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上村元のひとりごと その514:有理化

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 ある商品の値段を見て、高いな、と思ったら、買わない方がいい。

 たとえ、100円でも、100万円でも、出せるな、と思えば、それは、あなたにとって、適正価格。

 なるべく、後悔のない買い物をするために、よろしかったら、覚えておいて下さい。

 さて、iPad。

 iPhoneと、MacBookは、すんなり使えるのに、どうにも、タブレットを持て余して、仕方ない。

 電子機器で、困った時には、家電屋へ。

 何か、ヒントが見つかるかもしれない。

 ぬっしゃー!

 黄色いエコバッグに詰まって、大興奮、愛猫ミントを肩に下げ、行きつけの、イトーヨーカドーへ向かいます。

 タブレット用品コーナーで、iPad専用カバー、画面保護シート、テレワーク向けスタンド、などなど、ずらり並んだ商品を眺めて、立ち尽くすこと、十数分。

 …違うな。

 どれも、べらぼうに、高く感じる。

 アクセサリでごまかしても、駄目だ。

 現に、買ってから、五年近く、むき出しで使っていて、何の不便もなかった。

 多少、片手だと、重いかな、とは思ったが、カバーを付けたら、もっと重くなる。

 そもそもの、根本に立ち戻ろう。

 iPadを使って、僕は、何がしたいのか?

 ぎぬっしゅー。

 ぶごぶご。

 どろんちゃーす。

 ぬきっ。

 賑やかに、ミントが暴れます。

 早くしないと、騒音公害になる。

 というか、ミントの声って、他の人に、聞こえてるの?

 さりげなく、辺りをうかがいますが、平日の午後、住宅街の電器店に、人影は、まばら。

 まあ、金切声が響き渡っていたら、警備員が飛んでくるはずだから、やっぱり、僕の幻聴か。

 いずれにせよ、いつまでも、立ち尽くしているわけにはいかない。

 決めなくては。

 iPadを、僕は、どうしたらいいのか。

 寝かせておくのは、どう?

 何もしないで、時折、充電と、アップデートだけして。

 それで、いいんじゃない?

 無理に、使い道を押しつけなくたって。

 そうだね。

 そうできたら、楽だね。

 でもね、何かが、引っかかるんだ。

 うまく言えないけど、常に、髪の毛が一本だけ立っている、この感じ。

 まさに、妖気アンテナだ。

 水木シゲル氏は、天才だね。

 僕の父さんは、目玉も残さず、死んでしまったから、アドバイスももらえない。

 ぶまっしゅ!

 …相棒の、ぬいぐるみの猫は、袋の中、ぐるぐるに回転するばかり。

 考えるんだ。

 iPadの、何が、気になるんですか?

 天井を仰いで、うつむいて。

 だいぶ薄汚れてきた、白いスニーカーの爪先を見つめます。

 …理屈では、わかっていても、割り切れない思いは、確かに、ある。

 もう一度、やり直したいんだね?

 初めから、iPadと、出直したい。

 楽しかった、YouTube観放題の日々を、改めて、現在に。

 …無理だね。

 こればかりは、有理化できない。

 ごめんよ、iPad。

 ごめんよ、自分。

 働かないと。

 ミントとカイと、食べていくために。

 ぐぬんじゃーる!

 ゆっくりと、踵を返し、とぼとぼと、帰路に着きます。

 大丈夫。

 過去は戻らなくとも、僕たちはまだ、生きている。

 行く末は、次作、千文小説に持ち越します。それでは、また。

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