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vol.32 ∴ё∴梨茄子より 気温が読めぬ ∴ё∴

梨茄子が不定期で発行しているメルマガのアーカイブです。
お送りしたものをほぼそのまま載せています。

2022年9月27日21時30分発行
*   *   *   *   * 

 こんばんは。夜分に失礼します。梨茄子のたちくらです。いま、飛行機に乗ろうとしていて、その飛行機は東に向かい、中東でいっかい降りて、また乗って、最終的にはポーランドに行くらしいのですが、まだほんとか?て思っています。ほんとか?

◇◆秋の暮れへの耐性がない◆◇

下駄くんにお題を所望したら「秋だし、きのこか梨、〇〇の秋でもいいよ」ていうのをくれた、ん、です、が、あれ、書け、ない……
 
 梨もきのこも好きだけど、メルマガ1通分の蘊蓄ないです。〇〇の秋シリーズも考えたんですが、スポーツの秋→スポーツ嫌い。食欲の秋→美味しいものはいつでもあるよ。読書の秋→通年眠らない街東京においてこの命題は有効なのか? 芸術の秋→芸術を一年のうち数ヶ月に限定しないでくださいいろんな意味で死ぬ……なんでふてくされモードなのよ。
 だってーーー。秋、きらいーーー。寂しいのやーーぁだーーー。

 私にあはれを楽しむゆとりはないのです。秋の寂寥感を真に受けてだだへこみするのです。冬に向かってじわじわ枯れいくなんてー!〇〇の秋なんてさー、ぼーっとしてたら発狂しそうな秋の夜長をどうにか埋めたい人がむりくり発明したんじゃないの?と悪態をついていたら、深夜のラジオが「食欲の秋ってさみしさを食べて埋めようってことじゃない?」て語り始めて、いた同志、公共の電波で発信してた。

 これまでの苦手なものをどうにかしようの回は、苦手なものの中から良きことを掘り出し羅列してほらいいとこあるじゃん♡戦法をとってきたのですが、今回は効かなそう。だって涼しいとか夜が長いとか紅葉とか、秋の良いとこってそれ自体が枯れの一部なんだもの。

 あ、ふいに秋の良さって侘び寂びか、じゃ詫びの心を習得すれば秋を楽しめるのか、という気づきが降ってきましたが、しかし気づきと実践は別物でしてね……

 というところで思考停止すること数日。

 ふらっと入った古本屋でなんとなく買った、八木重吉ていう人の詩集を開いてみました。秋に関するやつあるのでは、という期待からだったんですが、ありました。ありすぎて数えるのやめるくらいいっぱい。どれもこれもなんか幸せそうな、その中から特にみじかい一篇を。

紅葉
紅く色づいた葉はうれしい
なんにも忘れてみとれてゐる

 ……このとき八木さん27歳のはずだけど、え、子ども?じゃなきゃ老人?なんだこの飾り気のなさ。そして葉っぱが赤いってそれだけのことにこんなに夢中。紅葉が枯れ葉だとかもうすぐ全部落ちるとか一切考えてない、今しかみてない、みとれたねぇ自分よかったねぇって観察する余力だけ残して、葉っぱがきれいなことに静かにはしゃいでいる。すっごいなこの人って思いながら、でも......

 真似できる気がしないでもないぞ。少なくとも寂びよりよっぽどわかりみがあるぞ。なんせ精神年齢推定8歳なので。うれしいねぇよかたねーて自分を観察する係のさぼりにだけ気をつけて、枯れる未来のことは無視して、今あるこのきれいな紅葉のことだけ見とけ、はしゃいどけってことだよね??……あ、うん、できる気がする。できます。

 というわけで、詫びの習得は長期的目標てことにしてひとまず忘れ、瞬間の風光明媚と心地よさと美味に全集中の八木スタイルで秋をのりきることにしました。この方式で秋を30回くらいのりきれば、寂びもわかってくるんじゃないかな。

ご参考までに:八木重吉「貧しき信徒」八木さんはクリスチャンなのです。

◇◆ちかぢかの梨茄子◆◇


≪梨茄子 LINEスタンプ作りました≫
「すなおなたべもの」
出来心でスタンプ作っちゃった。楽しかったまた作ろ、台詞リクエスト募集!あ、その前によければ買ってください(商才のなさはこういうところに)


≪たちくら 出演≫
青年団『ソウル市民』ポーランド公演
ポーランドの人がサイト作ってくれました。十数年前のクレイジー衣装の私を載せていただきありがたき幸せなんですがなんでこのシーンなんでしょう最も重要でないぞ......


≪カゲヤマ・下駄・たちくら 出演とか演出とか≫
QUAD
延期公演用の色違いのチラシが密かに配布されています。いい色ー。

≪引き続き、たちくら 書いてます≫
乗る場レポート 円盤に乗る場の活動のレポです。最新は屋根裏ハイツお稽古。
たちくらの日々 たやすく予想された事態ですが食べ物の話に偏っていく、最新は八木スタイル実践として梨の食レポ。

◇◆下駄くんからなにごとか◆◇

最近、体調を崩していて、家でダラダラと過ごし、療養に努めています。

そんな中、時間は流れていって、次の出演する作品の稽古も始まったのですが、驚いたのは次の日にすげぇ疲れが残っていること。
しばらく運動していなくて体力が落ちていることもあると思うのですが、おそらく年齢が重なってきていたことも影響していて、
「これがっ年長者から噂に聞いていた"老い"ってやつか……っ!」と新鮮に驚いています。

本当は運動など意識的に始めた方が良いと思うのですが、なにぶん汗をかくのが苦手なので、ひとまずはしばらくある稽古で体力づくりに励めたらと思います。

なので、僕は全く運動の秋という感じではないという、導入文章だったわけですが、
では、何の秋かといえば、やっぱり食欲の秋!

自炊も外食も、こだわりが強いタイプなので、ちゃんと季節ごとに美味しいものを食べるようにしています。
最近読んだ、池波正太郎の「江戸前 通の歳時記」を見ると、10月は松茸と栗、11月は柿と葡萄を食えとのこと。

松茸といえば、思い出すのは北千住の居酒屋「大はし」で食べた、松茸の土瓶蒸しです。
大はしといえば、東京三大モツ煮込みに数えられるほどモツ煮が有名ですが、壁一面に、おそらく日毎に変えられているメニューの短冊もリーズナブルで気の利いたものが揃っています。

普段はシャコなどをよく食べるのですが、あれは数年前にヨネスクと訪れた時でしょうか。
松茸の土瓶蒸しが確か500円くらいで提供されていました。

値段のあまりの安さに戦々恐々と頼んだのですが、やってきたのは可愛らしい黒い土瓶と蓋の上にちょこんと乗ったすだち。
蓋を開けて中を覗いてみると、松茸と三つ葉と鱧なんかが入っていて。
お猪口に入れて飲むと、初めて「ああ、松茸はこんなにうまいものだったのか」と思わされました。

秋の北千住の大はしはおすすめです。ちょうど自分の出演もしばらくBUoYで続くので、ぜひマチネに行った後に行ってみてください!確か開店が17:00くらいで、閉店が早く、店も混むので!

僕もそのうち行きます。

◇◆たちくらのお返事◆◇

 下駄くんに「秋はさみしいから嫌い」と言ったら、彼はそもそも秋がさみしいというテーゼを持ってなくて え?え?? てなりました。思い返してびっくりしたわ~って思ってたらふいに、もしや詫びの心は下駄くんのほうがわかるのではって気がしてきた。全く気づいてなかった秋のもの悲しさにある日突然気づいたら、すんごい感動するんじゃないだろうか。どうかなぁ、どうでしょう?

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