上村元のひとりごと その418:日比谷野外大音楽堂
こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。
今日は、ミントの誕生日。
一年前の、この日、アパートのゴミ集積所で、冷たい雨に打たれていたところを、保護して、以来、ずっと一緒にいる。
思い出は、溢れて、いつでも、心にいっぱい。
ありがたいことに、今もなお、更新中。
お誕生日、おめでとう、ミント。
これからも、よろしくね。
ぬふーふ。
ぐふーふ。
ぽたぽた。
うっとり。
これまで見たうちでも、最大級と思われる、ご満悦の表情で、もはや、とろけそうになりつつ、膝の上、丸くなったミントが、眺めているものは。
炬燵に開いた、Windowsの、ノートパソコン。
大画面で流される、Blu-rayディスクの映像です。
ケーキが嫌いな愛猫のために、プレゼントを、どうしよう。
悩みに悩んで、ぎりぎりまで、何も浮かばず。
昨日、天啓のようにひらめいて、慌てて注文し、ついさっき、届いたばかり。
ミント熱愛のバンド、King Gnuの、日比谷野外大音楽堂での、ライブ盤。
…間に合って、よかった。
慣れないWindowsを、それこそ、目を血走らせて、操作して、無料版のBlu-rayソフトをダウンロードし、いったんは、うまくいきかけたのに、急に動かなくなって、青ざめて、別のソフトに取り替えつつ、埃をかぶった、外付け再生機を引っ張り出したりして、本当に、大変だった。
るふーふ。
むふーふ。
ぽたぽた。
うっとり。
こんなにも、喜んでくれているなら、頑張った甲斐があったというもの。
半ば虚脱した状態で、画面の中、踊り狂う井口さんに見入ります。
彼は、本物の天才です。
残念ながら、歌の、ではない。
曲を演じることにおいて、彼の右に出るものは、現代日本の音楽界で、おそらく、皆無。
作曲者の意図を汲み取り、時には超えて、恵まれた大きな身体と、幅広い声域を使って、全身で表現する。
新しいジャンルだと思います。
音楽俳優、とでも言えばいいのか。
歌詞の内容や、主人公ではなく、曲そのものになりきって、熱唱できるこの能力は、しかし、誰が作った曲でもいい、というわけではないところが、井口さんの弱点であり、最大の魅力です。
常田さんでなくては、駄目なのです。
それも、すぐ近くにいて、共演していてくれないと。
おそらく、井口さんは、曲を読んでいるのではなく、その曲を演奏している常田さんに、同化している。
常田さんが出すべき声を、語るべき歌詞を、欲しい音を、くまなくさらって、余すところなく表現する。
おかげで、常田さんは、作曲者としては、何も語る必要がない。
プレイヤーとして、ギターやボーカルに集中できる。
素晴らしい組み合わせです。
親しい人にしか心を開けない、とても内気な二人の青年が、決して、内向きではなく、全力で、演奏している。
ある意味で、お坊ちゃん育ちな彼らを、多分、うんと若い頃から、大人たちに混じって演奏してきて、しっかり世間に揉まれている、全く内気ではない、新井さんと勢喜さんが、下支えしているために、King Gnuは、若者の危うさと、熟練の安定感を、同時に保つことができている。
疫病流行直前、2019年秋のライブですが、プレイスタイルは、驚くほど変わっていない。
観客の数と、常田さんがマイクを食べちゃっている以外は(金属の味とか、しないんだろうか…)、2021年夏の現在でも、充分、再現可能。
そして、その映像を、1983年生まれの物書きと、2020年生まれのぬいぐるみの猫が、寄り添って、鑑賞していると思うと、めまいがします。
今は、いつ?
ここは、どこ?
もともと、ロックバンドに、まるでうとかった僕は、きっと、ミントなくては、King Gnuについて、詳しく知ることもなかった。
ひとりごとを書き始めていなければ、なおのこと。
これまで通り、ポップアーティストのファンを名乗って、次々にリリースされる音源を、片端から集めることで、満足していただろう。
実際に、日比谷野外大音楽堂に、行ったことすらない。
確か、野音、と略すのでは、などと、知識すら、曖昧。
それでも、こうして、ご縁に恵まれて、愛猫の誕生日を、にぎやかに祝うことができている。
いつか、King Gnuのライブを、観に行けるだろうか。
ミントを連れて。
引きこもりの僕が。
内気な歌を聴きに。
…その前に、ワクチン、打たないとな。
いや、その前に、チケット当選確率を、磨いておかないと。
くじ運が、からっきしで、これまで、当たったものと言えば、お年玉年賀はがきの切手シートのみ。
ごめんよ、ミント。
できるだけ、頑張るから、それまでは、録画で、楽しんでね。
めふーふ。
なふーふ。
ぽたぽた。
うっとり。
幸せな、記念日の午後です。それでは、また。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?