生きるとは何か~マズローの欲求段階説
「人は何のために生きるのか」という問いに答えようとしたのが、アメリカの心理学者のアブラハム・マズローです。
「人は、自らの欲求を追求しながら生きている。」ということで、マズローの「欲求段階説」の欲求というのがあります。つまり、欲求があり、それが実現されると、脳内モルヒネといわれるβエンドルフィンが出て、人は快感を覚えます。よって、その欲求を実現しようとするのです。
しかし、それは、ある程度まで満たされると、抑制物質が脳内に出て、「もうこれ以上はいい」と命令を出します。たとえば、食欲が満たされるともうそれ以上食べたくはならないということです。そして、今度は、その欲求が満たされると次の欲求を実現したくなるように人はなるのだそうです。
そこで、彼の考えた「五つの段階」とは、
1.生理的欲求
食欲とか生きていくために最低限必要な生理的なものです。
2.安全の欲求
これは、そのまま、身の危険がない状態になりたいというもので、財政的なものも含みます。
3.所属と愛の欲求
「一人では生きられない」ということですね。
4.承認(尊重)の欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ,尊敬されることを求める認知欲求のこと。社会的地位なども含みます。
5.自己実現の欲求
これが、一番大切なのですが、自分の能力,可能性を発揮し,創造的活動や自己の成長を図り、他人のために尽くしたいと思う欲求です。これは、なれる可能性のある最高の存在になりたい願望をもつということでもあるそうです。つまり、他人と自分との間に境がなく、心の命ずるままに行動して、気がついてみたら、世のため人のためになっているといっったことです。
そして、すごくおもしろいのは、こういうレベルの高い快感(至高体験というのだそうですが)は、高級脳が刺激されるので、その抑制物質はでないということです。だから、マザーテレサなどは、あんな過酷な状況でも、貧しい子供たちに愛を与え続けることができたのでしょう。
人が、欲求を実現するために行動(生きる)するのであれば、第五段階までいけば、それはすばらしいことではないでしょうか。
運命があるから、何をしても死ぬだけだと思うかもしれませんが、高度な至高体験を甘受できたら、そのほうが、ずっとすばらしいと思うし、生きる意味があるような気がします。
==================================参考文献
中野明著『マズロー心理学入門 人間性心理学の源流を求めて』FLoW ePublication、 2016年
1,052
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