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上村元のひとりごと その445:済むまで

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 つるんぺ、ぷるんぺ。

 インターネットは、完全に復旧しました。

 ルーターも交換し、据え置き型のWi-Fi機器も完備した。

 元に戻った、どころか、格段の、環境改善をみた。

 バンザイ。

 これで、今まで通り、仕事ができるぞ。

 …諸手を挙げて、喜びたいところですが。

 どうしたことか。

 MacBookを、開けない。

 炬燵にあぐらで、いざ、数日前までのように、執筆を再開しようとするのに。

 どうしても、手が、持ち上がらない。

 なんで?

 また、ネットが切れるのが、怖いとか?

 ううん、そうじゃない。

 思い出しちゃって。

 いつも、いつも、パソコンの前で呻吟していた、つらい日々を。

 つるんぺ、ぷるんぺ。

 …つらかったの?

 うん、とても。

 うなずく自分に、愕然としつつ、しかし、心当たりが、なくはない。

 思えば、会社員時代から、パソコンに向かっていると、どんよりしてきた。

 なんて、才能がないんだろう。

 なんて、つまらない文章ばかり書くんだろう。

 めいってたまらず、憂さ晴らしに、スマホでニュースをチェックして、たくさんの、きらびやかな有名人たちを見て、ますます、気鬱になって。

 …駄目じゃん。

 悪循環じゃん。

 そもそも、なんで、パソコンがつらいの?

 タイピングだけ取れば、スマホの方が、ずっと打ちづらいのに。

 まあ、そうなんだけどね。

 つるんぺ、ぷるんぺ。

 すみやかに入力できれば、いいというものではない。

 道具じゃないんだ。

 僕にとって、パソコンは、MacBookは、つまり、コリンは。

 僕より賢い、別の生き物。

 使っているようで、使われている。

 こんな簡単な機能も、知らないのか。

 こんな単純な操作も、できないのか。

 常に、上から目線で、見下されている感じがしてね。

 それでちょっと、嫌になっちゃった。

 なっちゃっていた。

 いつから?

 …わからない。

 とにかく、パソコンって、使えて当たり前だと思っていて。

 嫌だとか、そういう、我がままを言えるような相手だとは、みなせなかった。

 つるんぺ、ぷるんぺ。

 恒例の、鼻だけ洗顔を繰り返すミントは、鼻の他に、こするべきところがあるなんて、考えもしないだろう。

 こすりたいから、こする。

 たまたま、そこは、いつも、鼻。

 それだけ。

 たまたま、Safariと、Pagesしか使わないとは、やっぱり、思えないんだよな。

 Musicも、iMovieも、メールも、何でもあるじゃないか。

 なんで、使わないんだ?

 圧迫感が、半端ない。

 ため息をついて、パソコンデスクの椅子の上、鼻をこする愛猫に目をやると。

 すっきり。

 ほわま、ほわま。

 ちょうど、抱っこをせがまれて、ナイスタイミング。

 微笑んで、手を伸ばし、ぽさぽさの、青緑色の毛皮を抱き取ります。

 嫌ならば、無理することはない。

 このまま、しばらく、原稿用紙に手書きした文章を、iPhoneに、打ち込みましょう。

 幸い、駆け出しのフリーライターで、時間だけは、たっぷりある。

 気の済むまで、見守ればいい。

 もう二度と、パソコンを使わなくても、それはそれで、面白いスタイル。

 これまでとは、違った物が書けるかもしれない。

 自分を責めず、さりとて、慢心もせず。

 身の丈に合った書き方を、これからも、模索していきたいです。それでは、また。

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