正義はないかもしれない。従業員に訴えられた場合。

「従業員に訴えられた時の対応についても お尋ねしたい」というコメントを受けての投稿です。

従業員に訴えられるというのは、悲しく、時間もお金もかかりますので、日頃からいい会社を目指したいものですが……。

状況により対応は異なってきます。一般論や誠実な総務として書こうか迷いました。でも思うことを書きます。

従業員が会社を訴えた時の総務は、①専門家に丸投げし、深く関わらない。②「会社を守る」ためにリスクコントロールをする。のどちらかになると想像します。

①専門家に丸投げし、深く関わらない。
専門家に丸投げしできるだけ深入りしないようにします。もしくは何もしません。下手をうつと自分の評価にひびきます。何も調査せず、知らないほうが下手をうつリスクが低くなることもあります。言われたことだけを粛々とやるのみです。

②「会社を守る」ためにリスクコントロールをする。
正直なところ、従業員に訴えられた場合の総務には正義はないかもしれません。「会社を守る」ことが第一の目的となります。そのため、リスクの許容度を整理します。

・対外的イメージ
・社内イメージ
・原告の継続雇用の社内影響
・敗訴した場合の追随訴訟
・コスト(金額・時間)

リスクをいろいろ鑑み、最小のダメージになるようにします。そのためには、会社の非は原則認めず、行き過ぎた「個人」が「たまたま居た」というスタンスをとります。(早期に調停で解決できるなら非を認めるかもしれません)

まず弁護士に一報をいれます。そして事案の情報収集をします。加えて情報封鎖もします。

例えばハラスメントであれば対象の人物に聞き取り調査を丁寧に行います。その際には正確な事実関係と曖昧な部分を整理します。また対象者本人の対応能力も測ります。「売り言葉に買い言葉タイプ」なら不利になりえますので、そのあたりも鑑みます。そして対象者の懲戒も検討します。

「裁判で明らかにすべきという建前」のもと、会社の非は原則認めません。
相手の懐具合を探ります。長期戦にもっていけば、相手が折れる可能性が高いかもしれません。逆に早く終わらせるほうがダメージが少ないのであれば、いろいろと明らかになる前に調停や和解にもちこめないか検討します。

正義や良心ではなく、会社を守ることが主目的です。そのために専門家と連携しリスクを整理・管理していく。誠実な仮面を心がけ、最小のダメージに抑える。
そうなってしまったら総務はそう動くでしょう。

③その他(契機に会社を変革)
もし訴訟を契機に会社を変革する可能性があるなら、正義と良心を全面に出す可能性もあります。手痛いダメージを負ったほうが、今後のためになるなら、そういう検討もあるかもしれません。
しかし、それは困難を突き抜ける思いとスキルが必要になり、賭けのようなものでもあります。いち総務が思い描ける絵図ではないと思います。

本来は、従業員に訴えられる前に、予防保全が必要です。
そうあってほしいと願います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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