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いっしょに読むだけ読書会(たちくらようこ)

7月下旬のある夜、いっしょに読むだけ読書会に参加しました。

参加というか、筆者たちくらが発起人の会です。やることは、集まり、それぞれ読みたい本を読み、時間になったら終わり。同じ本を読んだり、感想を発表したりもしません。

筆者は最近本を読めないことに悩んでおり(読んでると寝ているを繰り返すうちに、そもそも本を手に取ることすら億劫になってしまいました・・・)、亜人間都市の劇作・演出家、黒木洋平さんが乗る場メンバーだった頃に、集まって本を読むだけの会やってたな、よかったな、あれやろう!とうろ覚えで開催しました(後日黒木さんに伺ったら、会の名前は「本を読みたい人のための読書会」、読む本と感想のシェアはするのが決まりで、筆者が段取りをだいぶサボっていたことが判明しました)

ちなみに黒木さんはオンラインでそれぞれ映画をみる会もなさっていて、こちらもよかったです!

本日の参加者は、朝比奈竜生さん、y/nの橋本清さん、カゲヤマ気象台さん、とたちくら。

ゆるゆると集合

19時ごろからなんとなく集まり始める皆さん。

「どうぞ」

冷房による冷えが気になるカゲヤマさん、ホットコーヒーを入れてくれました。

橋本さんもあったかスープ!

トマト酸辣湯です。橋本さんも、温かいものを食べようと心がけているそう。夏だって冷えは大敵。

朝比奈さんからは、ご近所のカフェおぐセンターで定食を食べてから来ます、と連絡がありました。

急がず焦らずおのおの良いペースのゆるイベント。

本を見せあう

特にお願いしたわけではないですが、なんとなく持ってきた本を見せあいます。

カゲヤマさん

カルデロン「人の世は夢 サラメアの村長」と、ボリス・グロイス編「ロシア宇宙主義」

カルデロンとは・・・?近世スペインの巨匠。「ドン=キホーテ」のセルバンテスに並ぶらしいです。ちなみに作中に「ドン=キホーテみたいだ」という表現があるそう。当時の流行ベストセラーとして「ドン=キホーテ」が登場しています!

橋本さん

小池水音「息」と、雑誌「ニューQ」。
哲学カルチャーマガジン「ニューQ」は公共がテーマの号。小説に疲れたら雑誌で気分転換する作戦。

朝比奈さん

ドフトエフスキー「カラマーゾフの兄弟(中)」、フロベール「ボヴァリー夫人」、細谷昴「日本の農村ー農村社会学に見る東西南北」、荒木田岳「村の日本近代史」、田中圭一「百姓の江戸時代」。古典と・・・村?パラパラ読んで読むのを決める作戦だそうです。

カラマーゾフの兄弟 上巻に

登場したキャラについて語る朝比奈さんとカゲヤマさん。下巻が面白いという評判なのだけど、朝比奈さんは上中巻がすでに面白くて、下巻どうなっちゃうんだ!?て思ってるんだそうです。

ちなみに乗る場の本棚には漫画版があり、

たちくらはこちらで履修しました

「ボヴァリー夫人」については、「面白すぎて5ページ読んで満足しちゃう(笑)」からなかなか読み進まないそう。朝比奈さんが「共感しちゃう」という夫人の旦那さんボヴァリーさんに、カゲヤマさんも「典型的な巻き込まれ型で大変な目に遭っちゃう人」と同情する姿勢。急速に湧いてくる親近感・・・

ちなみにたちくらの本は

堀越英美「親切で世界が救えるか
ーぼんやり者のケア・カルチャー入門」

アニメや映画を引きながらケアを考える本です。ケアの勉強したいけどなんせ本が読めないのでまずは読みやすいやつを!というチョイス。

読む

いつの間にか読み始めているカゲヤマさん。

少年?

この姿勢がいちばん落ち着くんだそうです。

朝比奈さんは、ペン2本持ち。

黄色のマーカーと青ボールペン

マーカーで内容の要約にラインを引いて、ボールペンで感想を書き込むのだそうです。

橋本さんは

ソファに寄りかかりスタイル

「たちくらさんちゃんと読めてるじゃないですか〜」と話しかけてくれた橋本さん。おしゃべりしているうちに、

「この姿勢でマンガ読んでるときあったな・・・」

『息』は子どもの頃を思い出す小説みたい。
「どうですか?」と朝比奈さんもおしゃべりに加わります。
橋本さん「相性よかったです、文体の」「作品に関係する本とか、仕事に関係ある本とか集中して読んでて、最近。全く関係ない本読みたくて」。
朝比奈さん「気に入った一文とかありますか?」

おしゃべりをよそに、カゲヤマさんは黙々と読み続けていましたが

ふと

朝比奈さんの「ボヴァリー夫人」をチラ読みして「僕が前読んだより軽い感じで訳してる」。

たとえば、冒頭に登場する "一瞬で死ぬ奥さん"(ボヴァリーさんの一人目の奥さんのこと、早々に病死)が死ぬ場面は「なんという驚き!」て書いてあるそうです。バラエティ番組のテロップだったかな??

この軽薄さは、地味なキャラだからではなくて、メインの登場人物、主人公ボヴァリー夫人に対してもこんな感じなんだそう。カゲヤマさんによると「文体に感情がない。平等に冷たい。誰にも肩入れしない。ほんとすごい!」・・・だんだん読みたくなってきました。

凡庸な夫が嫌になって不倫したり借金したりとダメな女として名高いボヴァリー夫人。マダムな呼び方されているけど、やらかし方が若々しい・・・実はお若いのでは?ふと年齢が気になって、調べてみると結婚したときはまだ10代だったよう。

カゲヤマさん「10代だったとしたら・・・・親の知らないところで子どもがした契約は取り消せるって大事だね」
やっぱクーリングオフ制度て必要ですね。

引き続き読み読み・・・

読み終わった

予定時刻の22時になりました。おしまい!!

おわりー!!とカゲヤマさんが読んでいた本「ロシア宇宙主義」の内容を教えてくれました。

フョードロフという哲学者が、過去の全ての人間を復活させるっていうのを本気でやってたんだそう。博物館がとても大事で、魂は存在しない→人間は身体が全て→体が残っていれば生きていることになる→博物館に保存すればみんなずっと生きている!という理論なんだそうです。ほぉ!

逆にカゲヤマさんがほんとか?と思ったところは・・・人間の理性は宇宙に繋がっているから宇宙を変えることができる、なぜならコスモスと呼ばれる宇宙の秩序は人間の理性と根っこが同じだから!という説。ロシア宇宙主義は徹底した唯物主義なんだそうですが、でも・・・確かにこれはなんかファンタジック。

ロシア宇宙主義を横目に黙々と読み続けていた橋本さん、

「読み終わりました!」

「宇宙主義を背景に(笑)」
収録されていた三島由紀夫賞候補作の「息」とデビュー作「わからないままで」のうち、「息」の方を読み終わったそうです。すごーい!

どんな小説だったか話しながらお掃除

ゆるゆるとお掃除も終えて、いっしょに読むだけ読書会は終了。朝比奈さん、橋本さん、カゲヤマさん、それから黒木さんも、ありがとうございました!
段取ってないのに読む本も感想もシェアしてたな、なんかよい集いでした。またやりましょう〜


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