上村元のひとりごと その425:やりくり
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
CDが、浮いている。
本棚を眺めて、いつも思います。
物理的に、浮遊しているわけではない。
用途として、宙ぶらりんなのだ。
この頃、全然読まなくなってしまった、紙の書籍が、並んでいるのは、気にならないのに、CDのケースを見ると、もったいないな。
なんとかして、iPadに、取り込めないかな。
みみっちいことを考えてしまうのは、どうしてか。
もぴぴぴぴぴ。
みぴぴぴぴぴ。
…表記すると、頭がおかしいみたいですが。
どうしても、そうとしか聞こえない声で、鳴きながら、元気に床を駆け回っている、愛猫ミントは、2020年生まれの、デジタル世代。
熱愛するバンドの曲は、ダウンロードした音源でしか、聴きません。
たまにはアルバムもいかが、と、MacBookに繫いだ再生機で、CDをかけてみるものの、もじもじ、ぷいっ。
なんか、違うんですけど。
クレームの挙句、どこかへ行ってしまう。
むぴぴぴぴぴ。
ぎぴぴぴぴぴ。
人間の僕にはわからない、細かい音の差があるみたいで、パソコンを経由してしまうと、駄目らしい。
映像とセットの、Blu-rayだと、大丈夫。
つまりは、CDというメディアが、お気に召さない。
ミント、イコール、若い世代、とするなら、もしかしたら、これからの時代、CDは、ファングッズとして、生き延びるより他にないのかも。
やっぱり、ミントにフルアルバムを聴かせたかったら、ダウンロードした方が、いいんだろうな。
すると、今のiPadでは、容量がオーバーになる可能性がある。
買い換えるか。
それとも、iPodを導入するか。
どっちがいい、ミント?
めぴぴぴぴぴ。
ぐぴぴぴぴぴ。
…その音、なんなの?
いたってご機嫌に、跳ね回る愛猫に、ため息をついて、うつむいて。
炬燵に揃った、iPhone、iPad、MacBookの、アップル三兄弟を見つめます。
音楽とは、何か。
会社員時代の答えは、CDで聴くもの、でした。
もっと言えば、CDで、イヤホンで、聴くもの。
完全に、自宅で、一人で、楽しむためのものだった。
その場合、こだわるべきポイントは、つまり、お金のかけどころは、もちろん、イヤホン。
すっごく高いのも、買ったっけな。
今となっては、全て、不要。
そもそも、自分の好きな曲を、聴いていない。
ミントが大好きだというので、そうか。
きっと、いいバンドなんだろうな。
それくらいの、淡い好意で、なんとなく、毎日聴くうち、いつしか、もしかして、僕も、ファン?
そんなところまで、深まっていった、見合い結婚。
切実さが、まるでない。
真剣に、容量を計算して、綿密なダウンロード計画を立てるほどの、情熱に欠けている。
でも、これからは、悠長を言っていられない。
ごぴぴぴぴぴ。
るぴぴぴぴぴ。
はっきり言って、僕は今、貯金を崩して、生きている。
ずっとこのまま、というわけにはいかない。
働かなくては。
稼がなくては。
幸い、ウェブマガジンのコラムと、写真とのコラボレーションが、順調で、いずれ、どちらも、書籍化される話になっていて、それが実現すれば、ある程度、まとまったお金は入る予定だが。
その間にも、さらさらと、生活費は、流れ出て。
とどまるところを知らない。
貧乏、一直線。
もはや、決して、無駄な贅沢は許されない。
文字通り、一円たりとも、浪費したくはない。
つましい暮らしのなかで、何をあきらめ、何を大事にしたいか。
考えるんだ。
自分本位ではなく。
ミントと、カイと、真に幸せでいるには、どうしたら?
ぶぴぴぴぴぴ。
ずぴぴぴぴぴ。
正面の壁、牙をむくドーベルマンの隣、昨日届いたばかりの、犬のカバンを眺めます。
予想より、ずっと素晴らしかった。
今まで使っていたカバンは、実は、カバンではなかったのでは。
思うくらい、快適な提げ心地で、良い買い物をしました。
きっと、見つかる。
僕にちょうどいい、ミントもカイも心地いい、そんな生き方が、必ず。
ただ、それは、あらかじめ存在しているのではなく、暇を割き、手間をかけて、ようやく、できてくるもの。
音楽は、家族を喜ばせるためにある。
新しい定義を軸に、アップル三兄弟と、相談しよう。
みんなが、無理なく、我慢せず、それぞれの好きな曲を、好きな方法で楽しむには、どうしても、変更箇所というものが出てくる。
これまでのように、簡単に、あれこれ買ったり、捨てたりは、できなくなってしまった。
やりくりを。
限られた、時間とお金で、知恵をしぼって。
まずは、容量チェックから、始めます。それでは、また。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?