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vol.34 ⌘⁂⌘ 梨茄子より 晩秋ですか?冬ですか? ⌘⁂⌘

梨茄子が不定期で発行しているメルマガのアーカイブです。
お送りしたものをほぼそのまま載せています。

2022年11月25日12時発行
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 こんにちは。梨茄子のたちくらです。今日ちょっとあったかいかもっていう日に外でうとうとするのが好きで、散歩に行ってはほんのりぬくい川原の石の上でうとうとし、都会にいく日はショッピングセンターの屋上駐車場で日光で温まったパイプに座ってうとうとし、うとうとしながら公園の芝生でうとうとする夢をみました。来世は亀さんになって一生甲羅干ししていたい。

◇◆本というもののこと◆◇

 まわりにすてきな読書家が多くて憧れるんだけど、本も好きなんだけど、実際あんまり読めないのです。家にいると別のことしてしまって、出先ではスマホみてしまって、移動中は乗り物酔いするから不可、どの隙間で本を読めばいいのかわからない。

 おかしいなぁ、小学生のときは本の虫だったのですけれども。放課後はだいたい近所の公民館のちっちゃい図書室にいました。ひとりで。友達と遊べよという話ですが、遊ぶ日もなくはなかったけどほんとうは図書室行きたいなって思ってて、きっと小学生の遊びか小学生があんまり好きじゃなかったんでしょうね。

 児童文学コーナーはとうに読み尽くして大人エリアに手を出すくらい入り浸ってたのですが、ナルニア国物語とかゲド戦記とかメジャーな児童文学は読んでないのです、その図書室になかったから。残念なことです。代わりに「ミス・ビアンカの冒険」シリーズを愛読していました。大使館育ちのセレブねずみのミス・ビアンカが、ねずみ界の伝統的・世界的組織「囚人友の会」に感化されて、各地の囚人を助けにいく話です。今思うと大使館から出たことのないハイパー箱入り娘の活躍すごすぎない?でも、勇気があって意志が強くて、でも決して上品な気遣いを失わないミス・ビアンカが、ひっこみじあん少女の目にはとってもかっこよく見えたのでした。あと、ミス・ビアンカに熱烈片思いしている庶民ねずみバーナードが子どもの目にも応援したくなるボーイで実に良かった。実はわたし、恋人とか奥さんが大好きな男の人を眺めるのが好きなのですけど(しっぽパタパタ振ってるわんこみたいでかわいくないですか?)、バーナードが原体験かもしれないと今思いました。

 ついでに思い当たりをもう一つ、梨茄子メルマガのこの文体の特に語尾、児童文学のなごりじゃないかしら?「見えたのでした」とかさ。なんだかんだ身に染みこんだ幼い私の愛読書たち。

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 大人になってからも本を読もうという小さな努力は続けており、旅先なら読めるかもという目論見で、旅公演のときは本を何冊か持っていくのが常です。でもだいたい読み切らないまま帰ってきます。いまも積読から厳選した旅のお供が手元にあるのですが雲行きあやしく、せめてここで紹介させてください。偶然にもぜんぶ表紙が白い。

□□渡辺健一郎『自由が上演される』
読書会用。演劇教育について。所属劇団の団長が批評されており気が気ではない。

□□『くらしチャレンジ(大人とこどものための戯曲集)』
池袋の街でひろったフリーペーパー。よく見たら書いてるのAAF戯曲賞の小野晃太朗先生じゃないですか!暮らしの手帖を思わせるのほほんとした見た目に反してキレッキレ、なんて本を路上に放置するんだ東京芸術祭。

□□パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』
今さら読み始めました。この本が書かれたのは2020年3月のイタリア、何もわからない苦しさなかでもコロナの時代は終わるものだと信じられていて、2年半たってフェーズは変われどいまだコロナ時代の我々はどうしたらよいのだ。

□□熊野純彦『レヴィナス入門』
下駄くんが他者を知ったらいいんじゃないすかと勧めてきたので買いました。レヴィナスさんの人生が壮絶で(ホロコーストで親族ほぼ全滅)むしろなぜ生き続けようと思ったのか気になる。

□□石原吉郎『サンチョパンサの帰郷』
旅前に友人がくれた詩集。ぱっと開いたページには「黒い未来」って書いてありました。他のページも同様に暗い暗い言葉で満ちているのですが、自分の口で音にしていると逆に明るい気持ちになる不思議。


 あれ、なんだ、思ってたより読めてるじゃん!部屋のあっちこっちに散らかしてふと読める配置にしとく作戦、けっこう効果ありそうです。

旅帰りに寄った嵐山、紅葉はまだ浅い

◇◆ちかぢかの梨茄子◆◇


《たちくら 声の出演》
ムニ『ことばにない』前編
声の出演しているのを口実に京都公演の宣伝しようとしていたのだけど流行り病により中止となってしまいました。来年の後編をひたすらに待つ。

《乗る場有志とたちくら》
言葉に乗る会
朗読やりたいって言ったら同志が現れたので、朗読したり黙読したりを楽しくできる会をやります。気軽に立ち寄っていただいてのんびり遊んでいただけたらさいわい。※オフィシャル記事はそのうち出ます

《たちくら 乗る場の日ホスト》
乗る場のクリスマス&お誕生会
ホストくじ引きにあたり、再び乗る場の日ホストです。12月なのでクリスマス、乗る場の1歳の誕生日も一緒に祝ってしまおう♬ 中身はほぼ未定ですがベストクリスマスソング決定戦はぜったいやる。※オフィシャル記事はそのうち出ます

≪引き続き≫
乗る場レポート 最新は『自由が上演される』読書会レポ。団長のこと考えすぎて疲れた。
たちくらの日々 さぼっています。
LINEスタンプ「すなおなたべもの」 第2弾作成を目指して食べ物写真を撮りためる日々。

◇◆下駄くんからなにごとか◆◇

最近、人と子供の頃に読んだ本の話をしていて、読んでおもしろかった本のあらすじをスラスラと話すと「よくそんなに覚えているね」と言われた。

 言われてみると、小説にせよ、漫画にせよ、映画にせよ、アニメにせよ、一度見たものはかなり細かいところまで覚えているなと思う。

 これはおそらく癖で、世紀末生まれの僕はゲーム世代な訳だが、当時はまだソフト代が高かったのでなかなか買ってもらえず、代わりに攻略本やゲームの目録の短い説明文を読んで、まだ見ぬ面白そうなゲームを想像していた。こうして想像すると、精度はさておき頭の中にゲームが"できて"自分のものになったような気持ちになる。

 そうしたことばかりしていたので、どんなものもその体験というより、そのものをそのまま頭に保存して、のちのちに時たま想像して楽しむ癖がある。もしかしたら演劇に役立っているのかもしれない。

 本の話だった。演劇を始めてからはすっかり本を読まなくなったのだけれど、御多分に洩れず子供の頃読んで、印象に残っている本を紹介したい。

□□原ゆたか『かいけつゾロリ』
むちゃくちゃ好きで、もちろん全部読んだし、発行元のポプラ社がゾロリの漫画を連載する漫画雑誌を発刊すると言えば創刊号から買ったし、わずかに発売されたゲームも買った。アニメは地域の問題で見れなかったけど……。今も図書館などに行くと最新刊を読んでしまう。逆張りしがちなのはゾロリのせいかもしれない。

□□木内昇『茗荷谷の猫』
模試に引用されていて、面白い本だなぁと思い、図書室で買ってもらって読んだ。茗荷谷のとある家に、過去から現代まで入れ替わり立ち替わり住んでいる人々の、ささやかな生活模様を描いた短編集。生活って良いよなぁという気持ちはこの影響があるかも。岸田國士も好きだし。

□□村上春樹『アンダーグラウンド』
母親が村上春樹が好きで、家に何冊かあって読んだのだけれど、文体が全然ダメで一向に読み進められなかった。なら、ということで勧められた本。地下鉄サリン事件被害者の事故当日の様子をインタビューして、ただただ淡々と描く。生活とでかい出来事とその後と。思えば円盤に乗る派もそんな感じじゃない?ドキュメンタリーはこれを読んで好きになったのかも。

◇◆たちくらのお返事◆◇

 読んだ本のこと、全然覚えてなくて、本に限らず見たもの聞いたもの悲しくなるくらいに忘れてて、でも体感としては常に情報は摂取してるしメモリはいっぱいいっぱいなのです。いったい何を覚えてるんだろう。しょんぼりついでにかいけつゾロリをちょっと調べてみたら、舞台化して、文化不毛の我が故郷(どれくらい不毛かというと市民が20万人いても映画館が絶滅するくらい)で上演してました。ゾロリ強すぎる。

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