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上村元のひとりごと その459:まっさら

 こんにちは、上村元です。よろしくお願いします。

 いったん、白紙に戻すことにしました。

 iPhoneの、機種変更に関してです。

 父の死を、なかったことにしたくて、知らせを受けた電話機を、取り急ぎ、手放そうとしたことが、問題の根源にあった。

 冷静に考えると、現在使用中のiPhoneに、何一つ、落ち度はない。

 容量も、ゆとりがあるし、ハード的にも、破損はない。

 使用開始から、二年半で、新モデルに取り換えるというのは、いかにも、贅沢。

 そもそも、貯金も、おぼつかないんだった。

 もう少し、様子を見よう。

 いずれ、5Gがメインになったら、その時は、仕方ないとして。

 今はまだ、働いてくれますか?

 文章入力機器として。

 iPhoneは、無言です。

 MacBookは、ともに過ごした時間が長かったからか、ある程度、機嫌のようなものを、感じ取ることができたのだけれど。

 …きっと、僕はまだ、身体の底からは、スマートフォンという機械に、馴染んでいないのだ。

 世代的なものは、確実に、ある気がする。

 1983年生まれのおじさんには、どう考えても、パソコンの方が、身近にあった。

 何でもできる、便利な夢の道具として。

 かーわ、かーわ。

 しゃーわ、しゃーわ。

 炬燵に置いたiPhoneから流れる、熱愛するバンドの、お気に入りの曲に、猫語で唱和する、愛猫ミントは、逆に、MacBookには、見向きもしなかった。

 2020年生まれの若者には、どう考えても、スマホの方が、親しみやすい。

 動画も見られる、小さなテレビとして。

 …やっぱり、もっと、よく考えよう。

 僕にとって、スマホとは、何か。

 どういうふうに使えば、僕も満足、スマホも本望、愛猫も陶酔、となれるか。

 ただの電話じゃあ、ないんだよな。

 さりとて、持ち運びの楽なパソコン、というわけでもない。

 スマホって、何?

 スマホだよ。

 …まあ、それはそうなんだけども。

 こうやって、改めて、真剣に、機種変更を検討してみるとわかる、自分の、とんでもない無知ぶりよ。

 どうしたらいいか、さっぱりわからない。

 ぬいぐるみの猫の方が、まだ、楽しみ方を体得している。

 SNS、オンラインゲーム、映画鑑賞。

 無趣味な物書きには、どれも全くぴんと来ず、立派なカメラも、ただの穴。

 …スマホ、要らないんじゃ。

 少なくとも、高額をつぎ込んで、最新モデルを手に入れることはないんじゃ。

 どうせ、ネットで、短文を公開するだけなんでしょ?

 それも、一日一回、限定で。

 後は、こうして、愛猫と、胸の奥、深海の底に棲む、謎の生物に、それぞれの好みの曲を、時に動画付きで、再生してやれれば、充分だもの。

 もちろん、仕事先との通信は必須だが、それは、はっきり言って、電話と同じ。

 どうやら、僕にとって、スマホとは、どこまでも、電話。

 この考えが、古いんだな。

 一度、電話から、離れないと。

 頭の中、まっさらにして、スマートフォンという概念を、更新するのだ。

 そのうえで、改めて問おう。

 僕にとって、スマホとは、何か。

 るふふーん。

 くふふーん。

 ぽたぽたと、しっぽを振って、膝の上、うっとりと喉を鳴らす愛猫の、青緑色の毛皮を撫でながら、長考し。

 スマホは、スマホだ。

 阿保みたいな結論に、再度、たどり着きました。

 それ以上でも、以下でもない。

 たとえることも、言い換えることもできない。

 スマホは、スマホ。

 機種を変えても、皆同じ。

 ため息をついて、Musicアプリが起動中の、輝く画面を見下ろします。

 まだまだ、使いこなしへの道は、遠そうです。それでは、また。

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