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上村元のひとりごと その509:借り暮らし

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 すったもんだの挙句、無事、会員登録が、完了しました。

 これで、晴れて、僕は、King Gnuファン。

 愛猫ミントと一緒です。

 できれば、ミントにも、会員登録をしてあげたいけれど、おそらく、猫の会員は、受け付けていない。

 というか、ミントは、スマホを持っていない。

 仕方ないので、せめて、ニックネームを、ミント、にしておきました。

 ごめんね、勝手に、名前借りちゃって。

 良かったかな?

 にーのう。

 どうでもいいから、夕ご飯をよこせ。

 すみませんでした。

 ぶち切れ一歩手前の愛猫にかじられつつ、よろよろと立ち上がり(ずっと、あぐらで、しびれました)、味噌汁と、温泉卵かけご飯で、ささやかにお祝いします。

 ふんまー。

 この間、酒を切らしてしまって、出さない日があったのですが、ミントは、まるでせがまず、美味しく食事を終えられて、なんだ。

 お酒、いらないのか。

 あんなに、のんべえだったのに。

 拍子抜けして、それ以来、買っていませんが、問題、なし。

 今夜も、あぐあぐと、汁かけ卵飯を、むさぼるようにご賞味です。

 もしかして、前の飼い主が、酒豪だったのか。

 つられて、飲んでいただけで、ミント本人は、別段、酒好きではなかった可能性がある。

 では、King Gnuへの熱愛は、どこから?

 それも、やはり、前の飼い主が、聴いていた?

 その割には、その人と離れてなお、愛は衰えることなく、いやまして、盛んになっている。

 つられて、好きになっちゃったのは、こっちだよ。

 ということは、音楽に対する情熱は、ミントの中に、元々、備わっていたもの。

 なのか?

 ぬいぐるみの猫にも、特有の好みがあって、たまたま、素直に、発揮できたということ?

 じゃあ、ミントが、食べて、歩いて、いたずらをする、その動力は、どこから?

 ポリエステル100%の毛皮を、食べた分だけ太らせるのは、果たして、ミント本人か、それとも…。

 天井を仰いで、ため息をつき。

 とりあえず、目の前の食事に専念します。

 やっぱり、妄想なのかなあ。

 あまりにも、孤独で、ぬいぐるみの猫が動くだなんて、ファンタジーを拵えて、嬉々として、文章にして、公開しているだけなのか。

 だとしたら、どこまでも、寂しい人生だな。

 好みも、名前も、何もかも、借り物で。

 それでもいいと言えば、いいのだけれど。

 真に自分のものなんて、この世にないし。

 僕による、僕だけの言葉をしゃべったところで、誰にも通じないし。

 それでは、商売、あがったり。

 いいんだ。

 全部、借り物だと思っているくらいが、物書きとしては、ふさわしい。

 きちんと、大事にできるもの。

 借りたものだと思えば、そう乱暴には、言葉を扱えないもの。

 きれいに使って、届けなきゃ。

 必要としている、誰かのもとへ。

 うんまー。

 それは美味しそうに、食べ続ける愛猫に微笑んで、ゆっくり、味噌汁をすすります。

 胸に湧く、この愛だけは、自前でありたいものです。それでは、また。

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