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上村元のひとりごと その444:U

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 現実は、つらいもの。

 身体は痛み、心は軋み、インターネットは切れる。

 いちいち、対処していかなければならない。

 過酷です。

 ポケットWi-Fiの代替機が届くも、接続が不安定で、まさかと思いつつ、大元のルーターについて、大家さんに問い合わせたところ、なんと、15年以上、替えていない。

 早急に交換を申し込んでいただき、こちらはこちらで、Wi-Fiの契約を見直して、ポケットタイプではなく、据え置き型に切り替えることで、決着を見て。

 …書くのは簡単ですが、これら全てに、ほぼ、一日がかり。

 引きこもりの物書きには、荷が重すぎた。

 文字通り、倒れました。

 どどう。どう。

 どぶーふ。

 るぐわしゃー。

 かろうじて、接続が生きていた、数分をぬって、どうにかダウンロードを済ませた、カイの推しバンドの新曲、「U」が、ベッドの枕元、iPadの中から、リピート再生されています。

 カイは、もちろん、大興奮。

 ミントも、つられて、大騒ぎ。

 踏まないで。

 それは、僕の、頭。

 繰り返しますが、現実は、つらいもの。

 できるなら、ずっと、夢を見ていたい。

 愛するあなたが、そばで一緒に笑ってくれるなら、それ以上、望むことはない。

 しかし、恋愛とは、セックスです。

 架空の世界の登場人物たちが何をしようとも、肉体を介さなければ、どこまでも、絵空事。

 幸せになって、良かったね。

 思いはしても、この身は、むなしい。

 「U」のミュージックビデオは、徹頭徹尾、全ては、スマホの中のこと。

 「美女と野獣」を下敷きにした、ハッピーエンドのお伽話を、どう解釈するかは、聴き手に任せたよ、と伝えています。

 どう、どう、どう。

 あんぎゃまー。

 むんちゃー。

 蹴らないで。

 それは、僕の、腹。

 つらい現実から逃れようと、理想の世界へ旅立ってみても、ひとたび、ネットが不通になれば、何もかも、消え失せて。

 残されるのは、疲れた心身。

 理想の世界を復活させるには、さらにつらさを増した現実を、這うようにして、駆けずり回らなくては。

 …もう、いいよ。

 終わりにしよう。

 スマホの中と外を分ける思考から、離れるんだ。

 僕なんだよ。

 出発点にして、帰着点は、常に、自分。

 スマホを持っているのは、誰?

 僕だ。

 愛猫に容赦なくぶち当たられているのは、誰?

 僕だ。

 この自分を、この身体を、この心を置き去りにして、理想も現実も語れない。

 ネットの不具合は、僕の不具合ではない。

 ないけれど、いや、ないからこそ、僕には、ネットを復旧させる義務がある。

 自分ではないものに、平和な暮らしを支えてもらっているのだと気づくなら、そこに、感謝が生まれる。

 いつもありがとう、古くなっていたのに、酷使してごめんねと、素直に思える。

 それができて初めて、僕は、僕を、この世に一人きり、かけがえのない存在だと認められる。

 僕の代わりは、誰もいないんだもの。

 アバターですら、他人なんだもの。

 どう。どどう。

 びっしゃんぎゅー。

 むわっちゃーす。

 取り替えの利かない人生は、時に、痛いけれど、まあ、捨てたものでもない。

 そろそろ、夕ご飯にしようか。

 明日には、新しいルーターが届くから、そうしたら、復旧祝いに、YouTube、観放題。

 それまでは、カイ、ミント、お願いだから、落ち着いて。

 現実には、休息も、必要なのです。それでは、また。

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