社長やってます

びっくりしたでしょ?まさか自分が社長やっているだなんて。大丈夫。今の私もびっくりしているから。

あなたは小学生の時から、堅実というか、公務員もしくは会社勤め(しかも大企業)を目指していたものね。確かに、家はあまり裕福ではないし、3人兄弟の一番上というのもあるから、そうなってしまうのも無理はないよね。

あなたは函館高専に進学した後、原子力施設に就職して13年、会社員として働いてきたよ。けど、今から3年前、2017年に退職して、個人事業主として仕事を始めたの。ん?それを会社にしたのかって?違うの。その個人事業ともまったく別な会社の代表になったんだよ。どうしてこうなったのかって言うのは、長くなりそうだから、そのうちのんびり書いていくね。

函館高専に進学すると決まった時、親戚からは「女が手に職を付けてどうするんだ」「女は高給取りの夫を見つけて専業主婦になるのが一番」と言われていたよね。確かにその時はそうだったかもしれない。けれど、今はそんなこと言っていられない時代になっているよ。あの時、あなたが函館高専に進学して本当に良かった。函館高専では、男がとか女がとかあまり言われることもなかったし、自由にのびのび学生生活を楽しむことができるよ。ただ、もっと勉強は頑張った方が良かったかもね。5年生の最後の試験、クラスでケツから2番目だから。実験と卒業研究と技術者倫理しか、良い点とってないからね。

あなたは函館高専に進学したとき、「プログラマーになる!」って言っていたけど、就職した会社は原子力施設を運営している日本原燃株式会社。プログラマーのプもないわよ。1年生の時に湯の川のダイエー(今はなんとイオンらしい!)の前を友達と通り掛かった時、署名活動をしている団体と遭遇したの。泊原発3号機の建設反対に関する署名活動。電気工学科だからというのもあったんだけど、「原子力=悪いもの」という感覚がなかったから、署名をお願いされたけども断った。そのあたりから、原子力に対して勉強するようになったんだと思う。4年生の企業実習は大間原発を運営している会社に行きたくて、くそ熱い応募書類を作ったんだけど、残念ながら箸にも棒にも掛からぬ結果。その時に、日本原燃の企業実習⇒就職を決めた先輩が「原子力やりたいなら原燃にすれば?」って言われて、日本原燃の企業実習に参加したんだよ。ちなみにこの話をその先輩にしたら「そんなこと言った記憶がない」って。しかもこれと同じこと、あなたも後輩にするから。本当に適当すぎるんだから・・・

日本原燃での13年間は、本当に色んなことがあった。今は辞めた身ではあるけれど、一取引先として、年に2回くらい会社にも行くし、同期や先輩方からも飲み会の誘いがあったりするよ。会社を辞めたのも、仕事が嫌だというのではないし、人間関係という訳でもないから安心してね。このあたりもそのうち、書いていくね。

33歳で会社を辞め、個人事業を立ち上げ、その翌年には全く毛色の違う会社の代表も務めるなんて聞くとすごい輝かしい人生を歩んでいるって思うかもしれない。表向きはそんな風に見えるし、「女性社長」として取り上げられることも多い。けれど、その裏であなたは嫌なこともたくさん経験することになるし、人から裏切られることもある。今も数千万円の借金の連帯保証人でもあるから。あなた自身はこれといって技術やセンスがあるわけでもない。それでもこれまで知り合った人たちが、色んなことを教えてくれたり、一緒に仕事してくれたり、励ましてくれたりするから、何とかここまでやってこれたよ。だから、安心してね。

プライベートの方はと言うと、あなたは「将来結婚なんかしない」って思っていたはず。けどね、結婚するから。しかも2回。そして今は独身だから。最近はお父さんもお母さんも、結婚とか子どもについてあまり何も言わなくなってきたよ。「あなたの人生だからあなたの好きなようにすればいい」「まぁ、あなたは一人でもなんとかやっていくだろうし」って。弟や妹の所に子どもが出来たというのもあるからかもね。お父さんは相変わらず現役バリバリで左官工しているよ。死ぬまで現役だと思う。お母さんは2回、がんを患っているから、気を付けてあげてね。

今は幸せ?ん~、幸せかと言われると自信をもってYESとは言えないけれども、少なくとも不幸せではないかな。20年後の私は忙しい毎日を送っているけれども、美味しいお酒と料理を楽しんでいるよ。今日はこれから、肉豆腐を作って、それと日本酒を合わせるつもり。今年は「あおもりの地酒アンバサダー」にもなったくらいなんだよ。そろそろ準備始めるから、今日はここまで。また、手紙を書くね。

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