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vol.36 Йчζя 梨茄子より ずっとお正月でよかった яζчЙ

梨茄子が不定期で発行しているメルマガのアーカイブです。
お送りしたものをほぼそのまま載せています。

2023年1月28日10時45分発行
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 おはようございます。梨茄子のたちくらです。この文章を書いているのはメールをお届けする数日前、東京は雪降るかも、降るかも、な曇り空です。新しい長靴を買ったところなのでぜひ降ってほしい。

◇◆おふろふろふろ◆◇


新年明けまして2日、近所、といっても徒歩20分の銭湯の朝湯に行きました。

顔の上半分しか肌を見せないくらいに防寒しつくしたスタイルでぐねぐね曲がる小道を歩いていたら、むこうから短パンの男性がやってきてて、寒くないです?と声に出しかけたところで手に持ったカゴにシャンプーのボトルがみえました。奥様とお嬢さんらしきお二人も一緒で、どうやらご家族で朝湯帰りのようでした。我が家には家族で銭湯に行くという習慣がなかったので、なんだか新鮮です。

正月朝湯はなかなかにぎわっています。空いてる下駄箱をがんばって探して、ぎゅうぎゅうロビーのお会計の列にならびます。うたたねしそうな番台のおじいちゃんは、うたたねしそうなもんだからお金を渡されてるかどうかもわかんなくて、一緒に番台に入っているおねえさんにアシストされながらお釣りとお年賀タオルを渡し続けています。おじいちゃんの観察に夢中になっていたら自分の番で言うこと忘れちゃって、ポスターを指さしながら「あれ・・・」ってかろうじて発音し、無事に銭湯回数券10枚つづり4500円をゲットしました。アシスト上手のおねえさんありがとう。

この銭湯のよいところのひとつが脱衣所がきれいなことで、リフォームしたてぴかぴかの明るい色調のお部屋で、お部屋の真ん中にミニ小上がりみたいな座れる場所があって、ガラス戸の向こうに池と中庭まであるのです。鞄からタオルやらせっけんやらを取り出しつつ、脱いだ服をロッカーに入れ、かつメガネと100円玉が迷子にならないように気を付けて、っていうお風呂に入るまでの時間が好きじゃないので、脱衣所の空間が快適だとだいぶ助かるのでした。ロッカーも小上がりもわいわいで、中庭もひとのからだで見えないので、ささっと服を脱いでさっそくお風呂に向かいます。

お風呂スペースの真ん中の、島みたいになってる洗い場の一つを今日の席に定めます。マイシャンプーを持参するほど上級者ではないので、備え付けのものを。シャンプー、リンス、ボディソープ、ハンド&フェイスソープ、4本のボトルが、洗い場にちょいちょい配置してあります。うーむビジネスホテルとかにもあるけどさ、ハンドとフェイスを洗うものが同じって全く納得いかない、ハンドはむしろボディじゃないの?と毎度疑問に思うのですが、洗顔せっけんを持参する熱はなくて、結局毎度これで顔を洗ってしまいます。

ここのお風呂は、ジェットバスと、寝そべるぶくぶくお風呂と、薬湯の3種です。今日は薬湯が人気、というか、他のふたつが明らかに2席づつなので入りづらいのかもしれない。結果的に空いてたジェットバスにつかります。肩甲骨の間の風門のつぼと土踏まずにジェットをあてて、あぁ元気になった、私は風門信者なのでここが温まりさえすればいいと思いがち。湯船からは水色のタイルの床と壁と、天井と、10時45分をさしている時計と、たくさんの裸婦がみえます。子ども、若い人、おばさん、おばあさん、体とはこんなにもちがうものか、と思ったけどとても当たり前だった。形や質感はいろいろだけど、湯気のほわほわ効果でみんなルノワールタッチな仕上がりです。

ジェットバスから上がり、寝そべる風呂で薬湯が空くまでのんびり待って、ついに薬湯に入ります。薬は日替わりの、なんだか忘れちゃったけど緑色のやつ。深めの湯船に肩までつかって、湯気でぼんやりした視界をさらにぼやかしていきます。さっき薬湯を出た小さいお嬢さんたちが湯船のまわりできゃっきゃしていて、薬湯につかっているおばあさんが、ほら危ないよ、とにこにこな声で話しかけています。子ども好きなんだな、と思います。銭湯は、子どもとおしゃべりしたいけどできない人が、他人の子どもに話しかけられる場所でもあるのでした。

脱衣所にもどっても、そのおばあちゃんはちょいちょいお嬢さんたちに話しかけていて、この人は子どもとみれば好き!て思うのだろうな、と推測します。私には 子ども=かわいい・お近づきになりたい という脳の回路がありません。そのことをちゃんと明文化して、相手を選びつつ伝えられるようになったのが去年の大きな収穫ではあるのですが、知らない子どもにアタックしていく人を目の当たりにすると、ものすごい異文化を目撃している気持ちになります。かつ自分が愛がないマイノリティである自覚もあるので、なんかすんません、ていう気持ちも混じります。

着てきた服の半分くらい着たところで洗面台に空きができたので、備え付けのアメニティとドライヤーでお肌と髪を整えてたら、おばちゃんがちょっと鏡みせて~みたいな感じでやってきて、私の背後で化粧水をつけはじめました。鏡越しの小上がりでは、おばあちゃんの探し物をたぶん他人のおばさまが一緒に探しています。こういう距離の近さが、こういう人たちであるのか、こういう場であるからなのか、はわかりません。

服をぜんぶ着てロビーに出ると、番台はおじいちゃんがひっこんで、おねえさん一人になっていました。ソファーにちょっとだけ腰かけて、ジュースとか買っちゃおうかなと思ったけどやめて、持参したほうじ茶の最後のひと口を飲みました。ちっちゃい兄弟が、冷蔵庫をのぞいたりロビーを探検したりして遊んでいます。遊ぶのが上手でよきことです。

一番下の下駄箱から靴を出し、だれにともなくありがとうございましたって言って外に出ると、寒さも和らいでぽかぽかの冬晴れでした。あの公園でコーヒー飲んで帰ろうかな。1月2日はまだまだ長いし、のんびり、ゆったり、過ごそうと思います。

◇◆ちかぢかの梨茄子◆◇


《たちくら ゲスト召喚》
2023年1月29日「乗る場の日」 ゲスト:端田新菜さん
明日!「オープンダイアローグ」というのをやります。斎藤環さんとかがやってるやつです。日々のもやつきをみんなが聞いたら楽になるかも、みたいなやつ。よければぜひ。

《辻村優子 》
サロン乗る場
おそらく世界でただひとり、もみほぐし×演技の道をバシバシ開拓している辻子さんの新作、乗る場が送る最高のリラクゼーション(と感じられる演技)。このフォームに登録すると詳細をきく権利を得ます。

《下駄 出演》
Dr. Holiday Laboratory『脱獄計画(仮)』
下駄氏に台本どれくらいできてるの?て聞いたら文字数で答えられて、戯曲の長さを文字数で数えたことないもんだから全くイメージできなくて、進捗はよくわからないままだった。

《定例》
乗る場レポート 主に演劇を作る団体「散策者」のパーティに乱入しました。
LINEスタンプ「すなおなたべもの」 パート2に向け写真は撮っています。

◇◆下駄くんからなにごとか◆◇


乗る派の浜松公演で静岡の「しきじ」というサウナを訪れて以来すっかりライトサウナーとなった僕ですが、謎の仕事で銭湯の店主を取材してからサウナのない公衆浴場も良いものだなと思っている今日この頃です。

「お風呂しかないからそれだけに集中できるし、(お金が)もったいないとか思わずに短い時間でリフレッシュできる」的なことを言われ、確かにと思いました。

最近もう一つ銭湯確かに!があって、浅草の飲み屋で女将さんに周囲のおすすめ銭湯を聞いた時「〇〇って銭湯が熱くて良い。ぬるいといつ上がって良いかわからない」と言っていてエピソードではないのですがのですが「なんと粋な!」と思いました。

今まさに銭湯はサウナ以上に思想性が求められる場所なんじゃないかと感じるわけです。例えば5分アニメみたいに。Eテレとかもそうだけど、映像って短ければ短いほど思想性が表れません?そんな感じ。

みんなは銭湯の後は何を飲みますか?僕は迷うんですが件の銭湯店主はドクターペッパーがベストとのこと。家のお風呂上がりでも良いので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

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銭湯って所要時間みじかいのが売りだったのか。当方、純粋に入浴と付随作業だけで1時間はかけているのだが??まぁいいや、20分の冬の夜道を楽しめるくらい温まるにはそれくらいの時間が必要なのです。というわけで雪、うちのまわりだけ降ってない雪、私寒くないから降ってもいいんだよ?どうだい、降ってみないかい?

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