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上村元のひとりごと その516:潔

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 先代のiPhoneと、iPad。

 じっと眺めて、決心しました。

 これまで、ありがとう。

 君たちには、本当に、お世話になった。

 今日で、お別れだ。

 電源を入れるのは、これが、最後。

 あとは、父さんのチェロと一緒に、クローゼットで、眠っていて下さい。

 僕が死ぬまでには、しかるべきところへ送ります。

 繰り返し、何度でも、ありがとう。

 さよなら。

 目をつむり、両手のひらを合わせて、祈りを捧げ。

 二台とも、シャットダウンして、購入時の箱に収めます。

 ふんにわー。

 すっかり肌寒く、そろそろ、炬燵に布団をかけようか。

 くっつきっぱなしの、愛猫ミントに語りかけ、ぽさぽさの、青緑色の毛皮を撫でながら、ぽっかりと、天井を仰ぎます。

 これで、使える電子機器は、三つ。

 iPhone12 mini、MacBook Air、LenovoのWindows。

 よろしくお願いします。

 執筆・通信・買い物と、音楽・動画・zoomと、Word・Blu-ray Disc再生と。

 僕の暮らしに、どうしても必要な機能たち。

 お任せします。

 大事にします。

 うんちゃー。

 ご機嫌な愛猫の、合いの手をはさみつつ、天板に並んだ機械たちに、深く頭を下げて、よし。

 姿勢を正し、正面の、ドーベルマンの肖像を見つめます。

 方向性は、決まった。

 後は、どれだけ、守りつつ、攻めるか。

 重くて、立派なものは、僕には、向いていないみたい。

 スマホも、パソコンも、小型で、軽量モデルが好きなように、文章も、長かったり、深すぎたりは、よしておこう。

 詩にしては、ボリュームたっぷりで、短編小説にしては、整っていない。

 一見、中途半端なスタイルで、こつこつと、書き続けていこう。

 しかし、…売れるかな。

 なかなか、厳しそうではある。

 少なくとも、人気記事のランキング争いは、望めない。

 だが、どう考えても、何度考え直しても、この形でしか、僕は、書けない。

 他に、選択肢はない。

 ならば、迷う余地もない。

 書きましょう。

 売れなくとも。

 いや、初めから、期待しなければいいのでは?

 期待も、結構、重いものね。

 いいや。

 売れない物書き路線を、貫こう。

 そもそも、題名が、千文小説だもの。

 億万長者は、お門違い。

 うん、なんだか、すっきりした。

 ありがとう、ミント。

 これからも、よろしくね。

 んふーふ。

 がすっ。

 ぐはっ。

 きーししし。

 のっちりほっぺたに、顔を近づけたら、思いっきり、頭突きを食らい。

 のけぞる耳に、いとも可愛らしい嘲笑が響きます。

 こんな情けなさも、何もかも、潔く、公開していく覚悟です。それでは、また。

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