見出し画像

上村元のひとりごと その474:素敵

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 見た目は、やはり、大事です。

 コアラ顔の、センスのかけらもない、くたびれた中年男が言うことではないが、それでも、言いましょう。

 人目を引きたかったら、服を全部、取り替えなさい。

 髪型も、持ち物も、一から百まで、総とっかえして。

 とにかく、自分を入れない。

 おしゃれのポイントは、これに尽きる。

 気に入ったもので、全身を固めれば固めるほど、なぜか、ださくなっていく。

 つまり、僕の服は、お気に入り。

 …かなあ。

 少なくとも、色が褪せ、襟が伸びるまで着ているのは、事実。

 着心地の良さとか、内側からの感じを、基準にしては駄目、ということですね。

 自分の身体を、一体のマネキンとみなし、このボディに、何を着せたら、一番映えるか。

 髪の色は、変えられる。

 一定でいくか、服に合わせるか。

 肌の色は、変えられない。

 受け入れるか、整形手術か。

 億とある選択肢の中から、経済状況などを鑑みて、そのつど使い分けていくのが、最適ですが。

 それって、面倒だよね、ミント?

 あーお。

 毛皮の色、変えたい?

 ぬーんふ。

 染めてあげようか?

 多分、すっごく、下手だけど。

 にぎー。

 わかった、やらないから。

 血相を変え、ぶち切れて、どついてくる、自分大好きな愛猫は、青緑色の毛皮の、ぬいぐるみ。

 僕が作ってプレゼントした、水色のリボンに、銀の鈴を縫い付けたネックレスが、唯一のおめかしです。

 まあ、ミントは、そもそもが、天才アーティストによる、デザインドキャット。

 筋金入りの野暮天である僕とは、天地の開き、比べるなど、おこがましく、ひれ伏して、ひたすらに謝るのが、最善策。

 しかし、話を戻すと、おしゃれを極めるには、ものすごく、パワーが要る。

 そして、極めなければ、おしゃれとは言えない。

 世の垢抜けた人々は、もはや、アスリート。

 オリンピック選手に匹敵する、体力、気力を備えたうえで、信念も、持たなくては。

 ビジョンと、言い換えていい。

 自分は、この身体を使って、何を表現したいのか、明確に定めて、実行する力。

 見た目とは、実は、内面なのです。

 成功するにせよ、しないにせよ、我が思うところを外界に表そうとする、あくなきチャレンジ精神が、服に、髪に、細部にまで刻まれて、人目につく。

 僕には、とうてい、なし得ない。

 だって、着心地いい方が、いいもん。

 ちょっと臭くっても、二日目、三日目のTシャツの方が、洗い立てより、断然、馴染むんだもん。

 …こりゃ、駄目だ。

 あきらめなさいね。

 あらゆる意味で、イケメン街道を。

 うんむやー。

 まだまだむくれる愛猫を、抱き上げて、この前洗ったのは、いつだっけ。

 思い出せない、髪の上に、ご案内。

 にゅーふふふ。

 ぐるるしゃー。

 途端に、ご機嫌を取り戻し、べったりと、頭頂部に全身をもたせる愛猫が、ファッション命じゃなくて、本当に、良かった。

 だらしない己を正当化するようで、気が引けますが、お仲間の皆さんのために、小声で申し上げるなら。

 こんな僕にも、素敵になる方法はある。

 風呂?

 こまめな着替え?

 ノー、ノー。

 愛です。

 たった一人に、まっすぐに注ぐ、揺るぎない忠誠心。

 それさえあれば、その人に嫌がられないよう、最低限、きちんとしていられる。

 愛する猫に、くっついてもらえて、気持ち良く喉を鳴らしていただけて、僕は今、素敵に幸せです。それでは、また。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?