日本近現代史(未来)~今からもめないために
近現代史をみてくると、19世紀の半ばから、欧米を中心とした、「武力による植民地時代(強者が弱者から搾取)」が50年続き、20世紀になるとそれが、「武力による帝国主義(強者同士の戦い)」となり50年続き、大戦後の20世紀半ばから、「武力を背景にした経済優先資本主義と共産主義の対立時代(米ソ冷戦時代)」がまた50年続き、21世紀は、それが、「(アメリカを中心とする)経済優先資本主義(パックス・アメリカーナ)」に移行し始めているという感じでしょうか。21世紀の前半50年は、この世界の新秩序形成に、どう「中国」が影響を及ぼすのかが、今からの世界史のポイントになるような気がします。
中国は、経済的には、2011年にGDPで日本を抜いて世界第二位になり、2025年頃には、世界一位になるそうです。軍事費も世界二位です。今の時点ではアメリカがダントツ一位なので、軍事費でも世界一位というように、簡単にはならないかもしれませんが、中国の数字の信ぴょう性や人件費は安いので、設備のみだと差は縮小すると思いますし、伸びが異常に高いとも思います。なんとなく、昔の「米ソの冷戦」の構図に似ている気がします。
中国は“海洋強国”という戦略を打ち出し、軍備の増強を図っています。まず中国は、エネルギー資源を輸入する際には、中東からインドの南を通って、マラッカ海峡、南シナ海を抜けて、海上輸送をするのが一般のルートですけれども、このルートをしっかり守りたいというのが1つ。もうひとつは中国がアメリカから万が一、核攻撃を受けた場合、中国は、最終的にアメリカに対して、核の報復攻撃を保障できるのは、原子力潜水艦による核ミサイルの発射です。この潜水艦を運輸できるのが南シナ海しかない、というふうに認識をしているからです。よって、中国は、南シナ海で抱えるASEAN加盟4カ国(ベトナム以外はブルネイ、マレーシア、フィリピン)との領有権紛争をしているわけです。そしてそこには、海底油田もあります。フィリピンのスカーボロー礁領土に関しては、中国がバナナ輸入や中国人観光客出国に制限をかけ、実質的に経済的制裁をしています。
尖閣諸島も含め、南シナ海域で、軍事緊張が高まっているわけですが、アジア諸国は、米国の防衛に頼りたいところです。また、海軍以外にも、サイバー、宇宙軍事も中国は拡大しています。実際2013年12月中旬、中国初の無人月探査機「嫦娥3号」が月面軟着陸に成功しましたし、中国軍は建国100周年に当たる2049年までに月に軍事基地を建設する計画を立てていると報じました。また、最近、勝手に「防空識別圏」なるものも設定し、近隣諸国に緊張を高めています。しかし、米国は、膨大な軍事費支出による財政赤字に悩まされ、オバマ大統領は、国内投資のほうへ注力せざる得ない状況で、海外の防衛支援には消極的にならざるえない状況にあります。よって、日本では、憲法9条を改定して、「集団的自衛権」を行使できるようにしようという動きがあります。しかし、「憲法改正には、衆参両院の三分の二以上の賛成が必要」という96条があります。これだと、ほぼ改正は不可能なので、これれを二分の一にしようと現内閣は言っています。憲法改正は、衆参で可決しても国民投票があるので、国民に審議されます。しかし、この国民投票があるというのを国民があまり知らされていないという事実もあります。
中国にとって米国とのパワーバランスをうまくとりたいというのが、中国の国益でしょう。そのため、少なくともアジアでの親米諸国との関係、特に日米関係は、弱めたいと思うのではないでしょうか。米国での反日プロパガンダは、国内のナショナリズム高揚だけでなく、アメリカに対する離日施策としても行っているのかなと思います。親中路線の韓国の反日活動もうまく使いたいと思っているのはないかなと思います。最近、米国に「慰安婦像」の設置が、韓国系米国人有権者評議会等によって行われていますが、在米中国人の反日団体の世界抗日戦争史実維護連合会が後押ししているらしいです。これらは、2010年代の新しい動きです。これはロビー活動ですね。中韓の反日ロビー活動は増加しています。今は、驚くべきことに、世界各国の中国大使が日本批判論を現地の新聞に投稿したりしています。日本大使も最近は反論し始めたようですが、まだまだ、日本が反日に対して「弱腰」というのもあるかなと思います、もしそうであるなら、それはこういうロビー活動を助長することになると思いますので、きちんと意見を述べるという事は必要だと思います。
中国では、軍部が力をつけてきて、必ずしも政府のコントロール下にはないようです。最近の中国の暴走のような軍事行動は、軍部は勝手にやり、後で政府が追認している形のものもあるようです。よって、日本が危機感を感じ、防衛強化に入るのは、自ら仕掛けたという矛盾をはらむものですが、中国政府にとっては、いいことではないので、第二次大戦持ち出して、反日展開し、防衛力強化を止めさせようという意図だそうです。
20世紀の争いは、資源の獲得競争のようなものでした。
資源国アフリカと中国の関係は、1950年代の台湾問題に端を発します。当時、できたばかりの中華人民共和国と台湾との間で、どちらが国連に認められる正当な国家なのかが、争われていたので、中国は積極的にアフリカと関係を強化しました。ました。今は、中国にとって、成長しつつあるアフリカはレアメタルなどの資源の獲得先として、また、製品の販売先として、さらには国際社会の場で支持してくれる存在として重要となっており、アフリカには、100万人以上の中国人が住んでいます。南アフリカにもチャイナ・タウンのようなものがありました。しかし、中には、労働者も中国から連れてきて、アフリカに金を落とさない「新・植民地主義者」と言う人もいます。
シュールガス革命も新たな動向です。中国や北米には、大量のシュールガスがあり、既に開発が始まっています。これにより、アメリカの石油の中東依存度は低下し、政治的に今ほど中東に関与する重要さが低下します。そうなると、「米国による政治関与→米国でのテロ多発」のような事態が減るのではないかと思います。また、これは、米国と中国の国力を益々増大させるようになるということでもあります。
もう一つの近未来のポイントは「北朝鮮」だと思います。北朝鮮は2,300万人の人口です。今は、三代目の金正恩によって、統治されていますが、他の独裁国家のように、いつかは、民主政権誕生になるのだと思います。韓国は、太陽政策をとって、統一の時に国民が敵意をもたないようにしているそうです。今の時点では、北朝鮮で革命が起こって、凄い量の難民が韓国や中国にこられても困りますので、近隣諸国としては、そのまま核兵器を開発したりしないで、徐々に経済発展して欲しいと思っていると思います。しかし、遅かれ早かれ、軍部によるクーデターはあるでしょう。そしてその後が問題です。「アラブの春」でも独裁政権打倒の後は、うまくいっていません。北朝鮮も、少し時間がかかるでしょう。その時の軍事政権がどのくらい民主的に国を統治できるか、韓国とどのくらい協調できるかですね。これが担保されれば、韓国は、隣に、二千万人の安価な労働資源を手に入れられる訳ですから、中国やその他の国に工場を作らなくても、北朝鮮に作れるわけです。他の国、もちろん日本にとっても、有望な投資国家になります。少なからず、資源としては石炭や鉄鉱石、タングステン他の希少金属をはじめとした鉱物資源が比較的豊富にあります。これがうまくいけば、新政権後、10-15年くらいで、朝鮮統一国家になる可能性も十分あります。韓国(人口5千万人)も少子高齢化なので、国益にかないます。ただ、朝鮮民族としてのナショナリズム高揚のために「反日」が利用される可能性は大いにあります(困)。
韓国の反日と中国とのそれとは、同じではないようです。日本に住んだ経験のある韓国の人が書いた「韓国人が書いた 韓国が「反日国家」である本当の理由」と言う本がありますが、それによると、戦時中の日本が「鬼畜米英」と言って軍国少年を教育したように、今の韓国の人は、日本=悪というふうに教育されてしまっているとのことです。そして、メディアや反日マーケティングをする企業などもあり、韓国にいると自然とそういう認識になるそうです。皆、日本にも行ったことがない人も大勢いるわけですから。日本人の事を我々は視野が狭い「島国根性」と言いますが、韓国も北朝鮮とは戦争状態なのである意味「島国」なわけで、その島国しか通用しない考え方があるわけです。そして、韓国の政治家も政権が安定しなくなると「反日」を利用している側面もあるようです。中国の「反日」は、政治的な戦略が感じられますが、韓国のそれは、それこそ感情の問題のように感じます。
日本としては、やはり、日本に来てもらって、日本を理解してもらう努力をしないといけないと思います。今、政府は、外国人観光客を倍増の2000万人にしようとしています。フランスの8000万人から比べたらそれでも大したことはないですが。留学生も3倍の30万人にしようとしています。2020年の東京オリンピックを目安にしていますが、この方向がいいと思いますね。観光客も留学生も大部分は中国、韓国の人だからです。そして、日本国民が現代史をちゃんと勉強して、きちんと議論ができるようにしておくことも重要です。今、グローバル人材とかいう言葉が流行っています。これは、海外にもっと出ていかなくてはと言う論調で語られることが多いですが、海外の人に日本をもっと理解するためにグローバル人材になるということも大いにあると思っています。日本人は海外を知ろうとはしていますが、日本を海外の人に知ってもらおうという努力は足りないのかもしれません。これもある意味「島国根性」なのでしょうか。
人類の歴史には、いつも「力=武力、人種差別意識=国益」が根底にありました。今、世界が国境なきグローバル時代などと言われているのに、一番、賛同しているのは、昔から国を持たなかったイスラエル以外に住んでいる「ユダヤ人」だそうですが、世界は本当に国境なきグローバル時代を迎えるのでしょうか。
さて、20世紀型の資本主義の発展段階をみると、いずれ賃金が低い国へと産業が移っていきます。これはこれで、貧しい国が豊かになっていくのでいい傾向でありますが、世界全体の経済が増大しないと発展はなく、未来は、パイの取り合いになり、第二次世界大戦を引き起こしたブロック経済=保護貿易になって行きます。TPPのようなFTAも、事情によって、破棄できないようにしなければなりませんね。
よって、新しい形の社会を作っていかないといけないと思います。ひとつの参考になるのが、北欧社会です。人口や資源にもそんなに恵まれてなくても、ひとりあたりのGDPは高く、世界有数の企業も生み出しています。そのために、高福祉、女性の活用などは先端をいっていると思いますし、20世紀型の経済発展のようなギラギラさはありません。
日本も、90年以降、十分に内省かする時間があったので、今後は、また高度成長期のような経済発展を模索するのではなく、北欧型のような社会つくりをしていくべきかなと思います。少子高齢化で人口も減るわけですから、軍事・経済大国を目指すことは不可能ですし、資源がない小国でも生きていける世界の模範となる国つくりが必要でしょう。そのためには、インフラ・医療・環境・高齢者ビジネス(介護ロボット等)を中心とし、女性や高齢者などの人的資源を北欧のように、うまく活用していくことなのだろうと思います。「アニメ」というのも一つのキーポイントになりそうです。これは、マズローのピラミッドの頂点を目指すわけですから、国民のコンセンサスはとりやすいとも思いますし、世界が日本に期待する事なのだろうと思います。また、中韓とビジネスなどで競合しないような、Blue Oceanへと舵取りすることが必要です。
【2014年1月26日記】
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