正気度(精神の強さ的なもの)を表す。少ないほど心が弱い。0になると完全に精神がぶっ壊れる。
 SANチェックは正気度を減らすような現象に遭遇した際に正気を保っていられるかをダイス(サイコロ)で試す行為。SANチェックで失敗するとSANを失う。短時間で5以上を失うと一時的に発狂する。

 危ないところだった。発狂するところだった。
 看護師さんに上を向くよう促され、既に半分泣きそうになりながら覚悟を決める。

 まずはコップを渡され、飲む。
 胃の中の泡を消す薬らしい。味はよくわからなかった。

 注射1本目。
 鼻に粘度の低いサラサラとした液体を流される。鼻から喉へ液体が流れていく感覚。液体はすぐに流れていったためこっちも味は分からなかった。

 2本目。
 筋肉注射。胃の動きを緩める薬らしい。コロナワクチンを打つ前に筋肉注射を打たれるとは思わず、しかも1本目の注射による鼻の痛みでどうしようもできなかったためなすがままにされる。打っている途中で筋肉注射独特の痛みを感じ、顔をしかめる。もう泣きたかったというより泣いていたと思う。看護師さんに「あと1本だからがんばってね」的なことを言われた気がする。

 3本目。
 「喉や鼻を保護する薬です、入ったらすすってくださいねー、喉まで行ったら教えてください」といわれ、また鼻へ液体を流される。液体というより粘度の高いジェルだった。これが一番痛かった。粘度が高すぎてすすれず、最初はずっと上を向いてがんばるしかなかった。これ喉まで行くのかよ!?とツッコみをしたかったが鼻の奥にジェルが流れれば流れるほど痛みが増したためそれどころではなかった。1、2本目で浮かんでいた涙がこぼれた。看護師さんに貰ったティッシュで涙を拭いた。

 なおこのジェル、水あめと合成甘味料を足して2で割ったようなものすご~~~~~~い甘さだった。なので3本目の注射は「ものすごく合成甘味料感のある水あめを鼻に注ぎ込まれた状態」と書けば伝わるかもしれない。伝わってほしい。

 3分ぐらい戦ってようやく喉まで来た感覚があったため、遂に胃カメラを飲むことに。ベッドで横向きになり、3人の看護師さんとお医者さんに囲まれる。看護師さんたちが雑談しているのを見て何となく安心したうえ、痛くて暴れてしまったらどうしよう……と思っていたので「暴れたりしたら3人がかりでがんばって押さえとくからねー!」と明るく言われてめちゃめちゃ心強かったのを覚えている。

 呼吸を整える。鼻から胃カメラを入れられる。動くと鼻が傷つくから返事するときとかは口で言ってねーと言われ、はーいと返事をした(なお胃カメラの最後のほうでそのことをすっかり忘れ頷いてしまい、しっかり鼻血を出していた)。
 するするとカメラは入っていった。胃カメラで映される画面とは反対の向きに寝ていたため、どんな感じなのかはわかっていなかったが、カメラでパチパチと撮影していたのと、どのくらいの長さが入っていったのかはわかった。緊張と突然暴れないかという恐怖で呼吸が浅くなっていたのだろう、ゆっくり呼吸してね、と何度かいわれた覚えはある。

 一通り撮影が終わった後、カメラの中に別のコードが通されてゆき、胃の組織を採取された。採取された時に特定の場所に痛みが走ったため、胃って神経があるんだなあとぼんやり思った。

 結局暴れることはなく胃カメラは終わった。

Q. 胃カメラ中は痛くなかった?
A. 先端が鼻の奥か喉を通るときがちょっと痛い。通ってしまえばほぼ違和感だけ。むしろ注射のほうが痛い。


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: スクロールすぐ下に胃カメラ画像があります


結果

 涙と鼻血を押さえつつ結果を聞いた。

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 写真をもらったものの、正直見ても医学部所属でもない人間には全くわからんかった。
 どうやら右の写真は胃で出血が見られたこと、左の写真は左上にポリープが見られたので撮影したらしい。
  もっとも、胃で小さなポリープが見られるのは普通にあり問題がないらしいとのことだった。

 病名としては軽度の胃炎と逆流性食道炎に加え、機能性ディスペプシアの3段構え。重い病気でなくてよかったなと思いつつ、ストレスが大きく関わっていることを痛感した。

機能性ディスペプシア(FD)
症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患
日本消化器病学会ガイドラインより引用(引用先はこちら

 検査費用はだいたい1万円。これに処方箋が2,000円程かかった。
 学生にはかなり痛い値段だなと思いつつ、症状が分からないままでいるよりは余程マシだと思い込むことにし、その日はそのまま大学へ研究に行った。


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まとめ
*鼻からの胃カメラはそんなに痛くない。
*胃炎と食道炎、機能性ディスペプシアの3段構えなんてものもある。
*検査費用は大体1万円弱、痛い値段だけど病名がわからないよりはよっぽど安心だと思われ。
*いつもと何か違う、おかしいと思ったら早く病院へ。3か月も遅らせる必要は全くない


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その後

 ピロリ菌は陰性で処置はなし。

 処方箋は2種類では治らず4種類まで増えた後、症状が軽くなったため減薬。
 1週間ほど症状が全くでない期間があったため薬を止めたところ再発。薬がなくなったら病院にまた行く予定。症状とは長い付き合いになりそうなことをひしひしと実感している。

 寝る前に飲む薬を毎回忘れてしまうことに加え、生活習慣がよろしくないので普通に数食を抜いてしまう自分をどうにかしたい。そして早くこの痛みからさよならしたい。


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おまけ

 胃カメラレポを書こうと思ったきっかけの動画。
 私の最推しのVtuberさんの動画でもある。

  ちなみに生検がなかったため4,000円くらいで受けられたらしい。
  それでも結構値段かかるな。

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