見出し画像

上村元のひとりごと その513:純情

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 初めて買ったApple製品は、iPadでした。

 2017年製、無印の、9.7インチ。

 今でこそ、どのモデルも高額ですが、当時は、確か、三万円代、とりたてて、覚悟の要る値段ではなかった。

 最寄りの家電量販店で、わくわくしながら購入し、Apple IDを設定、iCloudメールを開通させたのも、この端末。

 今、目の前の、炬燵の上、天板にうつ伏した、銀色のタブレットは、ところどころ、塗りがはげて、まだら模様になり、りんごのマークも、心なしか、曇り気味。

 もちろん、まだまだ、現役です。

 バッテリーも丈夫だし、サポートも有効。

 しかし。

 …何に、使おう。

 ぎゅふーふ。

 でぃーぐるる。

 もっちりと、べったりと、MacBookにもたれて、音楽鑑賞中の、愛猫ミントは、ミュージックプレーヤーを複数持ちたいなど、浮気なことは、思いつきもしない。

 しいて言えば、zoomだが、先代のiPhoneを、専用機にして(百均ショップで、スマホクリップを買いました)、今のiPhoneで、資料を見ながら打ち合わせ、という方式で、不便、皆無。

 どうにも、用途がない。

 このiPadで、暇さえあれば、YouTubeばかり観ていた、若き日々よ。

 なんて、感傷に浸っている場合ではなく。

 今後、インターネットライターとして、稼いでいくにあたって、これ以上、余分な物は、持ちたくない。

 さりとて、まだ使える機器を、うかつにリサイクルに出してしまって、後から買い直すという金銭的ゆとりは、残念ながら、少なく。

 どうしよう。

 どうしたい、元?

 ぶふにーむ。

 どるどる。

 ずるるふしゅーん。

 もはや、喉を鳴らしているというよりは、体内で、コンクリートミキサー車を駆動させているかのような、ごつい鼻息をもらしつつ、それはうっとりと、お気に入りの曲に聞き惚れる愛猫の、大きなおしりを見つめて、ため息をつきます。

 暇つぶしだけが生きがいだった、若い日々は、確かに、終わってしまった。

 使い道のないタブレットは、その象徴。

 純情を、保ちたい。

 あの日のまま、時間を、とっておきたい。

 駄目?

 iPad。

 ぶずずふーん。

 でぃーごろるん。

 …わかってるよ。

 時間は、止まらない。

 進むにせよ、戻るにせよ、動かなきゃ。

 iPad、君のカバーを、買いに行こう。

 スタンド機能の付いた、動画が観やすく、カメラが使いやすいやつ。

 今度は、ちゃんと、チャンネルを選ぼう。

 物書きとして、新しい世界を見るために、心の栄養補給の手段として。

 買った時の、わくわく感を、純情に、読み換えて、いつでも、若いまま、どこまでも、歩いて行きたいです。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?